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2歳も兵庫からトーコー軍団

  • 2014年07月25日(金) 18時00分


◆まずはトーコーヴィーナスが初陣を飾る

 7月ももう終盤だが、今年前半の地方競馬を振り返ると、ダートグレードで勝ったのは、かきつばた記念での兵庫のタガノジンガロのみと、例年以上に苦戦。とはいえ、ジャパンダートダービーでは惜しくもハナ差で2着だったものの、南関東三冠戦線でのハッピースプリントの活躍は大いに注目となった。また兵庫のトーコーニーケは関東オークスで2着に好走したことで、グランダム・ジャパン3歳シーズンでぶっちぎりの優勝となった。そして“トーコー軍団”といえば、昨年2歳時から期待の高かったトーコーガイアが、途中一頓挫がありながらも目標としていた兵庫ダービーを制して見せた。

 こうして見ると目立っているのが兵庫勢の奮闘だ。まったく残念なことではあったが、帝王賞でオオエライジンが予後不良となったことも前半の大きな話題だった。園田競馬場だけでなく、大井競馬場にも献花台が設置されるなどして全国から追悼の声が寄せられたのは、成績だけではない、この馬に対する注目の高さをあらためて思い知らされた。

 “トーコー軍団”といえば今週、期待の2歳馬が見事にデビュー戦を勝利で飾った。7月24日の初出走2歳戦(820m)で断然人気の期待にこたえるレースぶりを披露したのが牝馬のトーコーヴィーナス。

 父はクロフネ。母ホーネットピアスは、97年のJRA桜花賞でキョウエイマーチ、メジロドーベルに続いての3着という活躍。半兄には今年かしわ記念に出走(7着)したコンノートがいる。現3歳世代のトーコー軍団同様の高額馬で、昨年のセレクトセール(1歳)で3000万円(税別)で現オーナーが落札した。ダートグレードを除く賞金体系を考えれば兵庫に3000万円という新馬が入厩するのは異例のこと。

 そのデビュー戦は、勝ったとはいえ直線でムチを入れられるとフラフラしたり気を抜いたりするところがあり、管理する吉行龍穂調教師によると、調教でもまったく真剣に走っていないし、気性的にもまだまだ子供とのことだった。

 さらに今年の2歳馬には、トーコーファラオという牡馬もいる。父はヴァーミリアンで、同じセレクトセールで1400万円(税別)。こちらは7月10日の初出走2歳戦(820m)で2着に負けてしまったのだが、雨の不良馬場でスタートで滑ったことが原因。

 トーコーヴィーナスはスピードタイプ、トーコーファラオはヴァーミリアン産駒でもあり馬力タイプと、それぞれ別の路線での活躍が期待できそうで、現3歳世代のトーコー軍団よりも能力は上なのではないかとのことだから、その期待のほどがうかがえる。

 冒頭でも触れたとおり、地方競馬全体で見ればダートグレードではやや苦戦を強いられているが、各地からこうした活躍馬や注目馬が出てくるというのは、今年度もここまで(4〜6月)の売上げが、全国計の総売得額で前年同期比108.0%、1日平均で同105.5%、また兵庫では総売得額117.1%、1日平均111.4%と、引き続き好調に推移していることと無関係ではないだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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