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奥行きの深さと底力を感じさせるマイアベーア

  • 2014年10月08日(水) 12時00分
ナムラケイト(牝 栗東・五十嵐忠男 父ディープインパクト、母レーヌヴェルト)
 ガイヤースヴェルト(父ダイワメジャー/13年毎日杯-GIII・2着、13年NHKマイルC-GI・5着)の4分の3妹。実績のある「ディープ×フレンチデピュティ」の組み合わせで、なおかつこの配合のコツである“残り4分の1の部分に重厚なヨーロッパ血統を入れる”というセオリー通り、2代母の部分に名種牡馬Green Dancerの4分の3同血馬(グリーンポーラ)が入る。また、母にNorthern Dancerの強いクロス(4×3)があるのもセオリー通り。母レーヌヴェルトは牝馬にしては500kg前後あった大型馬で、これまでにデビューした3頭の子もやはり500kg前後の大型馬だった。3歳春にGIを勝ったディープインパクト産駒は馬体重がいずれも450kg以上で、小柄な馬は厳しい戦いを強いられている。本馬は母にとって初めての牝駒だが、ディープインパクト産駒の平均よりは大きく出ているのではないかと期待したい。芝向きの中距離タイプ。

ホオキパビーチ(牡 栗東・安田隆行 父ハービンジャー、母モンローブロンド)
 スプリント路線で準OPに在籍中のビキニブロンド(父キングカメハメハ)の下で、母モンローブロンドはファンタジーS(GIII)2着馬。母の兄弟にはランフォルセ(12年ダイオライト記念-Jpn2など重賞4勝)、ノーザンリバー(14年東京盃-JpnIIなど重賞5勝)、ノットアローン(08年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)、ルミナスポイント(OP)などがいる。これらを産んだ母ソニンクは現代を代表する名繁殖牝馬の1頭で、競走経験はないものの、全欧3歳牝馬チャンピオンとなったSonic Ladyを母に持つ良血馬。持込馬として誕生した長女アコースティクスはダービー馬ロジユニヴァースの母となっている。父ハービンジャーはマイル以上で本領を発揮するスタミナ型なので、母モンローブロンドのようにHalo 3×4でMr.Prospectorが入ったスピードタイプは合うはず。

ポリアフ(牝 栗東・吉田直弘 父キングカメハメハ、母ユキチャン)
 白毛で話題になった母ユキチャンは関東オークス(JpnII)など3つのダート重賞制覇。これにキングカメハメハを交配した本馬はほぼダート専用だと思われる。3代母の父Topsiderは「Northern Dancer+Princequillo+Nasrullah」という構成。父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」の組み合わせを持つ血と相性が良好で、Secretariatは「Nasrullah+Princequillo」。したがってTopsiderは父キングカメハメハのニックス血脈と限りなく近い構成となっている。母のように牝馬のダート重賞戦線で活躍することを期待したい。

マイアベーア(牡 栗東・矢作芳人 父ディープインパクト、母オンブルリジェール)
 フェアリーS(GIII)を勝ち、桜花賞(GI)とオークス(GI)でも3着に食い込んだジェルミナル(父アグネスタキオン)の4分の3弟。母オンブルリジェールはペネラピ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬。母の父Double BedはハイアリアターフC(米G1・芝12f)を勝ち、チャンピオンS(英G1・芝10f)で2着となった。Double Bedの母の父Welsh SaintはAureole系で、Aureoleはディープインパクトとニックスの関係にあり、このパターンからトーセンラー、カミノタサハラ、レッドオーヴァルなど多くの活躍馬が出ている。Mr.Prospectorのような分かりやすいスピード血脈は入っていないものの、その分、奥行きの深さと底力を感じさせる。ジェルミナルの下なので決して鈍重ということはないだろう。姉以上の活躍を期待したい。芝向きの中長距離タイプ。

レッドサバス(牡 栗東・松田国英 父キングカメハメハ、母アイシーサイレンス)
 アペリティフ(準OP)、ノーリプライ(準OP)、アイソトープ(準OP)の半弟。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス+ロイヤルスキー」なのでゴールデンチケット(09年兵庫チャンピオンシップ-JpnII)に配合構成が似ている。本馬の2代母アイシーゴーグルとゴールデンチケットの3代母Ski Goggleは、いずれも「ロイヤルスキー+Delta Judge」という構成なので、血統表の奥までよく似ている。キングカメハメハはNorthern DancerとSecretariatの組み合わせから成る血と相性がよく、たとえばロードカナロアはStorm Catを、ローズキングダムはローザネイを、ベルシャザールはセクレトを持っている。本馬の2代母アイシーゴーグルは「ロイヤルスキー×ノーザンテースト」で、ロイヤルスキーはSecretariatと同じBold Ruler系、ノーザンテーストはNorthern Dancer系なので、成功パターンをうっすら踏襲している。大物感を感じさせる配合構成で、芝でもダートでもOKなので確実に稼いでくれそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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