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【祐一History vol.14】『記憶のなかの母親は、いつも笑っている』

  • 2014年09月02日(火) 18時00分
祐言実行

自分が守れる範囲の人を大事にしたい


 自分の人生を振り返るうえで、北橋先生は欠かせない存在だが、そもそも北橋先生と父親がどういう関係にあって、自分をここまで可愛がってくれるのか、その原点を自分は聞いたことがない。麻雀仲間だったということは唯一聞いたことがあるが、そのほかに一緒に飲み歩いていたとか、そういう話を聞いたことがないのだ。

 北橋先生には、子供の頃から本当に可愛がってもらった。遊園地に連れて行ってもらったり、外食に連れて行ってもらったり。先生の厩舎に泊まりに行ったりもしていたし、自分と妹にとっては父親代わりといえる存在だった。なにしろ、この世界に入るまで、“修ちゃん”て呼んでいたからね(笑)。これからは、“修ちゃん”を“先生”と呼ばなくてはいけないというのが、騎手としての最初の課題だったと思う。

 だからこそ、自分も原点は知りたいし、知っておくべきだと思うから、ぜひこのコラムの特別編として、北橋先生に取材してほしいと思っているのだけど、どうだろう(笑)。

祐言実行

▲2006年2月28日付けで定年により引退した北橋修二元調教師


 以前にも書いたが、母方の祖母の妹が栗東で開業していた日迫清調教師の奥さんで、その縁で父と母は出会ったという。で、北橋先生の奥さんと、日迫清調教師の奥さんが仲が良かったというから、ひょっとしたらその縁で、父親がケガをしてからも付き合いがあったのかもしれない。

 どちらにしても、母親か北橋先生に直接確かめればいい話だが、自分は今まで一度もその原点について聞いたことがない。祖父母の助けもあって、それほど子供の頃から違和感のない生活を送ってきたんだと思う。すべてのことが当たり前の日常で、「なぜ?」とか「どうして?」とか、疑問を挟む余地がなかったのだ。

 これまでにも、度々このコラムに登場した母親だが、そもそも

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祐言実行とは
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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