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ジョッキーが語る「数字の裏側」〜川須栄彦騎手編【第3回】

  • 2014年06月18日(水) 18時00分
川須栄彦

川須栄彦騎手が語る“数字の裏側”第3回。今回は騎乗回数や馬体重など、競走馬に関してのデータをもとに、ジョッキーの深層心理に迫ります!


(取材・文/大薮喬介)

■JRA最少馬体重記録を持つ馬の乗り心地は!?

――アイファーソングは騎乗回数も一番多かった馬でした。ちなみに2番目に多く騎乗した競走馬はわかりますか? 2頭いるんですけど。

川須 2頭もいるんですか? う〜ん、どの馬だろ…。

――1頭は矢作厩舎にいた馬です。今は転厩して関東で頑張っていますね。

川須 あっ、エバーグリーンだ!

――その通りです!

川須 僕が乗っているときは結構乗り難しくて、引っかかったり、直線で右にモタれたりしていたんですけど、今はそういう仕草を見せなくなりましたよね。年齢を重ねて、大人になったのかな。この間も2着にきていましたし(4月27日東京9R・石和特別)。これからも頑張ってほしいですね。

――では、もう1頭は? ヒントは、ミラクル…。

川須 ミラクル? ミラクル…、ミラクル…、う〜ん…。僕が乗って勝っていないのでは…。

――それが勝っているんですねぇ。

川須 本当ですか!? え〜、わかんない…。

――ミラクルルーマーという馬なんですが。

川須 あっ!! はい、はい、はい。思い出しました。確かに勝ってます。芦毛ちゃんだ、ちょっとワガママな。

川須栄彦競走馬騎乗回数

川須栄彦騎手競走馬騎乗回数ランキング



――11回も乗っているんですよ。

川須 そんなに乗せていただいていたんだ…。

――なかなか出てきませんでしたね(苦笑)。では、これまで騎乗したなかで、もっとも馬体重が重かった馬はどうです?

川須 うわぁ、今度はそっちで攻めますか。いや、ちょっとそれも思い出せる自信がないです…。

――難問でしたかね。答えは、タイガースラムで、578キロでした!

川須 あ〜〜、そっかぁ。そうだ、そうだ。勝たせていただきました。確か、小倉の1700ダート。そして…、逃げ切り!

――当たりです! やっぱりレース内容は覚えているんですね。ちなみに、川須騎手は550キロ以上の馬に騎乗したときの成績がいいんですよ。[2-3-2-10]で勝率11.8%、連対率は29.4%もありました。

川須 確かに成績は悪くないという印象はありますね。

川須栄彦馬体重最重量

川須栄彦騎手馬体重最重量ランキング



――大きな馬で勝てるコツいうか、得意という意識はありますか?

川須 いやぁ、そんなことは思ったことないです。大きな馬でも馬体の特徴によって、乗りやすい馬や乗りにくい馬がいますから。

――乗りやすい馬と乗りにくい馬の違いはあるんですか?

例えば、首が長い馬や脚が長い馬は、乗りやすいとは言えないですね。やっぱり、バランスが重要だと思います。馬体重が550キロを超えていても、バランスのいい馬は走ります。

――なるほど。では、逆に小さい馬はどうです?

川須 僕が乗せていただいて、勝ったことがある馬の中では、ブロンシェダームという馬が一番小さかったと思います。

――今年の2月8日小倉の新馬戦で勝った馬ですね。馬体重は384キロでした。

川須 馬体は小さいですけど、血統馬(父ディープインパクト×母スリープレスナイト)だけあって、風格があって堂々としていました。でも、実はもっと小さな馬に乗ったことがあるんですよ。確か334キロだったかな。勝ってはいないんですけど、岩元厩舎にいたグランローズ(2011年1月22日小倉4R・3歳新馬15着)という馬です。

――334キロ!?

川須 確か新聞にも載ったんですよ(JRA最少馬体重出走記録を37年ぶりに更新)。パドックで跨ったときは、僕の足が届くかと…。

――えっ!?

川須 思ったけど、届きませんでした(笑)。でも、それぐらい小さかったです。実際、ハミまで直接手が届きましたからね。

川須栄彦

川須「パドックで跨ったときは、僕の足が届くかと…思ったけど、届きませんでした(笑)」



――ええっ!? 実際、レースで乗られていかがでした?

川須 体が小さいので馬群に入れると、ひるみそうになるし、接触すると飛ばされる可能性もありますから、難しかったですね。そう考えると、大きな馬のほうが安心して乗ることができるかな。ただ、馬体が大きくても、ストライドの大きな馬は器用さがないので馬群の中では厳しいです。

――大きな馬でも器用な馬はいるんですか?

川須 いますよ、ピッチ走法で走る大きな馬はいます。さっきも言いましたけど、馬格があってもバランスがよければ、器用さもあるし、バネもあります。ただ、全体的に見れば大きな馬はだいたいトビが大きくて、不器用な馬が多いですね。

【次回のキシュトーークは!?】
川須栄彦騎手が語る“数字の裏側”第4回。次回は人気別成績から、人気馬の騎乗するときのジョッキー心理に迫ります。さらに、種牡馬別成績から、産駒の特徴を川須騎手が教えてくれます!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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