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データ不足もひねるなら3着か!?/スプリンターズS

  • 2014年10月01日(水) 18時00分
■スプリンターズS(G1・新潟芝1200m内)フルゲート18頭/登録25頭

【コース基本情報】新潟芝1200m内 Aコース使用
・コース回収率
 [低め] 単勝61%・複勝75% 勝ち馬の半分以上が2番人気以内!

・馬連万馬券出現率
 [高め] 16.7%(平均値↑4.3% 馬連平均配当6127円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率 8.6% 連対率16.7% 複勝率19.5% 複回率 80% 枠番値-0.4
 [4枠〜6枠] 勝率 2.9% 連対率 8.1% 複勝率16.8% 複回率 63% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 5.2% 連対率 8.7% 複勝率13.9% 複回率 95% 枠番値+0.4
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 6.1% 連対率12.6% 複勝率16.9% 複回率 68% 枠番値-0.4
 [10番〜18番] 勝率 5.0% 連対率 9.7% 複勝率16.6% 複回率 91% 枠番値+0.5
 →信頼度の高さは内枠、一発の魅力なら外枠。中枠は特徴なくイマイチ。

・脚質別信頼度
 先行>逃げ≧差し>>>追込 好位追走組がもっとも有利な流れ

・推定ラップ&タイム
 [底力勝負] 33.6-34.3=1.07.9 速い流れになるも平坦で前は止まらない

 ビリーヴが制した2002年のスプリンターズS以来と、じつに12年ぶりに行われる新潟競馬場でのG1。起伏が大きくトリッキーな中山芝1200mから、平坦の新潟芝1200mの内回りコースへのチェンジで、流れが例年とはガラッと変わってきそうだ。しかも、当コースは重賞はおろか、オープン特別すらもほとんど行われておらず、ハイレベルなメンバーが揃った場合の結果が非常に読みづらい。なにしろ、いちばん参考になりそうなのが、12年前の1戦なのである。

 ……と愚痴っぽくスタートしたが、データがないぶん面白いのも事実。よく考えてみると「スタートから延々と下り坂で小回りコーナーを回る」という中山芝1200mのコース形態に、似ていなくもない(強引)。完全な前傾ラップとなるのも確実だろうし、やはり最大の差異は直線の長さ。これがどのように影響するかを、じっくり占っていきたい。

 人気別では、1番人気〜2番人気馬が「完全に」といっても過言ではないほど、強いコース。勝ち馬に占める比率はここだけで52.7%にものぼるなど、実力馬が能力をキッチリ発揮できるコースといえそうだ。この傾向は上のクラスに限定しても、変わらないどころか逆に加速しているほど。人気馬の1着固定は基本的に「アリ」だ。

 ただし、馬連万馬券の出現率は16.7%と、平均値を4.3%を上回る高水準。馬連平均配当も6127円と高く、波乱の目も十分にある。上位人気馬の信頼度次第では、思い切ってブンブン振り回すのもこれまた「アリ」。つまり、予想の内容次第で、どんな買い方をしても大丈夫な、自由度の高いコースといえるかもしれない。

 枠番別成績では、内枠である[1枠〜3枠] が他を圧倒。勝率、連対率ともに、図抜けた高さである。ただし枠番値は-0.4と低いことから、人気馬が内枠に多く入って、しかも結果を残したのが大きく寄与している模様。このデータからは「内枠の人気馬」と「外枠の人気薄」を、プラス評価の対象としたい。

 脚質では好位追走組をもっとも高く評価したが、内回りとはいえ直線が359mもある、新潟芝1200m。想定以上のハイペースとなり、中団からの差しが届くケースも十分に考えられる。ちなみに12年前のスプリンターズSは、前半33秒7−後半34秒0というラップで、人気の先行勢がキレイにワンツースリー。差しが決まるかどうかは、序盤のペースがどうなるかの「読み」次第となりそうだ。

【レース基本情報】スプリンターズS(G1)過去10年
・レース平均配当
 単勝827円 馬連3670円 3連複7万448円

・1番人気馬成績
 [4-2-0-4] 勝率40.0% 連対率60.0% 複勝率60.0%

・3番人気以内馬成績
 [7-8-1-14] 勝率23.3% 連対率50.0% 複勝率53.3%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [2-0-2-26] 勝率 6.7% 連対率 6.7% 複勝率13.3%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [0-1-5-24] 勝率 0% 連対率 3.3% 複勝率20.0%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-2-65] 勝率 1.4% 連対率 2.9% 複勝率 5.8%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 40.0% [先行] 30.0% [差し] 30.0% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 16.7% [先行] 33.3% [差し] 33.3% [追込] 16.7%

