スマートフォン版へ

【特別企画】ショウナン国本哲秀氏(4)『社台グループと日高地方の格差について』

  • 2014年09月01日(月) 17時57分
(第3回のつづき)

──先入観は持たないなかでも、やはり配合にはこだわりがありますか?

国本 もちろん、血統はチェックしますよ。でもね、見たとしてもせいぜい3代前までだね。今年のセレクトセールも、事前に血統と写真を見て、いいなと思った馬にはチェックを入れていったんだけど、結局、チェックを入れた馬は1頭も買わなかった。やっぱり馬って、実際に見たうえでの直感が大事なんだよ。だって、全兄弟だって同じ形、同じ性格には生まれないんだからね。僕は基本的に柳の下に二匹目のドジョウはいないと思っているから、繁殖でもなるべく種馬は変えるようにしてる。

──成功例が出ても、同じ種馬を付け続けないということですね。

国本 もちろん、何度か同じ種馬を付けることもありますよ。でも、あえて変えていくことで、それまで隠れていた血の力が出てくるケースもあるんじゃないかなって。もちろんリスクはあるけどね。こだわりというわけではないけど、種馬を変えることを怖がらずにやっていこうとは思っています。なにしろ、大事なのは“本馬”を見たときの直感。自分の目を信じるしかないからね。

ショウナン企画

▲「大事なのは“本馬”を見たときの直感。自分の目を信じるしかない」


──自家生産馬が増えたことで、現在は育成にも力を入れてらっしゃいますよね。

国本 日高にうちの馬だけの牧場があって、そこでは昼夜放牧をしているのだけど、それは僕のこだわりだね。雪が降ろうとなんだろうと昼夜放牧をさせているから、馬もつらいみたいだけどね(笑)。

──やはり精神面を鍛えるためですか?

国本 そうです。海外のやり方も含め、いろんな人に話を聞いて、やっぱり精神面を充実させることが重要なんじゃないかと思ったんです。始めたのはここ4、5年だけど、やっぱり馬が変わってきた。もちろん、そこでダメになってしまう馬もいるんだけど、そういうことも覚悟して、馬とは関わっていかないとね。

 それと、基本的な体力を付けさせるために、入厩させるまでの2歳馬については4000mくらいじっくりと乗らせてます。そのあと坂路で軽く2本やるくらいで、強めなんかいらないからと。そういうことをね、ここ4、5年で1か所に集めてやり出したんですよ。

 手前味噌ではありますが、おかげさまで成績も上がってきてね。繁殖も増えて、その子供たちが重賞で活躍してくれるようになりましたからね。とはいえ、野球の打率でいえば3割、10頭に3頭走れば最高っていう世界。夢はあるけど、最近は疲れちゃうよ(笑)。

──そんなことおっしゃらずに、オーナーにはもっともっと競馬界を盛り上げていただかないと! ところで、社台グループと日高地方の格差が広がって久しいですが、この現状についてはどうお考えですか?

国本 僕は何年も前から言っているんだけど、日高地方の牧場が

続きはプレミアムサービス登録でご覧になれます。

登録済みの方はこちらからログイン

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeiba豪華ライター陣による本格的読み物コーナー。“競馬”が映し出す真の世界に触れてください。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング