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外枠で戸崎、内枠で岩田、雨が降ったらドクターコパ

  • 2014年10月02日(木) 12時00分


スプリンターズSといえば「7枠」とここ数年、バカの一つ覚えみたいに書き続けている。
でも今年は中山ではなく新潟開催だ。だから一つ覚えの「7枠」が書きにくい。
正直、「それでも7枠」という気持ち、未練はあるけれど、説得力を持って書ききる自信もないので、それはやめておく。やっぱり中山のコースと新潟のコースは違うから、枠に関しては触れづらい。土曜日や日曜日の傾向を見ればすむことでもあるし、今年は週末のお楽しみにしておこう。

とはいえ、中山から新潟に替わろうが過去10年からわかる「適性」はある。
過去10年を見ればわかることだから、すでにいろんな場所でいじられているかもしれないけれど、自分も参加しておく。

たとえば騎手。
スプリンターズSは騎手にほとばしる前向きさが求められるレースかもしれない。
G1だし、騎手が前向きなのは当たり前っちゃー当たり前だ。
けれど、ほとばしるような前向きさとなるとなかなか難しい気がする。それはアドレナリンやハングリーといったものにもれなくついてくるモノにも思えるからだ。

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スプリンターズSは地方出身騎手か外国人騎手を軸にすれば、だいたい当たる。
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13年 1着 岩田(ロードカナロア)
12年 1着 岩田(ロードカナロア)
11年 2着 安藤勝(パドトロワ)
10年 1着 ライ(ウルトラファンタジー)
09年 2着 安藤勝(ビービーガルダン)
   3着 小牧太(カノヤザクラ)
08年 2着 岩田(キンシャサノキセキ)
   3着 安藤勝(ビービーガルダン)
07年 該当なし
06年 1着フォード(テイクオーバーターゲット)
05年 1着コーツィー(サイレントウィットネス)
04年 3着プレブル(ケープオブグッドホープ)

07年以外では、すべて該当している。
07年と04年以外ではすべて連対で該当している。

5勝2着3回3着3回

地方出身騎手と外国人騎手でもうだいたいだ。だいたいにもほどがある。

ではなぜそうなのか?

地方出身騎手と外国人騎手は上手いから。
ハイ、正解!
まあそれもそうだけど、実際、それが正解かもしれないけれど、それを理由にするのもナニがナニしてなんだなぁ〜。

賞金が高いから。
ハイ、正解!
でもそれはどんなG1でも同じで、スプリンターズSに強い説明にはならない。賞金的にはもっと強くなければいけないレースもいっぱいある。

よくわからないけれど、わかんないなりに貧しい脳みそをフラペチーノして考えてみた。
もしかしたら、短距離G1には騎手の前向きな技術も必要とされるのではないか。

たとえば小回りで先行有利な地方競馬ではスタートと1角までの入り、ポジション取りが大事と言われ、それが上手い騎手が名手の階段を昇って行けるとも言われる。だから、地方の雄になる頃には前向きな技術は完成し、染み付いているともいえる。
それは外国人騎手にも言えることで、先行させて折り合わせる、最短距離を走らせるといった合理的騎乗を常に求められているから、前向きな技術はふつうにあるはず。1球目から大きく振っていくし、もしくは振っていける野球の外国人選手を思い出せばわかりやすいか。ただ前向きなだけでなく技術のある前向きさ。

事実、上記した騎手の位置取りは逃げ・先行が多く、後方にいたとしても中団真ん中だ。後方からの差し・追い込みで馬券になったのは3着した小牧騎手しかいない。

地方出身騎手や外国人騎手にはそれがふつうに染み付いているから、短距離G1では好成績を納めているのではないか?

その証拠に同じ1200のG1・高松宮記念でも同じような傾向が見られる。

14年 1着・Mデムーロ(コパノリチャード)
   3着・岩田(ストレイトガール)
13年 1着・岩田(ロードカナロア)
12年 該当なし
11年 1着・リスポリ(キンシャサノキセキ)
10年 2着・安藤勝(ビービーガルダン)
   3着・岩田(エーシンフォワード)
09年 該当なし
08年 2着・岩田(キンシャサノキセキ)
07年 3着・安藤勝(プリサイスマシーン)
06年 該当なし
05年 該当なし

10年で3勝2着2回3着3回。直近5年で4連対だ。

中山のスプリンターズSでも、中京の高松宮でも、改修前の高松宮(10年以前)でも、阪神開催だった高松宮(11年)でも同じような傾向が見られたということになる。
つまり、1200のG1は、どこの競馬場でも、同じように、
地方出身騎手か外国人騎手の前向きな技術が功を奏すのでは? というわけだ。

ならば新潟でも同じように…と想定できなくはない。

という前提の上で、
さらに、ここに、
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ときどき池添をまぶせれば予想はもっと当たる。
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前記の過去10年に池添を振り掛けてみる。

