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ディープインパクト産駒は晩成か?

  • 2014年04月25日(金) 18時00分


◆クラシック戦線とディープ産駒の特徴の関連性

 ディープインパクトの代表的なセールスポイントに「瞬発力」を上げることに異存はないでしょう。その源は、柔軟性に富んだ筋肉の質に加え「闘争心」が上げられます。

 ただし、闘争心にはリスクもあります。特に出世するタイプのディープ産駒は、闘争心によって、体が支えきれないほどに走りすぎてしまうことです。とあるGIに出走予定の某ディープ産駒も、体力が追いつかない段階の調教で走りすぎたため軽い故障を発症。デビューが遅れました。

 おそらく多くの名門厩舎はその事に気づいているはずです。
 よって、名門厩舎ほどディープ産駒はデビューを遅らせたり、早い段階では長期休暇を取る産駒が多い傾向にあります。ディープ産駒の馬主さんは「いつまで牧場で高い飯食ってるだけなんだ!」とヤキモキしている方も多いのではないでしょうか?

 今年も桜花賞に駒を進めたのはハープスター1頭だけでした。これも、名門厩舎のディープの扱い方も影響しています。桜花賞戦線の番組体系は、ディープ産駒に合わないことも大きな要因の一つです。

 桜花賞出走に無理に合わせてしまうと故障や、持ち味の直線スピードを引き出せない馬になってしまうリスクが伴うからです。(そこをくぐり抜けて桜花賞に出走するディープは高い確率で走りますが)

 思い返せば、ディープインパクト自身もデビューは2歳12月。1800m以下を一度も使ったことがない馬でした。(武豊騎手が「引退レースはフェブラリーSでブッちぎってみたい」と言われたのは、同馬の本質の一端を垣間見るコメントだったと思います)

 もしもディープインパクトが厩舎や育成所が違っていたらどうだったでしょう? 育成所によっては故障してしまったかもしれません。体力が伴わないうちから全力で走りすぎてしまう危険性を秘めているからです。厩舎が違ったら、朝日杯FSは勝ったかもしれませんが、天皇賞春に駒を進めることはなかったかもしれません。

 ザックリとまとめれば、ディープインパクトは「気性は早熟。体力の成熟は晩成型の馬」が多いのです。

 フローラSも、間違いなくディープ産に合うレースですが、出走するディープの仕上げ方も意識したいレース。イサベルは、角居厩舎の管理馬。同じ角居厩舎のディープ産駒、ラキシスやグルヴェイグが春はとりあえず勝ち上がってクラシック戦線へは試金石的に使ったことは気に留めるべきでしょう。デニムアンドルビーの例もありますが、過信は禁物です。

 今年のフローラSでは、ディープに匹敵する実績を残しているゼンノロブロイ産駒のサングレアルの方が当レースへのモチベーションは高いのではないでしょうか。

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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