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セレクト組? 非セレクト組?(須田鷹雄)

  • 2014年10月14日(火) 18時00分


◆「セレクト組はさすが高い」のか「その他組のほうが安いうえに走る」のか

 オータムセールをうろうろしていて思ったのだが、ブランド力を得た種牡馬はどんなセリでも人気になるもの。しかし、「セレクトセール組にこだわるべき種牡馬」と「HBAのセリでもイケる種牡馬」があるのではないだろうか。

 例えばいまならハーツクライの評価が上がっているが、セレクトセール以外で取引されたハーツクライ産駒でがっつり稼いでいるのはコウエイオトメ(1億円ちょい)だけで、同馬とてオープンは勝っていない。そして本賞金2位のコスモトゥルーラヴは2427万円と一気にトーンダウンする。

 一方で、セレクトセールでは人気が落ちているクロフネは、日高のセリからも本賞金5000万円以上馬が9頭出ている(セレクトからは13頭)。産駒の絶対数も違うが、両種牡馬のニュアンスはやはり違う。

 もちろん、セレクトセールのほうが選抜基準は厳しいわけだからグループとしては成績も上がるが、値段も高い。またセリ場の感触として「日高のセリにもいい素材がいる」「いない」のギャップは存在するような気がする。

 ただ、統計をとると結局は社台グループ生産馬の破壊力ですべての指標が動いてしまうので、今回は社台グループ生産馬を除外して3〜17歳世代全体を集計してみることにした。「セレクトセール」と「セレクトセール以外」という分類で、最終市場を対象とするため、セレクトセールでピンフックされ2歳セリで売られた馬は後者に入るが、大勢に影響はないと思う。

 試しに何種牡馬かピックアップしてみた結果がこちら。

※金額は「1走あたり賞金、価格の中間値」
【ダンスインザダーク】
セレクト組:145万、2100万
非セレクト組:77万、840万
【マンハッタンカフェ】
セレクト組:119万、1575万
非セレクト組:173万、861万
【ステイゴールド】
セレクト組:316万、1260万
非セレクト組:155万、667万
【タイキシャトル】
セレクト組:231万、2100万
非セレクト組:99万、840万
【クロフネ】
セレクト組:129万、1680万
非セレクト組:114万、840万
【キングカメハメハ】
セレクト組:164万、2205万
非セレクト組:146万、1050万
【ブライアンズタイム】
セレクト組:209万、1922万
非セレクト組:243万、1260万
【シンボリクリスエス】
セレクト組:156万、1995万
非セレクト組:85万、1050万
【ゴールドアリュール】
セレクト組:197万、1260万
非セレクト組:122万、609万
【ネオユニヴァース】
セレクト組:190万、1313万
非セレクト組:81万、998万
【スペシャルウィーク】
セレクト組:126万、735万
非セレクト組:98万、1024万
【ハーツクライ】
セレクト組:277万、1365万
非セレクト組:96万、788万

 基本的に上のほうがサンプル数が多いと思っていただきたい。ハーツクライは「高くてもセレクト組」の代表格で、タイキシャトルも同タイプ。ダンスインザダーク、ステイゴールド、シンボリクリエスあたりは「セレクト組はさすが高いだけのことはある」という印象だ。

 しかし、クロフネやキングカメハメハは価格差ほどの成績差がつかず、マンハッタンカフェやブライアンズタイムは「その他組のほうが安いうえに走った」ということになる。珍しいところではスペシャルウィークで「その他組のほうが高い」ということになっているが、これは2歳セール組の比率が高いことが影響している。

 忘れないようにもう一度書いておくと、以上は「社台グループ以外」の生産馬のみを対象にしたもので、要するに「日高の生産馬でもセレクト組にこだわる」のか「日高の生産馬だからHBAのセリでお得に買いたい」のかという議論である。

 牡牝を分けない話だし1走あたり賞金ベースなので走る産駒と走らない産駒の偏差も考慮されていない。また、その年その年において種牡馬の価値は変動し、セレクトの選抜に通りやすいかそうでないかという問題もある。

 しかしそれらを考慮しても、種牡馬ごとに特徴があるということは言えそうだ。セレクトセールを中心に醸成される種牡馬のブランド力をそのまま他のセールにも持ち込むのではなく、種牡馬のタイプや生産地情勢を考慮したほうが、日高のセリではお得な買い物ができるのではないだろうか。

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