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『あの週は話にならんかった、恥ずかしい』6月のワーストレースを猛反省

  • 2014年07月08日(火) 18時00分
小牧太

6月のワーストレースを猛反省


「あの週は下手に乗ってしまった。話にならんかった。なかでも一番ダメだったレースは…」。つねに自分の失敗を真っ直ぐに受け止め、誠実にレースを回顧してくれる小牧騎手。今回は6月2週目のレースを振り返りながらの大反省会です。はたして、話にならないほどの失敗とは!?
(取材・文/不破由妃子)


まったく、“なにしてんねん”っていう感じやね

──今回は、6月のレースを振り返っていきたいと思います。

小牧 6月は最悪な週がありましたわ…。あの週は話にならんかった。なかでも一番ダメだったのが安芸Sのグレイスフルリープ(6月14日・阪神11R・1番人気2着)やね。あんなレースをして…恥ずかしかったね。

──あのレースは前が速かったですものね。

小牧 うん。せっかく外枠を引いたのに、なんで自分のペースで競馬をせんかったのか…。そもそもハナか、悪くても2番手にいけると思ったのが大きな間違いやった。前が速いのはわかってたのに、なんで自信を持って乗らんねんていうね。

──外目3番手でしたね。

小牧 ついていってしまったんや、速いペースに。で、前が止まったもんやから、速く抜け出してしまってね。あのペースなら、もうひとつ後ろでもよかった。後ろがくるまで、なんでもうちょっと待てんかったのかなって。

──あのペースですから、前がバテるのも速かったですものね。

小牧 うん。あそこで僕が死んだふりをしておけば、楽に勝てたレースや。あのレースはもう、ただただ恥ずかしかったね。月曜日にね、曾和先生たちと父の日のお祝いで集まったんやけど、川原(正一騎手)さんもきていてね。「お前、あのレースどうしたの?」って、さっそく言われたわ。「自分でもわかってるから、もう言わんで」って言うたんやけど。

──みなさん、よく見てますね。

小牧 そう、見てんねん。でもあのレースは、ジョッキーが見れば一発でわかる。楽に勝ってるレースやもん。あれはアカン。でもあの週は、最低なレースがもうひとつあんねん。飯田厩舎の……。

──キョウワレイ(6月14日・阪神9R・香住特別・5番人気7着)ですか?

小牧 そうそう、クリビツテンギョが勝ったレース。あれね、直線、全然追えてないねん。あれもまともなら勝ってたレースやわ。じつは手綱を3回落としてねぇ…。焦ってたわけじゃないんやけど、なんでかなぁ。やっと(手綱を)持ってステッキを持ち替えたところでまた落として。ゴール前はそのステッキが手綱の端っこに引っ掛かって、逆ムチになって全然追えなかった。飯田先生が首をかしげてずっと見てるから、最初は逃げてたんやけど(笑)、下で会ったときに「小牧くん、どうした? 気の悪さでも出したんかね」って言われて、「先生、すみません。実は…」って正直に話して謝ってね。「そうだったんだ。まぁ次も乗ったらいいやん」って言ってくれたけど。メンバー的にもあそこは楽やったから、しっかり追えてさえいれば勝ってたわ。

──それは悔いが残るレースですねぇ。

小牧 なにをしてんねん、ていう感じやね。直線で僕が「あっ! あっ!」って声を出してたもんやから、VTRを見ながらジョッキー連中がみんなで笑ってたもん。自分で言うのもなんやけど、パトロールビデオで正面から見たら、確かにおもしろいねん。あやとりしてるみたいな(笑)。そういえば、笹田さんがむっちゃ笑っとったなぁ(笑)。

──ベテランの小牧さんでもそういうことがあるんですね。

小牧 そやね。でもまぁ、あんなことしとったらアカンわ。そういえば、橋田厩舎の1番人気の馬も…。

──メドウラーク(6月15日・阪神6R・3歳未勝利・1番人気5着)ですね。※7月6日・中京7Rで、小牧騎手騎乗で1着!

小牧 あれも下手なレースしたわ。あれはスタートを出していかなアカンかった。誰も動かなかったから自分から動いて外を回ったんやけど…。今思い出しても、あの週は最悪だったね。だから、日曜日にミッキーラブソングで勝てたときは本当にうれしかった(6月15日・阪神8R)。余計にね。

──そういえば、ミッキーラブソングで勝った次のレース(花のみち特別)について、「タイキプレミアムで直線ヨレたことについて、小牧さんの説明が聞きたいです」というリクエストがきています。

小牧 ああ、あれね。ムチです。あの馬、癖ですわ。豊くんに「小牧さん、ちゃんと覚えといてよ」って怒られたわ。あの馬ね、中京で未勝利を勝ったときもヨレたんですわ。ステッキを入れた方向に逃げるんやね。

──武豊さんはハナ差の2着(トウシンモンステラ)でしたものね。

小牧 そうやねん。上がってくるときに「勝った?」って聞いたら、「たぶん勝ったと思うんやけど…」って言うてたんやけど。で、ふたりで裁決に呼ばれて、「ゴメン」って謝って。よう(過怠金)3万円で済んだと思うわ。本当に申し訳ないことをした。ほんの一瞬のことやけど、ああいう癖は覚えておかなアカンね。ちゃんとメモしておきましたわ。

──そういう馬への対策は?

小牧 やっぱり、しっかり拳で追わなアカンね。あとはヨレんように、しっかりハミを掛けて叩かなアカンやろうし。あの週はワーストレースばかりやね。さすがに落ち込んだし、ものすごく反省しましたわ。

小牧太

あの週はワーストレースばかりやね。さすがに落ち込んだし、ものすごく反省しましたわ



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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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