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札幌開催、終了

  • 2014年09月10日(水) 18時00分
リニューアルを経て2年ぶりの開催となった札幌競馬場のパドック

リニューアルを経て2年ぶりの開催となった札幌競馬場のパドック



こんなに人が集まるのならば、もう少し開催日を増やしても良いような気さえしてくるのだが・・・

 去る9月6日と7日の土日で今年度の中央競馬札幌開催が終わった。一昨年以来、リニューアルを経て2年ぶりの札幌開催とあって、6週間があっという間に過ぎた印象だ。

 3回しか現地に行けなかったが、どの日も競馬場が混雑していた。とりわけ驚いたのは8月24日の札幌記念の日であった。

 この日、第1レースの前に競馬場に到着してみると、JR桑園駅方面から競馬場まで、歩道を埋め尽くして人々が列を作っていた。太陽光線が強く照りつける中、辛抱強く並んでいる人々の姿を見て、入場するだけでも一仕事だと同情したくなった。

 この日、競馬場ではあまりの人の多さに開門時間を30分早めたというが、その時点で7000人以上が並んでおり、近年稀に見る混雑であったらしい。

 最終的にはこの日、4万6000人が競馬場を訪れた。こうなるとどこに行ってもラッシュ時の都心のターミナル駅のような状態になり、馬券発売機や食事する場所はもちろんのこと、飲み物を買う自動販売機でさえ列ができていた。この人数ではあまりにも多すぎて、圧倒的に腰を降ろして休憩する椅子もない。開門と同時にダッシュして席取りをする熱心なファンにより、早々に椅子はすべて埋まってしまうので、残る手段は敷物や折り畳み椅子などを持参して芝生の上や通路などに“居場所”を確保するしかない。とにかく凄まじいほどの混み方であった。

 毎年、札幌記念は好メンバーが揃うことから人気が高く、今年もまたGI馬が4頭も顔を合わせたため、非常に注目度の高いレースになった。ゴールドシップとハープスターの初対決はインパクト十分で、より多くのファンが集まることになった。

ハープスター

札幌記念を制し口取りに向かうハープスター



 結果は周知の通り、直線でこの2頭が抜け出し、最内を進んだハープスターが外から迫るゴールドシップを4分の3馬身抑えて優勝した。3着のホエールキャプチャから5馬身の差をつけ、内外離れたマッチレースに持ち込んだゴールドシップは、負けてなお強しの印象を残してくれた。斤量差(5キロ)も大きかったように思う。

 人気のある馬が複数揃うといかに人が集まるかということをまざまざと見せつけてくれた気がする。加えてリニューアル年、好天にも支えられて、この日の札幌は歴代屈指の人出であった。

ゴールドシップ

負けてなお強しの印象を残してくれたゴールドシップ



 最終週の9月6日(土)にも札幌競馬場に行った。この日のメインは札幌2歳ステークス。また最終レース後にパドックでジャングルポケットがお披露目されることもあり、一昨年の同じく札幌2歳ステークスが行なわれた2012年9月1日(土)と比較すると24.6%増となる18160人が競馬場を訪れた。

 さすがに札幌記念の当日と比較するとずいぶん少ないとは感じたものの、それでもスタンドはぎっしりと埋まっており、芝生にも敷物が隅々まで広がっている。天気も良く、重賞も組まれていることからこの日も数多くの人々が競馬場に詰めかけたようだ。

 レースはネオユニヴァース産駒のブライトエンブレムがゴール前に馬群から抜け出し、マイネルシュバリエを1馬身4分の1退けて優勝した。母ブラックエンブレムは2008年の秋華賞を含む4勝を挙げた名牝である。ノーザンファーム生産で(有)シルクの所有馬。

ブライトエンブレム

札幌2歳Sを制したブライトエンブレム



 結局、札幌シリーズは7月27日のエルムステークスから、8月3日クイーンステークス、24日札幌記念、31日キーンランドカップ、9月6日札幌2歳ステークスと計5つの重賞が行なわれたが、社台ファームが1つ、ノーザンファームが3つを制し、日高産馬は苦戦を強いられた。唯一クイーンステークスのキャトルフィーユだけが新ひだか町のケイアイファーム生産馬とはいえ、この馬は姉にレディアルバローザ(中山牝馬ステークス2回優勝)のいるディープ産駒でかなりの名血馬ゆえ、日高の中では例外的な存在に属する。

 平場ではサマーセールやオータムセールなどで購買された比較的安価な馬たちもそれなりに健闘しているものの、クラスが上に行けば行くほど血統の善し悪しが成績に出てくるような気がする。とりわけ牝馬はそういう傾向が強い。

 ともあれ、これで道民にとっては、来年の初夏までしばらく中央競馬とはお別れになる。最終日の9月7日(日)は、実に3万2268人が札幌競馬場に詰めかけたという。こんなに人が集まるのならば、もう少し開催日を増やしても良いような気さえしてくるのだが・・・。

 それともうひとつ。なかなか難しい面があることは重々承知の上で敢えて書くが、札幌開催に限り、特別レースにも生産者のお立ち台が用意されるようになったのは非常に喜ばしいものの、そこで手渡される記念品があまりにも貧弱だと何人もの生産者が不満を口にしていた。ビニールに入ったターフィー人形? を手渡されていたようだが、それを実際に受け取った生産者にもおそらく不評であったろう。本来、特別競走には生産者表彰がないのだが、札幌限定の優遇措置だとするのならば、もっと別のものを手渡して頂く方が絵にはなると思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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