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ラストインパクトの4分の3弟スペリオルラスター

  • 2014年10月22日(水) 12時00分
ダノンエンジェル(牝 美浦・久保田貴士 父ディープインパクト、母アイアムエンジェル)
 母アイアムエンジェルはファルコンS(GIII)で2着となったスピード馬。2代母アイアムザウィナーは名繁殖牝馬で、アイアムエンジェルのほかにアイアムカミノマゴ(10年阪神牝馬S-GII)、アイアムアクトレス(11年ユニコーンS-GIII)、アイアムツヨシ(01年京王杯2歳S-GII・3着)、アイアムアドーター(準OP)などを産んでいる。本馬の父はディープインパクトなので、重賞を勝ったアイアムカミノマゴ、アイアムアクトレスと4分の3同血の関係になる。それらと違うのはAlzao≒Danzig Connection 3×3という相似な血のクロスがあること。Danzig Connectionとよく似た配合構成のShareef Dancerが入るディープインパクト産駒は成功しているので期待したい。仕上がり早で芝・ダート兼用のマイラー。堅実に稼ぐタイプだろう。

キャストアスペル(牝 栗東・長浜博之 父キングカメハメハ、母スペルバインド)
 母スペルバインドはチューリップ賞4着など芝中距離で活躍した。本馬が初子となる。父キングカメハメハ、母の父ゴールドアリュールはいずれもダート界を牽引する名種牡馬で、双方多くのダート重賞勝ち馬を送り出している。そのふたつの血が結びついたので、母が芝馬だったことを考慮しても、どちらかといえばダートを得意とするタイプに出る可能性が高いのではないか。牝馬らしい素軽さが表れて芝向きに出たとしても、道悪や洋芝で本領を発揮するタイプだろう。馬場が悪くなりがちな春先に活躍しそうだ。

スペリオルラスター(牡 栗東・須貝尚介 父ハーツクライ、母スペリオルパール)
 4分の3兄ラストインパクト(父ディープインパクト)は京都大賞典(GII)と小倉大賞典(GIII)の覇者。母スペリオルパールは不出走だが、四冠を制覇し年度代表馬に輝いたナリタブライアン、同じく年度代表馬のビワハヤヒデの半妹にあたる良血。近親にはファレノプシス(98年桜花賞-GI、98年秋華賞-GI、00年エリザベス女王杯-GI)、キズナ(13年日本ダービー-GI、13年ニエル賞-仏G2など重賞5勝)がいる。父ハーツクライは、代表産駒のジャスタウェイやウインバリアシオンのように、母方の近い世代にアメリカのダート血統を入れるパターンの成功が目に付く。本馬の母の父ティンバーカントリーはまさにそうした血統なのでおもしろい。芝向きの中長距離タイプ。

エイシンアルファー(牝 栗東・野中賢二 父マンハッタンカフェ、母エーシンコンファー)
 母エーシンコンファーは現役時代に準OPまで出世した。母の父Dynaformerはアメリカで成功したスタミナ型の種牡馬で、同じ年に同じダービーダンファームで誕生したブライアンズタイムと配合構成が酷似している。本馬は「マンハッタンカフェ×Dynaformer×Storm Cat」で、父の代表産駒の1頭トレンドハンター(11年フラワーC-GIII、11年桜花賞-GI・3着)は「マンハッタンカフェ×ブライアンズタイム×Storm Cat」。両者はきわめてよく似た配合構成となっている。Dynaformerは当たり外れの大きいRoberto系だけに、確実な計算はしづらいところはあるものの、当たれば飛距離は期待できる。芝向きの中距離タイプ。

エフティベス(牝 美浦・金成貴史 父ハービンジャー、母エフティマイア)
 母エフティマイア(父フジキセキ)は新潟2歳S(GIII)を勝ったほか、桜花賞(GI)とオークス(GI)でも2着に食い込んだ活躍馬。本馬が初子となる。現在のところ「ハービンジャー×フジキセキ」は3頭出走して勝ち上がりは1頭。その1頭がハービンジャー産駒のなかでトップクラスの能力を秘めるトーセンバジル(14年紫菊賞-500万下・2着)。同馬は母方の奥にノーザンテーストを持っているので本馬と配合的な共通点が多い。母エフティマイアは気性的に少々うるさいところのある馬だったので、そのあたりが伝わっていなければ芝向きの中距離タイプとしていいところがありそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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