スマートフォン版へ

ミッキーアイルが安田記念に出走したら

  • 2014年05月17日(土) 12時00分


◆未だ達成馬がいないある記録

 今回のネタは、今週、東スポの「競馬雑記帳」というコラムに書いたものと若干かぶります。ご了承ください。

 先日のNHKマイルCはミッキーアイルが逃げ切り勝ちを収め、3歳マイル王の座に就きました。次走は安田記念かもしれない、とのことですが、そうなると古馬勢を相手にしなければなりません。もし連勝すれば、たいへんな快挙だと思います。

「ところで、NHKマイルC優勝馬が安田記念かマイルチャンピオンシップに勝ったことって、あったっけ?すぐには浮かんでこないんだけど…」。そう思って調べてみた結果が今回のネタ。記憶力抜群の方ならもうおわかりでしょうが、NHKマイルC+安田記念またはマイルCSの2冠を制した馬は、今のところ1頭もいないんです。NHKマイルCとダービーやジャパンC、ジャパンCダートを勝った馬はいるのに…。

 もうこのレースも今年で19回目ですから、過去に1頭や2頭、いたっていいでしょう?これって、“日本の競馬七不思議”があるとしたら、その1つに数えてもいいような気がします。

 NHKマイルCに出ていた馬が、後に安田記念とマイルCSを制した例としては、エアジハード(98年NHKマイルC8着→99年安田記念+マイルCS)、アグネスデジタル(00年NHK7着→マイルCS+03年安田)があります。また、10年のマイルCS優勝馬エーシンフォワードは08年のNHKマイルC10着、11年の安田記念に勝ったリアルインパクトは、その前走のNHKマイルC3着、同年のマイルCSを制したエイシンアポロンは10年のNHKマイルC9着。NHKマイルCで敗れてからの“巻き返し”を果たした馬は上記のように5頭いるわけですが、目立って多いというほどではありません。

 で、何が言いたいのかと言えば、NHKマイルCは、後の芝マイルG1に結びつくレースではない、ということ。今年の安田記念でミッキーアイルかカレンブラックヒル(一昨年のNHKマイルCの優勝馬)が勝てば、そう断じることはできなくなるんですけどね。

 ちなみに、NHKマイルCが創設された96年以降の安田記念勝ち馬のうち、3歳で優勝したリアルインパクトを除く16頭(ウオッカは2度優勝)が、3歳シーズン最後にどこまで出世していたかを調べてみたら、次のようになりました。

 オープン9頭(うち、G1勝ちがあった馬4頭)、1600万条件1頭、1000万条件3頭、地方在籍1頭(=トロットサンダー)、外国馬2頭。

 こうして見ると、3歳シーズンを終える時点でまだ“条件馬”だったとしても、安田記念に勝てる可能性はある、というのがわかります。芝マイルのG1って、傾向がつかみづらいレースなのかもしれません。さて今年はどういう結果になるのでしょうか?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング