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“売れっ子”太の苦悶『読んでくれるお客さんのために頑張らな!』

  • 2014年05月06日(火) 18時00分
小牧太

“売れっ子”太の苦悶


4月から「スポーツニッポン」で新コラムがスタートした小牧騎手。「お客さんに当ててもらえるように」と、毎週、自身のなかのイチオシ馬を推奨馬として挙げているそうですが、それが逆にプレッシャーに!? 「競馬は難しい!」と頭を抱えつつ、ファンに対してどこまでも真摯な小牧騎手のリアルな声をお届けします!
(取材・文/不破由妃子)


■もっと自分を信じて、勘で乗らなアカン!

──直近1か月(取材時点での3月22日〜4月20日)のワーストレースをうかがっていきたいのですが、今回の範囲ではあのレース……。

小牧 わかるやろ?

──ペンタトニックですね(3月29日・阪神5R・3歳未勝利/1番人気6着)。

小牧 そうや、それ。あれはアカンわ…。あれこそね、外をブン回しておけばよかったと思って。後悔してるわ。

──レース後に、「僕のせいです」とハッキリおっしゃってましたものね。

小牧 うん、もう情けなくなってねぇ。本当に消極的なレースをしてしまった。

──少々話はそれますが、ペンタトニックに限らず、「僕のせいです」と決して馬のせいにしない小牧さんの姿勢は、なかなか真似できることではないそうですね。「難しいけど見習いたい」と話していたジョッキーもいます。

小牧 いろいろ言い方はあるんやろうけど、僕は自分が悪いと思ったら、正直に言うようにしてるからね。それがいいのか悪いのかわからんけど。そうそうもうひとつ、キングオブタイム(4月13日・阪神4R・3歳500万/3番人気5着)も結果的に大事に乗りすぎて、それが逆効果になってしまったわ。それまで通り前に行けばいいものを、“ちょっと下げようかな”なんて思ったばかりに外の馬に行かれて。で、その馬の後ろについて、馬ごみのなかに入ってしまってね。キングオブタイムは、僕のなかではその週のイチオシだったんやけどね。3番人気やったけど、絶対に3着は外すことのない馬やと思ってたのに。

──なにしろ相手は生き物ですからね。良くも悪くも、なかなか思い通りにはいきませんよね。

小牧 ホンマやねぇ。そういえば僕、4月からスポニチで土曜日にコラムが始まったんやけど(小牧太の『金言! 珍言!』)、読んでくれるお客さんに当ててもらえるような馬を推奨せなと思って、キングオブタイムを挙げたんですわ。だから余計にショックやったわ…(苦笑)。競馬は難しい!

──コラムに書いたことで、変にプレッシャーがかかってしまったりして…。

小牧 うん、だからあんまり考えたらアカンなと思って。そうやって口に出した馬は、どうもうまくいかんことが多い。やっぱり意識してしまうんかなぁ。もっと自分を信じて、勘で乗らなアカンと思ったわ。僕を信じて馬券を買ってくれたお客さんにも申し訳ないからね。

──そういうお話を聞くと、コラムを読む側はついつい深読みしてしまいそうですが、翌週のコラムで取り上げたナムラビクターは、見事にアンタレスSを勝利しましたね(次の週のアダムズアップルも3着!)。

小牧 そう、ホッとしたわ。僕としては本当に期待している馬を推奨するわけやからね。

小牧太

僕としては本当に期待している馬を推奨するわけやからね



──それにしても小牧さん、常に連載を3本抱えている状態ですね。おそらく、小牧さん以外に常時連載3本というジョッキーはいないのではないかと。ジョッキーの立場から発信していくことに意義を感じていらっしゃるんですか?

小牧 いや、全然(笑)。ただこうやって喋るのが楽しいから、依頼がくれば引き受けているだけや。毎週木曜日にね、記者さんたちの取材を受けるんやけど、そこで「日刊スポーツのコラム、とうとう終わりになってしまったわ」って言ったら、普段から仲良くしているスポニチの記者さんが声をかけてくれてね。

──日刊スポーツのコラムは長かったですもんね。

小牧 うん。引退するまで続けられるもんやと思ってたんやけど…。おふくろとか九州の友達からも、「終わってしまうんやねぇ」って電話があったりしてね。「スポニチでまた始まるから読んでや」って言ったら、喜んでたわ。

【次回の太論は!?】
 最近、腹筋を割りたいと、腹筋の強化に取り組んでいる小牧騎手。理想通り割れた暁には、なんと太論で披露してくれるとのこと(!)。腹筋を鍛えるに至ったきっかけと、あるジョッキーの影響を受けて、さらにやる気に拍車が掛かった経緯を語ります。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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