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ブリーダーズゴールドカップ

  • 2014年08月20日(水) 18時00分
門別競馬場のパドック

門別競馬場のパドック



ブリーダーズゴールドカップのさらなる発展を考えれば、中央勢を迎え撃つ地元道営勢のレベルアップが不可欠

 8月14日(木)。お盆開催に合わせて毎年門別競馬場で開催されるのがブリーダーズゴールドカップである。今年から出走条件が3歳以上牝馬限定となり、格付けもJpnIIIに変更された。

 第1回は札幌競馬場で行なわれ、笠松から遠征してきたフェートノーザンが優勝した。しかし、それ以後はずっと中央所属馬が勝ち続けており、唯一2007年に旭川で行なわれた第19回にてホッカイドウ競馬所属のギルガメッシュが勝っているものの、この時には折から発生した馬インフルエンザのために中央馬の遠征が取り止めとなったことが勝因で、実質的に中央馬の独占が続いていた。

 そこで今年から、ファンの裾野拡大とホッカイドウ競馬の特色づくりを目的として、道営競馬に数多く在籍する牝馬のレースを拡充するべく、この日を「レディースDAY」とし、メインのブリーダーズゴールドカップの他、2歳牝馬オープンによる「第1回フルールカップ」(H3)という重賞も新設。全12レースのうちこれら2重賞を含め4レースを牝馬限定とした。

 幸いにもこの日は天候に恵まれ、またお盆休みとも重なったことから数多くのファンが入場し、最終的には2140人が競馬場を訪れた。

 ブリーダーズゴールドカップは平成元年よりスタートし、今年で26回目を迎える。中央馬5頭、地元馬7頭、岩手からの遠征馬2頭という顔ぶれがそろった。

 人気は川崎・エンプレス杯と船橋・マリーンカップを連勝し、前走の平安ステークスでも牡馬に伍して3着と健闘したワイルドフラッパー1頭に集中した。実に単勝1.1倍で、ほぼ負ける要素が見当たらないほどの支持率であった。

 2番人気はサンビスタの4.3倍。3番人気はケイティバローズの10.1倍。以下マーチャンテイマー25.6倍、リアライズキボンヌ68.4倍と続いた。ここまでの5頭が中央馬で、地方馬は6番人気のココロバ219.1倍が最高である。中央馬と地方馬とでは人気があまりにも隔たり過ぎて、馬券的妙味に乏しいレースとなった。

 レースは予想通りワイルドフラッパーが先行し、中央勢がそれを追う形で進んだ。地方勢はいずれも後方からのレースとなり、あまりにも両者の力量差があり過ぎて勝負にならない。後はワイルドフラッパーがどんな勝ち方をするかという点に興味が絞られたが、何と4コーナーを回って抜け出してきたのは2番人気サンビスタで、どんどんワイルドフラッパーを置き去りにして3馬身差でゴールしたのであった。

ブリーダーズゴールドカップを制したサンビスタ

ブリーダーズゴールドカップを制したサンビスタ



 圧倒的人気を背負ったにもかかわらずワイルドフラッパーは2着に敗退。3着にはクビ差まで迫ったマーチャンテイマーが入った。

 以下4着はケイティバローズ(7馬身)、5着はリアライズキボンヌ(3馬身)。終わってみれば、1着と2着こそ入れ替わったものの、上位5着までをすべて中央馬が占め、予想通りの結果となった。

ブリーダーズゴールドカップの口取り風景

ブリーダーズゴールドカップの口取り風景


 勝ったサンビスタは父スズカマンボ、母ホワイトカーニバル、母の父ミシルの5歳牝馬。栗東・角居厩舎所属。鞍上は岩田康誠騎手。(株)ヒダカ・ブリーダーズユニオンが馬主で、(有)グランド牧場の生産。これで通算成績を16戦6勝とし、中央地方合わせて獲得賞金が1億1161万3千円となった。

サンビスタ関係者の記念撮影

サンビスタ関係者の記念撮影(中央はプレゼンターの福島千里さん)


 ワイルドフラッパーがよもやの2着に敗退したのは誤算と言えば誤算だったが、地元のホッカイドウ競馬関係者からすれば大した違いではなく、まるで歯が立たなかったという意味では何も変わらない。あらかじめ予想していた通りの、何とも厳しい結果になってしまった。

 最終12レースには前述したように「第1回フルールカップ」が行なわれた。こちらは地元勢9頭によって争われ、2番人気コパノハートが2着ホワイトラヴィーナに8馬身もの差をつけて優勝。成績を2戦2勝とした。今年絶好調のコパさんこと小林祥晃氏の所有馬で、岩橋勇二騎手が騎乗。田中淳司厩舎の所属。生産は新ひだか町・(有)へいはた牧場である。

フルールカップの口取り風景

フルールカップの口取り風景


 この日は2重賞が組まれ、昨年を上回る12レースで123頭の出走馬を確保したものの、入場人員は104人減の2140人、売り上げも約3920万円減の4億997万6700円であった。

 道営馬だけの争いであれば気にならないが、ひとたびオープンクラスが交流重賞で対戦すると、ほぼ中央馬の独壇場になってしまう。強い馬ほど他地区に引き抜かれ、あるいは転厩してしまう現状では、牝馬限定であってもかなり不利な戦いを強いられる。ブリーダーズゴールドカップのさらなる発展を考えれば、中央勢を迎え撃つ地元道営勢のレベルアップが不可欠である。地の利を生かして中央勢と対等な勝負のできるような古牝馬がいなければ、やはり見ていてつまらない。地元勢のいっそうの奮起が求められる。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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