13年 1着・岩田(ロードカナロア)
   3着・池添(マヤノリュウジン)
12年 1着・岩田(ロードカナロア)
   2着・池添(カレンチャン)
11年 1着・池添(カレンチャン)
   2着・安藤勝(パドトロワ)
10年 1着・ライ(ウルトラファンタジー)
09年 2着・安藤勝(ビービーガルダン)
   3着・小牧太(カノヤザクラ)
08年 2着・岩田(キンシャサノキセキ)
   3着・安藤勝(ビービーガルダン)
07年 該当なし
06年 1着・フォード(テイクオーバーターゲット)
05年 1着・コーツィー(サイレントウィットネス)
   2着・池添(デュランンダル)
04年 2着・池添(デユランダル)
   3着プレブル(ケープオブグッドホープ)

5勝2着3回3着3回が6勝2着6回3着4回になった。
07年以外ではすべて連対で該当するようになるだけでなく、馬券圏内に7回も2人セットで入ることにもなった。

高松宮記念にも振り掛けてみる。

14年 1着・Mデムーロ(コパノリチャード)
   3着・岩田(ストレイトガール)
13年 1着・岩田(ロードカナロア)
12年 1着・池添(カレンチャン)
11年 1着・リスポリ(キンシャサノキセキ)
10年 2着・安藤勝(ビービーガルダン)
   3着・岩田(エーシンフォワード)
09年 該当なし
08年 2着・岩田(キンシャサノキセキ)
07年 3着・安藤勝(プリサイスマシーン)
06年 3着・池添(シーイズトウショウ)
05年 該当なし

10年で3勝2着2回3着3回が4勝2着2回3着4回になった。
直近5年で5連対だ。

(池添については、いい馬に騎乗しているからとか、1200の走らせ方を知っているからとか、理由はあるのでしょうけど、ここではセンスがあるからにしておく)

ちなみに12年前に新潟で行われたスプリンターズSには地方出身騎手も外国人騎手もいなかった。

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戸崎・岩田・小牧・ペロヴィッチ、ときどき池添
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今年騎乗しそうな地方出身騎手と外国人騎手と池添騎手を予想人気付きで当てはめてみる。

戸崎のハクサンムーン 1人気
岩田のストレイトガール 2人気
小牧のマジンプロスパー 14人気
ペロヴィッチのハナズゴール 11人気
池添のマヤノリュウジン 7人気

人気のバランスはいい。
本命がいて、伏兵がいて、穴がいる。
もうこれでいいんじゃないか?
そう思うくらいだ。

ただ1人気のハクサンムーンと2人気のストレイトガールは鞍上含めて気になるところ。
上記したように地方出身騎手は安藤勝騎手と岩田騎手で回っていたようなもんだからだ。
安藤勝騎手が引退して、戸崎騎手が台頭するとしたら…。
ひじょうにわかりやすい盟主争いの勃発だ。

では、どっちを重視するのが賢明なのか?
それは枠が大きく左右するように思える。

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ハクサンムーンは内枠になったらどうするのだろう?
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ハクサンムーンは、前走番手競馬で上手に立ち回って2着した。
そのことから競馬に幅が出たという見方はできる。
けれど、それは前走が8枠だったからできた芸当ではないか?
もし前走内枠にいたらどうだったろう。外から被せられても、上手に競馬ができたのだろうか?
そこは未知だ。

今回も外枠(7・8枠)に入れれば、なんの問題もないのだろうけど、もし内枠(1・2枠)に入ったら、どう騎乗するのだろう。

セントウルSのコラムでも書いたけれど、戸崎騎手に逃げのイメージはない。
あれから3週間たったけれど、やっぱり逃げのイメージはない。
オールカマーのマイネルラクリマも鮮やかだったけれど、あれも番手競馬だった。

念のため情報を更新してもう1回チェックしてみる。

戸崎は先週までで143回重賞に騎乗しているけれど、逃げたのは6回だけ。しかも馬券圏内は一度もない。

エプソムカップ ソーユアフロスト 16人気16着
安田記念 コンゴウリキシオー 14人気17着
天皇賞秋 エイシンデピュティ 14人気9着
弥生賞 サトノネプチューン 5人気11着
ヴィクトリアマイル アイムユアーズ 11人気8着
新潟2歳S カシノハリウッド 10人気7着

人気のない馬でしか逃げてない。
逃げて強い馬に騎乗したことがないだけかもしれない。だとしても少ないし、1つくらい人気薄で逃げて、馬券圏内に残すファインプレーがあってもいいように思える。

戸崎騎手が逃げて馬券になりにくい騎手であることは通常競馬からもわかるとこれも前回記した(TOP10騎手の中ではワースト)。3週間分更新してもそれは変わらない。

今年の戸崎の成績(9・7付け)
103-63-58-441
連対脚質
逃げ11-先行48-差し95-追込12
逃げの占める割合 .066(0.0662)

3週間後(10・1付け)
115ー67ー60ー473
連対脚質
逃げ12-先行55-差し102-追込13
逃げの占める割合 .066(0.0659)

で、思うわけです。
内枠に入ったらどんな作戦を立てるのだろうかと。

逃げる?
「逃げる」というコメントが溢れかえりそうだ。
「ウチの馬より速い馬はいない」というコメント付きで。

でもこうも思うわけです。
逃げるために戸崎騎手に依頼したのだろうか? と。
内枠でも逃げなくていいように戸崎騎手に依頼したのではないか? と。

それでも逃げる?
だとしたら今度は戸崎騎手が心配なわけです。通常でも、重賞でもあまり逃げない騎手がG1で逃げていいことあるのだろうか? と。戸崎騎手ほどの男なら、逃げなんてお茶の子さいさいだとしても、先行競馬よりは断然心配指数は上がる。上がってしまう。

勝ちたい馬は1人気の馬を射程圏内に入れて競馬をする。その馬が逃げたら、勝ち負けは別としてレースの組み立てはしやすいだろう。

というわけで、ハクサンムーンは外枠なら安心、内枠なら心配指数が高まると仮定してみた。

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ストレイトガールは外枠のほうがやや心配だ。
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一方、ストレイトガールは内枠が理想なのではないか?

新潟の内回りの直線は約358Mの平坦コース。
京都の内回りの直線は約328Mの平坦コース。
京都の直線を30M延ばした感じ。

ストレイトガールが強さを見せつけたのはレディオブオペラを2馬身半突き放して圧勝した京都のシルクロードSか。
2番枠から3-5-2の位置取りで勝った。

函館SSで内枠に閉じ込められ不利をうけたけれど、今の函館ほど内枠に殺到するとも思えず、馬場は多少荒れているとしても、レースはしやすいのではないか?

逆に外枠だとどうだろう?
この馬に関しては外枠でも心配はないかもしれない。ただハクサンムーンの脚力を誰よりも把握しているのは岩田でもある。

去年のセントウルSではロードカナロアに騎乗し、3-3-3の位置取りでハクサンムーンを捕えきれなかった(阪神開幕、ロードは休み明け)。
次走のスプリンターズSでは7-7-5の位置取りでハクサンムーンを4分の3馬身捕えた(中山最終週)。

新潟の直線は358Mと中山よりはあるけれど、最終週とはいえ、平坦な分、前が止まりにくいと解釈する可能性はある(あくまでも騎手がどう思うかが重要)。
つまりハクサンとの距離をどう取るかがひじょうに大事ということになる。
ハクサンとの距離をどう取るかはどの枠に入っても考察すべき材料だろうけど、外枠の方がアゲたりサゲたりの自由がきく分、調整しやすいかもしれない。ただその調整しやすさが場合によってはアダになる可能性はある。仕掛けが早くなる可能性があるからだ。

岩田騎手だって、ストレイトガールをロードカナロアほど強い馬とは思っていないはずで、だとすると早く仕掛ける可能性はある。
ハクサンムーンが逃げて、それをストレイトガールが追いかけて、その仕掛けがちょっと速くて、ゴール前、何かに差される。そんな可能性。

内枠なら腰を据えて直線まで動かないように思えるけれど、外枠だとどうだろう。だからストレイトガールは外枠だとやや心配とした。

ハクサンムーンとストレイトガールの心配部分を強調してみたけれど、
今年は戸崎VS岩田の地方出身騎手の短距離の盟主争いだと思っている。
その場合のカギを握るのはやっぱり岩田だろう。
どの位置を取るか?
どこで動くか?
岩田の一挙手一投足で、同時にヒモの命運も変わるかもしれない。

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おまけ・コパノリチャードの小根多
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ちなみにコパノリチャードは左回りだと外に膨れてしまうので、一雨欲しいそうだ。
高松宮記念の勝利も重馬場が勝因だと分析しているらしい。
競馬王7月号で風水師であり、祈祷師でもあるコパさんが自ら「俺が雨を降らす!」と高らかに宣言していた。はたして雨は降るのか? 降って、コパノリチャードにちょーどいい馬場になるのか?
ちょい注目。

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スプリンターズS注目馬
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外枠でハクサンムーン、内枠でストレイトガールに敬意を払い、
岩田と戸崎の地方出身騎手の新・短距離盟主争いを堪能させてもらおうとしよう。

以下、一応△ヒモで。
地方出身枠・小牧のマジンプロスパー・ずっと外枠希望の馬。
外国人枠・ペロヴィッチのハナズゴール・1着か圏外タイプ。買うなら単だけど。
ときどき枠・池添のマヤノリュウジン・この馬は最内なら先行すると思っていたけれど(去年のスプリンターズSがそうだった)、今は完全に追い込み・大外強襲にチェンジしたようだ。前走は2番枠でも下げて大外を突いた。間に合うか、間に合わないかは岩田の仕掛け一つではないか?

むしろ興味深い馬
ベルカント・重賞2勝した以後でも、逃げたり、追い込んだり、大外ついたりと色々試していたのが気になる。そのお試しに武豊が参加していたのが少々気になる。お試し期間は終わったかな? ならば人気もないようだし、狙いたくなる。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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