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スプリンターズS、凱旋門賞で勝敗を分けた共通点/トレセン発秘話

  • 2014年10月09日(木) 18時00分


◆レースの“勝ち方”を知っていた陣営

「GIを勝つ時は、すべてうまくいくもの。最後は運なのかもしれない」

 これは関係者から、しばしば耳にする言葉。先週のスプリンターズS=スノードラゴンの優勝も、そんな印象が強い。勝ち時計は1分08秒8。同舞台で行われた前週の準オープン・セプテンバーS(1分08秒2)終了時、この数字での決着をイメージしたのは、恐らく少数だったと思われるからだ。

 明暗を分けた偶発事項は、いくつかあった。

 予報以上の量だった金曜(3日)の降雨が、使い込んだ芝に、さらにダメージを与えたこと。ダッシャーゴーゴーが気合をつけてハナを奪ったことで前半からレースが動いた(前半3ハロン33秒7)こと。

 それでも…。冷静に考えれば、これらは、ささいな要因であることに気づかされる。

 当然ながら競馬は馬ありきだ。馬場悪化をいとわない馬力、多少の距離ロスでも鈍らない末脚。突き詰めれば、スノードラゴンが持つこの武器が今回、他馬を上回った結果に過ぎない。そして無視できないのは、敗れた上位人気馬が、いずれもぶっつけのGI出走だったという点。言い換えれば、準備の差こそ明暗を分かつ最大要因だったのかもしれない。

 そしてこの“方程式”。実はトレヴが連覇した今年の凱旋門賞にも当てはまるような気がする。凱旋門賞というレースに適する馬の資質、これが参戦した日本馬3頭より勝ったのは確かだろう。さらに決定的だったのは、送り出す陣営もレースの“勝ち方”を知っていたということ。すなわち逆算という名の準備。それが勝敗の分岐点だったと思えるのだ。

 10年の凱旋門賞2着ナカヤマフェスタ(アタマ差)に比べて、今年参戦した3頭が能力で大きく劣ることはないだろう。そこに違いを探せば、トレーナー(二ノ宮敬宇)やジョッキー(蛯名正義)にエルコンドルパサー(99年)の経験があったこと。そして現地のレース3戦を使っていたことにある。

 日本のファンにとっての救いは“逆算”できる立場のキズナ(昨年4着)が来年の凱旋門賞に、すでに再挑戦を表明していることか。人事を尽くせばいつか…。世界最高峰の一戦でも準備を済ませた末で「最後は運」が向いてくると信じたい。
 (美浦の宴会野郎・山村隆司)

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