・年齢別成績
 [3歳馬] 1-0-1-11 連対率 7.7% 複勝率15.4%
 [4歳馬] 3-2-3-14 連対率22.7% 複勝率36.4%
 [5歳馬] 2-6-3-38 連対率16.3% 複勝率22.4%
 [6歳馬] 2-1-3-33 連対率 7.7% 複勝率15.4%
 [7歳↑] 2-1-0-33 連対率 8.3% 複勝率 8.3%
 ───────────────────────
 [4歳〜5歳] 5-8-6-52 連対率18.3% 複勝率26.8%
 [上記以外] 5-2-4-77 連対率 8.0% 複勝率12.5%

・性別成績
 [牡馬] 7-8-8-102 連対率12.0% 複勝率18.4%
 [牝馬] 3-2-2-27 連対率14.7% 複勝率20.6%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 1.7% 連対率10.0% 複勝率18.3% 複回率142% 枠番値±0
 [4枠〜6枠] 勝率 6.7% 連対率10.0% 複勝率15.0% 複回率 56% 枠番値-0.2
 [7枠〜8枠] 勝率12.8% 連対率20.5% 複勝率25.6% 複回率 61% 枠番値+0.2
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 3.3% 連対率11.1% 複勝率16.7% 複回率111% 枠番値-0.3
 [10番〜18番] 勝率10.1% 連対率14.5% 複勝率21.7% 複回率 62% 枠番値+0.5

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-2-2-40 連対率 4.5% 複勝率 9.1%
 [栗東] 7-8-7-75 連対率15.5% 複勝率22.7%

・前走距離別成績
 [芝1000m] 1-0-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [芝1200m] 8-9-8-99 連対率13.7% 複勝率20.2%
 [芝1400m] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1600m] 1-1-2-12 連対率12.5% 複勝率25.0%
 [芝1800↑] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 ────────────────────────
 [芝1200m] 8-9-8-99 連対率13.7% 複勝率20.2%
 [上記以外] 2-1-2-25 連対率10.0% 複勝率16.7%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 1-1-1-11 連対率14.3% 複勝率21.4%
 [中央G2] 4-5-4-38 連対率17.6% 複勝率25.5%
 [中央G3] 4-3-4-56 連対率10.4% 複勝率16.4%
 [OP特別] 0-0-0-11 連対率 0% 複勝率 0%
 [海外戦] 1-1-1-12 連対率13.3% 複勝率20.0%
 [地方戦] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%

・注目出走パターン
 [買い] 前走タイム差なしで2着以下(勝率33.3%、連対率55.6%)
 [買い] 前走での着差が0秒2以内(連対率23.5%、複勝率29.4%)
 [不振] 前走6番人気以下かつ2着以下(1-3-3-59)
 [不振] G1馬をのぞく前走セントウルSで4着以下の日本馬(0-0-3-25)
 [不振] 前走1着馬をのぞく6歳以上の日本馬(0-1-2-27)

 いつものように過去10年のレース結果から分析を行ったが、今年に関してはそのすべてが、アテにはならない参考データ。ローテ関係のデータなどはアテにできる気がしないでもないが、それに縛られて高配当を獲り逃すような結果になっては、本末転倒だ。何を取り入れて、何を取り入れないかを熟考する必要がある。

 ちなみに今回、当データ分析でで重視したのは、以下の項目である。

 ☆関西馬[7-8-7-75] > 関東馬[0-2-2-40]
 ☆継続騎乗[9-10-5-79] > 乗り替わり[1-0-5-50]
 ☆前走5番人気以内[9-7-7-70] > 前走6番人気以下[1-3-3-59]
 ☆人気馬が「前走上がり順位3位以内」であるか否か?

 関西馬が圧倒的優勢であるのは周知の通りで、これに関しては今年も引き続き信頼してよさそう。もっとも、今年は意外に関東馬にクサい馬が多いので、関東馬全滅作戦はさすがにやりすぎと思われる。連対する確率は低そうなので、3着のヒモにそっと忍ばせておく──といったあたりが適切か。

 そして、騎手の乗り替わりの有無はかなり強烈なデータ。前走から騎手がスイッチしている時点で、連対は厳しいと考えたほうがいい。コースを問わない性質の傾向につき、かなり重視したいところ。ハナズゴール、マジンプロスパー、レッドオーヴァル、ローブティサージュあたりは、来ても3着までの可能性が高い。

 また「前走5番人気以内であるか、もしくは前走1着であること」も、このレースで勝ち負けするうえでの必要条件。この条件を満たせないグランプリボスは、思い切って評価を下げてもいいかもしれない。あとは、直線の長い新潟競馬場での開催でもあり、前走での上がり3F順位もチェックしておきたい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 外回りはBコースだが内回りはAコース。脚質的な有利・不利はなさそう。

