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函館2歳S参戦の地方馬

  • 2014年07月11日(金) 18時00分


◆出走権のある3頭が出走予定

 今年も7月1日に“日本で最初の2歳重賞”栄冠賞が行われ、JRAでは7月19日に函館2歳Sが行われる。

 かつては2歳馬を中心に、夏のJRA北海道シリーズでは地方馬が活躍する場面をひと夏に何度も見ることができた。ところが最近では地方馬が勝つシーンを見ることもほとんどなくなり、2012年9月のすずらん賞(札幌)をシーギリヤガールが勝ったのが、JRA北海道シリーズでの最後の勝ち星となっている。

 原因としては、中央の2歳新馬戦の時期が早まったことや、単純に中央の2歳馬のレベルが上ったことなどさまざまに考えられるが、とにかく地方競馬のファンや関係者にとっては寂しい限り。

 函館2歳Sが8月に行われていた2011年までは、最初に地方馬が中央に挑戦するレースとして2歳オープンのラベンダー賞があり、そこを経由しての函館2歳Sだった。しかし2012年から函館2歳Sの開催が1カ月近く早まったことでラベンダー賞は消滅し、現在ではホッカイドウ競馬の2歳馬にとって最初の中央挑戦となるのが函館2歳Sとなっている。

 これにともない、函館2歳Sに出走するには、門別競馬場で行われる指定されたトライアル(ウィナーズチャレンジ2戦と栄冠賞)を勝つことが必須条件となった。

 函館2歳Sにはホッカイドウ競馬から3頭が出走可能だが、一昨年、昨年ともに出走したのは2頭。しかし今年は出走権を得た3頭ともが出走予定となっているだけに楽しみなところ。

 最初に出走権を獲得したのが、6月12日のウィナーズチャレンジ(門別1200m)を勝ったエンターザスフィア(牡、田中淳司厩舎)。父は今年の新種牡馬ヴァーミリアンで、デビュー戦となった5月15日のフレッシュチャレンジ勝ちは、新種牡馬産駒の勝ち馬第1号だった。ちなみに栄冠賞の1〜3着馬は、このエンターザスフィアが勝ったウィナーズチャレンジでの2、5、4着馬だっただけに、ここまでの実績では最有力といえそう。あとはヴァーミリアン産駒で芝はどうなのか。こればかりはやってみないとわからない。田中淳司厩舎は函館2歳Sには4年連続での挑戦となり、昨年はあのハッピースプリントが出走して5着だった。エンターザスフィアは、ウィナーズチャレンジでも手綱をとっていた岩田康誠騎手が引き続き函館2歳Sでも騎乗予定とのこと。

 6月26日のウィナーズチャレンジ(門別1700m)を勝って出走するのがタケルオウジ(牡、林和弘厩舎)。父はスウェプトオーヴァーボードだが、母の母エンゼルカロが、同じくホッカイドウ競馬所属馬として1999年の函館2歳S(当時は函館3歳S)を制している。つまり、もしタケルオウジが勝てば、ホッカイドウ競馬に所属していた祖母と孫による函館2歳S制覇となる。またエンゼルカロを管理していた林正夫調教師は、林和弘調教師のお父さん。こちらは父子での制覇となる。さらにエンゼルカロで函館3歳Sを制したときの鞍上、井上俊彦騎手は、タケルオウジのデビューから手綱をとっていて、引き続き函館2歳Sでも騎乗する予定となっている。

 そして栄冠賞(門別1200m)を制して臨むのがティーズアライズ(牝、小野望厩舎)。この馬はデビューから3戦とも直線一気という脚質。芝でその末脚が生かせるのかどうか、展開次第ということにもなりそうだ。栄冠賞を制したときの鞍上、松井伸也騎手は、福山競馬廃止にともなってホッカイドウ競馬に移籍し、栄冠賞での勝利が福山時代も含めての重賞初制覇だった。

 2007年、ハートオブクィーン以来の地方馬による函館2歳S制覇に期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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