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ハクサンムーン、ストレイトガール、コパノリチャードなどスプリンターズS分析

  • 2014年10月01日(水) 18時00分


国内での取材を続けているのですから、スプリンターズSは良い結果を残したいものです

 国内では、秋最初のGI、スプリンターズSが行われますが、日本馬3頭が出走を予定している凱旋門賞が大きく注目を集めているような気がします。私自身、関わりの深い、須貝尚介厩舎の2頭が参戦するので、現地での取材、観戦も少し頭をかすめましたが、1週間、栗東を留守にする勇気がありませんでした(笑)

 トレセンニュースでも紹介しましたが、ティルナノーグが帰厩して最初のCW追い切りを行ったり、この秋、気になる馬がたくさん追い切りを行っているので、やっぱり栗東がいいですね。せっかく、国内での取材を続けているのですから、スプリンターズSは良い結果を残したいものです。

【スプリンターズS/ハクサンムーン】

 最終追い切り前、追い切り騎乗者の田中克典調教助手と言葉を交わす機会がありましたが「GIだからとか、最終追い切りだからって、特別なことは考えていません。いつも通りやれば、結果はついてくると思います」ときっぱり。いつも冷静なコメントをする同助手らしい、言葉だなあと感じました。

 テンはゆっくり、後半速くの最終追い切り。個人的には、残り2F地点でもっと加速すると思いましたが、それが遅かった分、2F25.0秒という数字。これは昨年の最終追い切りに比べると、0.3秒遅くなっていますが、ラスト1F12.3秒という数字なら特に問題ないでしょう。

ハクサンムーン(9月25日撮影)

昨年の最終追い切りに比べると、ラスト2Fが0.3秒遅くなっているが特に問題ないハクサンムーン(9月25日撮影)



【スプリンターズS/ストレイトガール】

 本馬の動きにしびれたのが、1週前のCW。岩田康誠騎手が跨ったこともあり、その動きは躍動感に溢れていました。中間には、坂路追い切りで自己ベストを更新するラスト1F時計もマークしており、レース間隔こそあきましたが、このレースに向けて、確実に目標を定めた印象があります。

 それだけに注目した最終追い切り。いつも通り、CWで5Fぽっきりの時計を出す内容でしたが、テンが遅めだったこともあり、時計は5F69.9〜4F53.2〜3F38.6〜1F11.8秒とかなり遅い5F時計になりました。せめて5F67秒は切ってくるだろうと推測していただけに、この時計の評価が非常に難しいところです。


ストレイトガール(10月1日撮影)

かなり遅い5F時計になり、この時計の評価が非常に難しいストレイトガール(10月1日撮影)



【スプリンターズS/コパノリチャード】

 高松宮記念を制した、春のスプリント王。京王杯SCを負けた後、函館SSを使うローテーションも検討されていたようですが、自重して、このレース1本に絞ってきました。ただ、函館SSを使えなかった理由が体調面ということですから、決して順調にこのレースへ向かったというわけではなさそうです。

 1週前追い切りは4F時計こそ出ましたが、ラスト1Fが止まる動き。最終追い切りでどのような動きを見せるか、気になっていましたが、単走で4F52.4秒。全体時計はそれなりに評価できても、後半2Fが25.2秒でこの馬にしては平凡。実力は認めても、今回の仕上がりでぶっつけ好走は難しいというのが、私の判断です。

コパノリチャード(9月23日撮影)

実力は認めても、今回の仕上がりでぶっつけ好走は難しいコパノリチャード(9月23日撮影)



【スプリンターズS/レッドオーヴァル】

 高松宮記念は14着の大惨敗でしたが、不良馬場を考えれば仕方ないところ。ただ、3走前に1600万下を取りこぼしたのは誤算でしょう。ギリギリ出走できる順番だったので、事なきを得ましたが、このあたりはレッドオーヴァルの持つ、強運なのかも知れません。

 3走連続、メンバー最速上がりをマークしているように、スプリントでの末脚、決め脚は重賞で通用するものを持っています。3歳時のように、手加減して追い切らなければいけない体質の弱さが解消して、現在の状態が維持できているのでしょう。1週前追い切りより、格段に良くなった最終追い切り。2F23.7秒、1F11.7秒は文句ない数字。あとは、後方からでも差すことができる展開になるかどうかだけ。

【スプリンターズS/ローブティサージュ】

 中9週の前走は札幌競馬場で1本の追い切りを行っての勝利。未だ、気の悪さが目立つ馬だけに、少ない追い切りで勝ったのかも知れませんが、今回はGI。果たして、同じような追い切りで好走できるのか、個人的にはそんな簡単なものではない、と感じていました。

 だからというわけではないでしょうが、この中間は追い切り本数きっちり。しかも、CWでの追い切りを中心に行いました。最終追い切りもCW。アドマイヤゴッドを追走して、最後は突き放す動き。併せ先着は前走と同じですが、今回はかなり追われていたので、そのあたりは、決して本馬にとってプラスではないように思います。

ローブティサージュ(9月30日撮影)

かなりの本数が追われていますが、プラスではないように思うローブティサージュ(9月30日撮影)



◆次走要注意

・9/27 阪神 2歳未勝利【クリノメンタンピン】(15人/10着)

 馬券総合倶楽部の狙い馬にも取り上げていましたが、今回もメンバー最速の上がり3Fでフィニッシュ。末脚はきっちり使えるタイプですが、展開が向かないと差し切れないのでしょう。
 栗東坂路で終い最速ラップを踏むことが好走条件ですが、4F時計が53秒台になってくれば、もう少し流れに乗った競馬ができるかも知れません。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]最終追い切りが坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・9/28 阪神 2歳新馬【ザッフィーロ】(3人/13着)

 全く見せ場ないレースに終わりましたが、入厩時からの緩さが解消したわけではなく、最終追い切りで少し動けた程度。この結果は仕方ないかなというのが、最初から本馬の調教を見ていての感想です。
 ひと息入れて、しっかりしてくれば、必ず変わる素質は持っていると思いますので、それまでしばし待ちましょう。

[メモ登録用コメント] [芝1600m]最終追い切り坂路でラスト1F12.5秒以下なら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・2歳新馬【スティーグリッツ
 先行したランギロアのペースが遅かったため、引っ掛かるような仕草を見せていましたが、芝馬場で実戦さながらの走りができたことはプラスでしょう。
 ラスト3Fはためた脚をしっかり使う伸びで、相手に先着。これなら初戦から、きっちり結果を出してくれそうです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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