・天候予測
 すべては台風18号次第で、土日直撃の可能性アリ。極端な馬場悪化もあるか。

・勝利数トップ種牡馬
 サクラバクシンオー 勝率7.8% 連対率17.5% 複勝率28.2%

・著者の注目血統
 キングヘイロー産駒◎、クロフネ産駒○、アドマイヤムーン産駒▲、ダイワメジャー産駒△、サクラバクシンオー産駒△

 何よりも気がかりなのが、台風18号の影響である。ファンフォンという陽気なネーミングながら、その勢力はかなりのもの。今週末の日本列島を直撃する可能性も十分にある状況で、開催自体が危ぶまれる。開催できたとしても、週末にかけて降雨予報が出ており、パンパンの良馬場とはいかないはず。馬場悪化を前提に予想を進めたい。

 血統面で高評価したのは、キングヘイローにクロフネ、アドマイヤムーンなど、いつもとはまったく違う面々。ディープインパクト産駒は[1-1-1-16]とイマイチで、フジキセキ産駒も「並」程度の成績と、ダイワメジャーをのぞくサンデー系の不振が目立っている。非サンデー系を重視すべきコースであるのは、間違いない。

★総論×各論

 凱旋門賞も楽しみだが、こちらもかなりの好メンバー。リトルゲルダの回避は残念だが、昨年の2着馬ハクサンムーンに春のスプリント王コパノリチャード、前走11着からの巻き返しが期待されるストレイトガールに、春は安田記念で久々にらしさを見せたグランプリボスなど、イメージ以上に混戦である。

 トップ評価は、おそらく1番人気に推されるであろうハクサンムーン。「実績馬が前哨戦を僅差で負ける」というのはスプリンターズSの王道であり、新潟での開催であろうとも変わらず期待できるはず。データ的にもコレといって割り引く材料はなく、プラス評価の項目数も文句なし。人気馬が強いコースで、人気馬が期待に応えてくれそうだ。

 そして、二番手評価はマヤノリュウジン。徹頭徹尾の追い込み馬だけに「こんなに高く評価して大丈夫か?」とは、正直思っている。とはいえ、割り引く材料といえば脚質と年齢くらいのもので、それを補ってあまりあるプラス評価項目の多さ。差しが決まるという前提で予想するなら、ここは絶対に買っておきたい。

 三番手評価にストレイトガール。前走・函館スプリントSでの大敗が気がかりではあるのだが、直線で行き場をなくした結果であるのも事実。これを不問として、もっと評価を上げてもいいのかもしれない。長い直線に向く末脚のキレを備えているのも強みで、あとは岩田ジョッキーがどう乗るか次第だろう。

 問題はここからで、スーパーどんぐりの背比べ。評価はコパノリチャード、セイコーライコウ、スノードラゴン、ローブティサージュ、ガルボ、アースソニックという序列で、ここまでを馬券の対象としたい。1着〜2着はそれなりに順当も、3着にとんでもない大穴が突っ込んで来そう──というのが、現在の印象。あとは枠番も加味しながら、実際にどう買うかとじっくり考えたい。

■シリウスS(G3・阪神ダ2000m)フルゲート16頭/登録28頭

 今年も大挙28頭が登録と、多頭数での激戦が繰り広げられそうなシリウスS。現在の条件になってから今年で8年目と、レースデータの蓄積も進んできた。まず言えるのが、人気サイドが非常に強いレースであること。5番人気以内馬はトータル[6-5-5-19]で連対率31.4%、複勝率45.7%と、その信頼度はバツグンである。

 ところが、2番人気以内馬は[3-1-2-8]で連対率28.6%、複勝率42.9%と、その信頼度は5番人気以での数値を下回っている。つまり、人気馬が非常に強いレースではあるのだが、狙うなら3番人気〜6番人気あたりのほうが配当妙味も高く、オススメなのだ。今年の登録馬だと、おそらくジェベルムーサやソロルあたりか。

 また「前走オープン特別組」が非常に弱いのも、このレースの特徴。今年の該当馬が多いのだが、そのトータル成績は[0-1-3-40]という見るも無惨なもの。上位人気ならば来ないこともないが、前走オープン特別出走の人気薄となると、買う価値はまったくない。それなら、前走重賞組の人気薄を狙う方が格段にマシだ。

 あとは、ハンデを「背負っている」組が強いことや、前走人気&着順ともに「ひとケタ」であるのが必要条件というのも、ぜひ押さえておきたいポイント。たったこれだけの条件で、クリノスターオージェベルムーサソロルナムラビクターの4頭が上位という、しごく真っ当な結論が導き出されてしまう。今年もあまりひねらず、素直な買い目をオススメしたい。

※コースデータ&血統データは2009年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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