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橋口弘次郎調教師/菊花賞(2)『ダービー馬の意地を見せてくれましたね』

  • 2014年10月23日(木) 11時59分
(Part1のつづき)

激白

▲ダービー馬の意地を見せた神戸新聞杯


神戸新聞杯のレース前に大変なことが…


 秋初戦となった神戸新聞杯は、後方からレースを進め、直線半ばで2番人気サトノアラジンを捉えきった直後、外からサウンズオブアース、トーホウジャッカルの急襲に合い、アタマ差で辛くも勝利を掴み獲った。

「肝を冷やしましたよ。やられたと思いましたけど、あそこから根性を見せてくれましたね。道中は思ったより後方だったし、大外を通ってだったので心配しました。ノリちゃんもサトノアラジンを負かすのが目標で、あそこから仕掛けて行ったと思うんですよ。外から並ばれた時にはやられたなと思いましたけど、結果的にはそこからダービー馬の意地を見せましたね」

 ハラハラさせられたとはいえ、終わってみれば強い競馬だった。目標にしていたサトノアラジンを競り負かした直後の急襲で、もう一段ギアを上げて見せたのだ。休み明けで、あれだけの競馬をしたワンアンドオンリー。さすがダービー馬だ。

 しかし今回、レース前には大変なことが起こっていた。パドックに登場する前、装鞍所では出走が危ぶまれるほどの事態だったという。

「毎度のことなんですけど、体重を量って装鞍所に入って来たら、儀式みたいに尻っぱねを3、4回するんです。それでいつもは収まるんですけど、この前はいつものように最初に尻っぱねをして、その後鞍を付けてからはもう連続ですよ。休み明けということもあったのかもしれないですけど、今までで一番激しかったです。そうこうしているうちに、出発直前になって鉄がズレてしまって。そしたら今度はなかなか打たせない。回し蹴りしたりして、全然打たせないんです。もうその時は青ざめました。装蹄師さんが我慢して我慢してなんとか打ってくれて、事なきを得ましたけど」

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▲出走が危ぶまれるほどの事態を乗り越えての勝利


 装鞍所では手が付けられないほどだったと言うが、パドックに登場したワンアンドオンリーは、ダービー馬の風格を見せつけて堂々と歩いていた。スイッチが入ると、誰も止めることが出来ないほどの激しい気性だが、普段は落ち着いている。これが、レースでの強さなのかもしれない。

 そもそも、後にダービー馬となるような馬は、新馬戦の時から注目されてある程度の人気になる馬が多い。しかしワンアンドオンリーの新馬戦は、10番人気で12着。中団の位置取りから、直線はカメラに映らないような後方で終わっている。

「新馬戦は全く競馬になっていないんです。もうレースに送り出すのが本当に大変で…。

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GIの注目馬にスポットを当て、主戦騎手や管理調教師を独占取材するnetkeibaのスペシャルインタビュー。GIに向けた意気込みや中間の調整過程、レース後に直撃し、戦いの舞台裏にあった知られざる真実を語っていただきます。

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