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話道一筋!坂田博昭アナウンサーの心意気

  • 2014年07月15日(火) 18時00分
坂田博昭アナウンサー

坂田博昭アナウンサー



坂田博昭アナウンサー「ファンがどういうものを見て楽しいと思うのかがわかって初めて、面白いことを面白さとして伝えられると思う」

 グリーンチャンネルキャスター、門別競馬の実況、北海道市場のオークショニアなど、様々な角度から競馬を伝えるお仕事をしている、坂田博昭アナウンサー。特に今年からは、門別競馬との関わりが深まり、多くの人たちに楽しんでもらおうと、日々奮闘しています。そんな坂田アナの“伝えるプロ”としての心意気を伺いました。

赤見:これまでも門別競馬の実況をすることはありましたけど、今年からは坂田さんが中心となって、実況をはじめ新たな広報活動をしていますよね。

坂田:今は実況を中心に、他にもレース間のトークや告知のコーナーの内容を工夫したり、レース後にジョッキーや調教師のインタビューを収録してYouTubeにアップしたりしています。今は出来ることをどんどん出してる状態で、新しいことをやろうというよりは、いまあるものをきちんと知ってもらおうということを主眼に置いてます。あるものをちゃんと見せられれば、相当面白いですから、競馬は。

赤見:坂田さんといえば、長くグリーンチャンネルのキャスターを務めてらっしゃいますけど、門別競馬やオークショニアなど、中央地方問わずお仕事をされていますよね。

坂田:ありがたいことに、13年前に全くの素人からグリーンチャンネルでやらせてもらって、いろいろ見せてもらって、教えてもらって来たことがあるんですよ。JRAの仕事から始めさせてもらって、そこで得たものをいま使わせてもらいながら、競馬に対する恩返しの気持ちもありますし。以前から競馬に地方も中央もないって言ってやらせてもらってきましたが、今は中央と地方が連携していこうっていう時代。たまたまそれぞれお手伝いするチャンスをもらったのは、時代の流れの中のことかな、と思いますね。

赤見:門別競馬の見どころは? やはり2歳が圧倒的に強いというイメージがあります。

坂田:2歳馬戦は、単に2歳という年齢の馬が走っているわけではなくて、多くの馬がかなり早い段階から厩舎に入って調教されているわけですよ。なかには2歳の年明け前からという馬もいて。乗り馴らしからやっている人たちが、競馬にも乗るわけです。だから、ジョッキーたちも乗りこなしていますよね。その辺りのコミュニケーションとかはすごいです。そこを見て頂けたらと思いますね。

赤見:1歳からジョッキーが調教するというのは、他の競馬場ではあり得ないですもんね。まさに「育てる」という感じで。

坂田:やっぱりね、ジョッキーに聞くと想い入れが違うって言いますね。そういう気持ちでみんなプレーしてますから。

赤見:門別競馬の実況をする上で、大切にしていることはなんですか?

坂田:門別だから特別、ということはあまりないんですが、門別の競馬は、地方の中では広いコースの割に、ジョッキーが積極的にプレーするので、そういうところを見逃さないようにするってことですかね。

山口竜一調教師(門別)と一緒に

山口竜一調教師(門別)と一緒に


赤見:地方競馬には独特の実況をするアナウンサーが何人かいらっしゃいますけど、門別流、坂田流というのはありますか?

坂田:実況自体にはありません。今門別は全部で4人でやっているんですけど、みんなそれぞれ自分の形でっていうのがポリシーです。特にこうしてくれとは言うことはありませんね。

赤見:伝え手としての、坂田さんのポリシーは何ですか?

坂田:競馬と、他のスポーツとはちょっと違うんですよ。競馬のほかにもボートなど他の公営競技とか、カーリングなどの一般スポーツも手伝わせて頂く機会があるんですが、要素として正確さと面白さがあるとすると、公営競技は正確さの比率が高まります。お金が賭けられていますから。正確さの上に、そこにある面白さを発掘してどう見せるかっていう感じですね。特に実況はオフィシャルなので、まず正確さが大事。この上に、プレーヤーたちは面白いことをしているし、馬たちも大変面白いプレーをしてくれているので、それをちゃんと伝えるということです。面白くする努力というよりは、もう競馬は十分面白いので、その面白さをどう伝えるかですね。実況にしても司会にしても、形だけなら練習すれば誰でも出来るんですよ。でもその面白さというのは、自分もわかっていないと伝わらない。例えば血統とか馬の形とか難しいことはわからなくても、ファンがどういうものを見て楽しいと思うのかがわかって初めて、面白いことを面白さとして伝えられると思うんですよね。そこは大事にしています。だから、仕事中はともかく、空いている時間はとにかくレース見て、馬券買って楽しみますよ。私もただの一人の客です(笑)。

赤見:今後、門別競馬との関わりの中で取り組んでいきたいことはありますか?

坂田:やれることはたくさんあるはずだと思っているんですよ。それが今まで出来なかったことにも理由がある。一方で、全国の公営競技場とか、海外のレース場を見に行くと、色んな面白いことがやれている場所もたくさんあるんです。いまは、そうやって見てきたこと知っていることからやってみようと。いままで出来なかった事情を一つひとつ解決する方法をレース場の皆さん方と一緒に考え、レース場の中のエネルギーがいい方向へかみ合ってくれば、レース場はもっと面白くなると思っています。それが出来るようになったら、次はまさに門別でしか出来ないこと、ですよね。そこまで行くには、私自身もっともっと勉強しなければいけないと感じます。この競馬場のこと、競馬のこと、競馬を楽しむお客様のこと、この北海道の、この日高という場所のこと。そういうこと全て、ですね。

赤見:門別は馬産地っていうのも大きいですよね。

坂田:単に競馬場として考えたら、門別は恵まれていると思うんですよ。地元が馬産地で、多くの皆さんが競馬を応援して下さいますから。そもそも競馬場とか公営競技って、言ってみればそこになくてもいいわけじゃないですか。もしかしたら、迷惑と思われることもあるかもしれない。それでもそこにあることを認められるために、競馬場が出来ることは何なのか、ということですよね。その場所に、そのレース場が存在する意義。その場所にあり続けるために競馬場が出来ることはなんなのかっていうことですよね。遊び場としての立地はいいのに、なくなってしまった公営競技場をたくさん知っています。そういうことを目の当たりにすると、そこに競馬場があって良かったって地元の人が感じることが大事だと心から思います。そういう意味では馬産地にあって、皆さんが応援して下さるというのは本当に大きいですよね。

赤見:では、競馬ファンの方々にメッセージをお願いします。

坂田:門別競馬場に来るっていうのはなかなか大変なことだと思うんです。単純に、遠いですから(笑)。でも、門別はまずテレビやネットで見てもらっても十分楽しんで頂ける、レース場にしていきたいです。ネットで見て、馬券も楽しんでもらって、この競馬場楽しそうだなってなったら、次は門別競馬場行ってみたいなと。いつか旅行で行ってみようか、馬の牧場の見学もいいかも、とかって、思ってもらえるキッカケになったら、本当に嬉しいですね。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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