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分かりやすい長距離血統不在の菊花賞

  • 2014年10月21日(火) 12時00分


長距離G1で定番の血統がいない今年の菊花賞は順当なのか…

 今年の菊花賞は父ダンスインザダークとか、母の父リアルシャダイとか、長距離G1で定番の血統がいない。母の父ダンスインザダークは2頭登録しているが、1頭は人気薄で500万条件を勝った直後、もう1頭は父スタチューオブリバティ。前者は除外対象だし、後者は逃げ馬という魅力はあるもののさすがにシルシ上位には推しづらい。

 こうなると、今年の菊花賞は順当なのかなという気がしてくる。というのも、菊花賞で規格外の走りをした馬の多くが「いかにもそれっぽい血統」だったからだ。

 例えば、母の父リアルシャダイのフローテーション。過去10年で前走4着以下の馬が[0-2-4-72]と前走着順がモノを言うレースにおいて、前走神戸新聞杯12着でありながら本番で2着してみせた。

 平成以降の菊花賞で前走2ケタ着順から連対した馬は2頭しかおらず、もう1頭はダンスインザダーク産駒のファストタテヤマだ。

 同じく平成以降の菊花賞で前走1000万条件勝ちから優勝した馬は2頭のみだが、これもデルタブルースとスリーロールスというダンスインザダーク産駒である。

 平成以降唯一の2ケタ人気優勝馬はヒシミラクルで、長距離戦の定番種牡馬であるサッカーボーイの産駒。

 細かいところを挙げると、過去10年でセントライト記念3着以下馬は[0-1-0-27]なのだが、唯一馬券に絡んだのは、ダンスインザダーク産駒のフォゲッタブル。

 要するに、データの範疇外というか、予測よりちょっと外れた走りをするのは長距離戦の定番種牡馬が絡むケースばかりなのである。

 そう考えると、今年は波乱の立役者になりそうな馬が簡単には思いつかない。見た目通りに不在で堅く収まるのか、実は登録馬の中に潜んでいるのか、前者のような気がするが、後者の可能性もぎりぎりまで捨てないようにしようと思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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