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新人騎手の活躍

  • 2014年07月18日(金) 18時00分


◆新人騎手がデビュー前に掲げた目標

 今年4月に地方競馬でデビューした新人騎手は12名。まだ3カ月ちょっとしか経っていないものの、その中にはすでにリーディング上位の活躍を見せている騎手がいる。

 北海道では、一昨年デビューした阿部龍騎手、昨年の井上幹太騎手、石川倭騎手と、毎年のように新人騎手の活躍が目立っているが、彼らに続いたのが水野翔(かける)騎手だ。7月17日現在、110戦15勝は北海道リーディングで10位。19勝(6位)の阿部騎手には及ばないが、石川騎手(12勝)、井上騎手(9勝)らひとつ上の先輩よりはすでに上にいる。

 最近の新人騎手は、中央と地方を受験して、中央は落ちたから地方に来たという騎手が少なくない中、水野騎手は地方も中央もわからず、自分でネットで調べて受けたのが地方競馬の騎手過程で、乗馬の経験はなかったものの、中学3年のときに一発合格だった。

 自宅は川崎市で、川崎競馬場の小向の厩舎にも近いそう。しかし北海道に所属したのは、指導教官に、「北海道は2歳馬の調教があってうまくなる」と言われたからとのこと。北海道から強い2歳馬が出てくるのは毎年のことだが、北海道でデビューする新人騎手が活躍するのは、そうしたことと無関係ではないだろう。

 デビュー前のインタビューで話していた1年目の目標は30勝。ホッカイドウ競馬の開幕は4月23日で、実質的に騎乗しているのはまだ3カ月弱。それでも目標のちょうど半分の勝ち星を挙げている。

 そして新人騎手の中でダントツの勝ち星を挙げているのが金沢の中島龍也騎手で、7月17日現在238戦24勝は、金沢リーディングの7位。

 千葉県鎌ヶ谷市の出身で、希望は当然のように同県内の船橋だったが、やはり指導教官の勧めで南関東所属は断念し、昨年厩舎を開業したばかりの、金沢の加藤和義厩舎の所属となった。

 何より、これまで1番人気馬に26回騎乗して、13勝2着10回と、人気馬で確実に結果を残しているのは素晴らしい。金沢競馬は基本的に週2日の開催で、これまで30日間の騎乗機会で238回の騎乗。1日平均7.9鞍という騎乗数は、関係者に信頼されている証し。

 7月上旬に話を聞く機会があり、同期の中ではダントツの勝ち星であることを聞いてみると、「勝ち鞍なんて関係ないです。乗り鞍に恵まれた中で、たまたま勝ててる感じです」という答えが返ってきた。中でも「まだまだぜんぜんです」「むずかしい」という言葉を何度も繰り返していたのが印象的だった。勝ってもなお競馬が難しいと感じているのは、強い向上心からだろう。

 デビュー前に目標として掲げていたのは、「1年目で減量を取る30勝と、重賞勝ち」。金沢では減量が取れないと重賞には騎乗できない。そのため、7月1日に行われた読売レディス杯で、お手馬が乗替りになってしまったのはちょっと悔しかったようだ。ただ、そのとりあえずの目標まで、あと6勝。もう間もなく、重賞で騎乗している姿も見られそうだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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