スマートフォン版へ

『北米西海岸における競馬新時代の幕開け』ロスアラミトス競馬場開催がスタート

  • 2014年07月09日(水) 12時00分


ロサンゼルス国際空港から車で30分程度という至便な場所にあるだけに、日本の競馬ファンの皆様も機ぜひ訪れていただきたい競馬場

 北米西海岸における競馬新時代の幕開けとなる、ロスアラミトス競馬場におけるサラブレッド開催が、7月3日(木曜日)にスタートした。

 1938年に創設されたカリフォルニア州における主要競馬場の1つ、ハリウッドパーク競馬場が昨年暮れをもって閉鎖されたのにともない、ハリウッドパークに代わる開催地として指名を受けたのが、オレンジカウンティのサイプラスにあるロスアラミトス競馬場である。

 1947年にクオーターホースによるマッチレース専門の競馬場として開設され、1951年からパリミューチュアル方式による馬券発売を伴う競馬開催を行なってきたロスアラミトスは、クオーターホースの世界ではかねてから、100万ドルを超える高額賞金レースが目白押しの、関係者にとっての憧れの競馬場だった。

 ハリウッドパークの閉鎖が決まった際に、その代替地として名乗りを挙げたロスアラミトスは、直ちに施設の拡充に着手。まずは、1周5F(=約1006m)だった周回コースを1マイル(=約1609m)に広げ、直線入り口からゴールまでの距離1380フィート(=約421m)という、米国の競馬場としては最も長い直線を持つコースへと生まれ変わった。

 新しいトラックは、今年の1月21日(火曜日)から稼働。早速ハリウッドパークから移動してきたサラブレッドの現役馬の中に、今年の春、G1ケンタッキーダービー(d10F)、G1プリークネスS(d9.5F)の2冠を制したカリフォルニアクローム(牡3、父ラッキープルピット)がおり、サラブレッドの世界におけるロスアラミトスはまず、3歳最強馬の調教拠点として名を馳せることになった。

 カリフォルニア州競馬委員会は、ハリウッドパークを舞台としていた開催をいきなり全てロスアラミトスに移すという冒険は侵さず、今季に関して言えば、サンタアニタの冬春開催を6月末まで延長。カリフォルニアにおける夏の名物となっているデルマー開催がスタートする7月下旬までのギャップを埋めるように、まずは7月前半に8日間に及ぶロスアラミトス開催を組んだのであった。

 ウィナーズサークルとテラス席を拡充して新たな装いを施し、高画質の場内テレビモニターを増設するなど、お客様により快適に競馬を楽しんでいただくための改善がいくつも施されたのち、ようやく迎えたのが3日のサラブレッド開催初日であった。

 開幕日の入場人員5702人、場内だけの馬券売り上げ53万ドル、場外を合わせた1日の売り上げ458万ドルは、いずれも関係者の予測を上回るもので、出走馬関係者の馬場に対する評判も良く、ロスアラミトスのサラブレッド競馬は、まずは順調な滑り出しを見せたと言えそうである。

 そのロスアラミトスで行われた最初のサラブレッド重賞が、5日(土曜日)に組まれたG2ロスアラミトスダービー(d9F)だった。

 これまではスワップスSという名前でハリウッドパークを舞台に開催されていたレースを改称し、賞金も前年の15万ドルから50万ドルへと大幅に増加して、記念すべき開幕週のメイン競走として施行。そしてそのレースに、昨年の全米2歳チャンピオン・シェアドビリーフ(セン3、父キャンディライド)が登場し、大きな注目を集めることになった。

 2歳時3戦して、キャッシュコールフューチュリティ(AW8.5F)を含む3連勝をマーク。G1ケンタッキーダービーの最有力候補となったのがシェアドビリーフである。ところが、今年に入ると間もなく右前脚の蹄を傷め、春の3冠戦線を全休。5カ月半振りの出走となった前走、ゴールデンゲートで行われた古馬混合の一般戦(AW6F)を白星で通過し、デビューからの連勝を4に伸ばして駒を進めてきたのが、この1戦だった。

 実は、シェアドビリーフのここまでの4戦は全てオールウェザートラックで、初めてとなるダートを巧くハンドリング出来るかを懸念する声もあったが、鞍上マイク・スミスは「スタートして100m走った辺りで、これは大丈夫と確信した」という。道中2番手から直線入り口で先頭に立つと、一気に後続との差を広げ、ゴール前ではマイク・スミスが追うのをやめながらも、G2ロバートルイスS(d8.5F)勝ち馬キャンディボーイ(牡3、父キャンディライド)に4.1/4馬身差をつける快勝劇を演じた。

 管理するJ・ホレンドルファー師はレース後、同馬の次走について明言を避けたが、カリフォルニアクロームとの「最強3歳馬」の称号をかけての対決が、益々楽しみになったと言えそうだ。

 南カリフォルニアにおけるサラブレッド開催は、今週木曜日から日曜日まで4日連続でロスアラミトスにて行われた後、デルマーへ移動。デルマー開催終了後の9月に再びロスアラミトスに戻って来る予定だ。ロスアラミトス競馬場はロサンゼルス国際空港から車で30分程度という至便な場所にあるだけに、日本の競馬ファンの皆様も機会があれば、ぜひ訪れていただきたい競馬場と言えそうである。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング