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期待せずにはいられない!カゼノコの弟シップーコウライ/吉田竜作マル秘週報

  • 2014年10月01日(水) 18時00分


◆シップーコウライについて野中師「兄姉と比べても一番大きくなったんじゃないかな」

 タフネススターは藤岡範士元調教師に唯一のJRA重賞(01年GIIIカブトヤマ記念)をプレゼントした功労馬だった。名に反して体質の弱かったこの馬を“タフネス”に変貌させたのが、当時の藤岡範厩舎を中心となって支えた野中助手。そう今の野中調教師だ。今どき「師弟関係」などという言葉はこの世界でもあまり聞かれなくなったが、この2人については別。恐らく栗東トレセン関係者全員がその共通認識を持っていることだろう。

 それだけにタフネススターの7番子カゼノコが藤岡範厩舎の解散に伴い、野中厩舎へとやってきたのもごく自然な流れだった。カゼノコは500万下→鳳雛S→交流GIジャパンダートダービーと目下3連勝の快進撃。だが、そこまでの道のりは決して楽なものではなかった。母同様に体質が弱く、転厩後も調教でなかなか強い負荷をかけられなかったからだ。それでも鍛えていかなければならない。負担をかけ過ぎないように脚元に少しでも優しいダートを使いつつ、何とか軌道に乗せてみせた。こうした局面に野中師が助手時代に経験してきたことが生かされているのは言うまでもない。

 そして、これまた当然の流れと言うべきか、タフネススターの8番子シップーコウライ(牡=父バゴ)もまた野中厩舎へとやってきた。POG絡みの取材の時は「産後のお母さんの体調が悪くて運動量を確保するのが難しかった。デビューは遅くなるかな」(野中師)と聞いていたことからすれば、予想以上のスピードで成長したのだろう。

「いろいろ調教施設を替えてみたりと工夫してもらったんだ。夏場に無理させなかったこともあってか、その後は順調に育ってくれてね。兄姉と比べても一番大きくなったんじゃないかな」

 体高はカゼノコに似て若干低めだが、明らかに幅がある。「まだ緩さもあるけど、柔らかみがあるのがいいね」とのことで素質もなかなかのものを秘めているよう。

 タイミングのいいことに、現在の野中厩舎には6番子ビリオネア、カゼノコ、そしてこのシップーコウライと「3姉弟」が揃っている。大平助手が姉弟を知るからこその共通点を教えてくれた。

「この前、カゼノコの引き運動をさせてもらったんだけど、歩き方から、いらんちょっかいをかけてくるところまで、やっぱシップーコウライとそっくり。カゼノコの方が年齢の分だけ、どっしりとはしているけどね。それとカイバの好みがはっきりしていて、厩舎に来た時は全然食べてくれない時があったんだけど、ビリオネアと同じ配合にしたらすごく食べるようになって。今なんか食べること以外、興味がなさそうなくらい」

 姉弟となれば似て当然だが、競走能力以外のところまで似ているのは血統を重視するこの世界でもそう多いことではない。果たして競走成績はGI勝ちの兄カゼノコ、新馬勝ちの姉ビリオネアのどちらに似るのだろうか。いずれにせよ、シップーコウライの活躍を期待せずにはいられない。

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