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ハープスターと同じ「ディープ×ファルブラヴ」のトラストニーケー

  • 2014年09月17日(水) 12時00分
ダノンブライト(牡 栗東・大久保龍志 父ディープインパクト、母ペニーズフォーチュン)
 2代母Lovlier Lindaはサンタマルガリータ招待H(米G1・ダ9f)など重賞5勝。母ペニーズフォーチュンの半兄Old Triesteは、わずか3年間の供用で早世したものの、本邦輸入種牡馬シニスターミニスターなどを送り出した有能な種牡馬だった。「ディープインパクト×Storm Cat」なのでキズナ、アユサン、ヒラボクディープ、ラキシスなどと同じ。この配合で重要なのは、残り4分の1の部分にHyperion-Alibhaiのようなブリティッシュトラッドの王道を添えることで、要するに重厚なヨーロッパ血統で底力をサポートしていくことが大事。本馬の2代母はHerbager系のVigorsが父、Djebel系のCrozierが母の父。アメリカ血統でありながら豊富なヨーロッパ血統を受けているので底力があり、先述のとおり現役時代にG1を制覇した。ブリティッシュトラッドではないものの配合の方向性としては正しく、期待が持てる配合馬といえる。Vigorsの晩成傾向が現れなければPOG期間中の活躍が期待できる。芝向きの中距離タイプ。

トラストニーケー(牝 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母デアリングシスター)
 母デアリングシスターは不出走馬。その半兄にダート重賞を3勝したピットファイター、半姉に芝1800mの重賞を3勝したデアリングハートがいる。本馬は名牝ハープスターと同じ「ディープインパクト×ファルブラヴ」だが、あちらは名牝ベガの孫で、2代母トニービンがうまく底力として機能していた。ただ、両者とも母にNorthern Dancer 3×3があるという点は共通しており、こちらはNorthern Dancerの片方がDanzigであるのもミッキーアイルを彷彿させるポイントなので悪くない。ハープスターよりは距離適性が短くなりそうだが、マイルあたりまでは十分こなせる。仕上がりが早そうなので2歳戦からどんどん稼げそうだ。

ミカエルシチー(牡 栗東・橋口弘次郎 父エンパイアメーカー、母テンシノキセキ)
 母テンシノキセキはフェアリーS(GIII)とセントウルS(GIII)の勝ち馬。旧中京芝1200mで1分06秒9のレコードを樹立したスピード馬だった。繁殖牝馬としてはカレンナホホエミ(09年フェニックス賞-OP)を産んでいる。非力な産駒が目立つので、父エンパイアメーカーの馬力を取り込むことができればおもしろい。Gana Facil≒ミルレーサー3×3、Image of Reality≒Marston's Mill 3×4、という組み合わせクロスがダブルで施されている配合は鮮やか。Unbridledとフジキセキを併せ持つ産駒は、過去JRAで走った8頭からアカンサス、ロードクルセイダー、トーホウアマポーラ、キンシノキセキなどが出ている。ダート向きの中距離タイプ。

ユアインマイハート(牝 栗東・昆貢 父ハーツクライ、母アドマイヤアモーレ)
 母アドマイヤアモーレは準OPまで出世した活躍馬で、日本に入ったFusaichi Pegasus牝馬のなかでは最も走った馬だけに、繁殖牝馬としても期待できる。父ハーツクライはSeattle Slewと相性がいいが、本馬はそれ以外に、Storm Cat、Mr.Prospectorを併せ持ち、Northern Dancerクロスも持つ。マジェスティハーツ(13年神戸新聞杯-GII・2着)と構成要素が似ているのでおもしろい。ダービー馬ワンアンドオンリーやオークス馬ヌーヴォレコルトと同じく、仕上がり早のMr.ProspectorとDanzigを併せ持っているので、3歳春にピークを持ってこれるタイプだろう。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

レインボーソング(牝 栗東・中内田充正 父ゼンノロブロイ、母レーゲンボーゲン)
 全姉アニメイトバイオはローズS(GII)を勝ち、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)、秋華賞(GI)でも2着となった実力馬。半姉ホーマンフリップ(父フジキセキ)はファンタジーS(GIII)2着馬。フレンチデピュティは母の父として優れており、なおかつ2代母レインボーファストはセキテイリュウオー(重賞2勝、天皇賞・秋2着)の半妹で、ヨーロッパ血脈を豊富に含んでいるのでゼンノロブロイと合うのだろう。「ゼンノロブロイ×フレンチデピュティ」は出走18頭中14頭が勝ち上がる確実性の高いパターン。すでに9月5日から栗東の坂路で乗り込んでおり、デビュー時期はそう遠くはないだろう。姉同様の活躍を期待したい。

レッドシェダル(牝 栗東・橋田満 父ジャングルポケット、母スターリーロマンス)
 若葉S(OP)を勝ったダノンミルの全妹で、母スターリーロマンスは名種牡馬フジキセキの全妹にあたる良血。ダノンミル以外にも、ノボリディアーナ(父フレンチデピュティ/白百合S-OP)、クリスティロマンス(父シンボリクリスエス/3勝)、ファイブスター(父クロフネ/3勝)とコンスタントに走る馬を出しており、兄姉はすべて3勝以上を挙げている。「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」の組み合わせは、“2代母の父"の部分にスピードタイプや軟弱な血が入るともうひとつの成績で、いかついNorthern Dancer系やヨーロッパの重厚な血が入るとうまく行く。本馬はその部分にLe Fabuleuxというフランス産の重厚なスタミナ血統が入るので悪くない。全兄ダノンミルを超える活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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