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小崎綾也騎手(4)『父と同じ世界で仕事ができて、僕はうれしいです』

  • 2014年10月27日(月) 12時00分
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▲今週が最終回。師匠、父、同期への思いを語ります!

今週が小崎騎手インタビューの最終回。騎手になることを断念した父・小崎憲調教師の思いも受けて、騎手としてさらなる成長を目指す小崎騎手。自分を支えてくれる小崎調教師、師匠の村山明調教師への思い。勝負の世界に生きる中で、同期へ抱いている感情。心の内にある思いを明かします。(取材:東奈緒美)

直接の言葉ではなくても伝わる思い


 前回デビュー初日に初勝利というお話をしましたが、デビュー翌日には2勝目、翌週には3勝目。1か月半の遅れを一気に取り戻すかのようでしたね。

小崎 遅れてデビューしてその週に2勝というのは、良い印象を持っていただけたかなと思います。「遅れた分を取り返したい」という思いはもちろんありましたので、どれだけ早く同期に追いつけるか常々考えていました。結果を出せたのは、サポートしてくださる周りの方のお蔭です。村山先生が、僕を一人前のジョッキーに育てるという熱い思いでいてくださるのがすごく伝わってくるので、とても感謝してます。

 村山調教師は元ジョッキーというところもあって。

小崎 多分、前々からジョッキーを育ててみたいという思いがあったのかなって思います。そういう熱い思いが伝わってくるので、いい先生に恵まれたなって。特に乗り方や技術に関して、よく教えてくださいますね。ジョッキーにしかわからないことってあるので、先生の経験を聞かせてもらえるのは勉強になります。

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▲小崎騎手を一人前のジョッキーに!と、熱い思いで育てている村山明調教師


 お父さんの小崎憲調教師の存在も大きいですね。

小崎 はい。でも小崎先生からは、乗り方に関してはあまり言われないですね。小崎先生はジョッキーではなかったので、自分が技術で教えられることはないという気持ちがあるのかって。でも、仕事に関しては厳しいです。レース以外の面、礼儀とかそういうのは注意されます。

 小崎調教師も騎手を目指されていたんですよね。断念されてサラリーマンになって、それから競馬界に。

小崎 昔は騎手になりたかったみたいですね。体が大きかったのかな。なりたいと思った時期も遅かったと思うんです。

 小崎騎手は、いつ頃から騎手になりたいと?

小崎 僕は、小学校4年生ぐらいです。昔から競馬の仕事に就きたいと思っていたんですけど、最初は「絶対にジョッキー」というわけではなくて。その頃父親が調教助手をやっていたので、僕も調教助手になりたいなという思いは漠然とありました。小学校4年生ぐらいになって、ジョッキーに惹かれましたね。「ジョッキーってカッコイイな」って、だんだん思うようになっていきました。

 ご両親から「ジョッキーになって」って言われたことはないんですか?

小崎 全くないです。かと言って、反対もされなかったですけど。ただ小崎先生からは、「ジョッキーの世界は厳しい。応援はするけど、本当に厳しいぞ」とは言われました。やっぱり厳しさを知っているからだと思います。

 ご自分が叶えられなかった夢を息子さんが叶えてくれて、うれしいでしょうね。

小崎 心配はしていると思うんですけど、騎手になってくれてうれしいという気持ちは感じます。直接の言葉ではないですけど、一緒にいてそういのは感じますね。僕も競馬の仕事に就けて、今まで父親として接していたのが、先生と騎手として競馬の話ができるので、それは多分お互いにうれしい気持ちがあると思います。同じ世界で仕事ができているのは、僕はうれしいです。

 そのうち、一緒にお酒を飲みながら語る日もありそうですね。同期とも競馬の話はしますか?

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▲「小崎調教師と一緒に、お酒を飲みながら語る日もありそうですね」


小崎 結構します。同期とは学校時代からとても仲が良くて、それぞれが高め合っていけていると思います。本当にみんないい同期ですね。

 ライバルというより仲間という感じ?

小崎 いや、そこは違いますね。もちろん仲は良いですけど、僕はやっぱり、ライバルという意識はあります。例えば中学校とか地元の友だちだと本当に「友だち」ですけど、同期はただの友だちとは違いますね。仲は良いけど、そういう壁は1枚あるかなと。

 同じ関西所属の松若騎手と義騎手、それぞれ競馬でのいいところってどういうところだと思いますか?

小崎 (松若)風馬は、体は小さいですけど積極的ですしバランスもいいので、そこはすごいなと思いますね。義はどっちかと言うと馬を気持ちよく走らせるのが得意かなというのがあります。あまりハミをかけずに乗るのがうまいですね。

 小崎騎手自身のアピールポイントってありますか? どんな馬が得意とか、得意なコースとか。

小崎 自分で得意不得意って感じるのは、まだあまりなくて。逆に、どんなレースでも対応できるようにならないといけないと思っています。普段の調教やレースでもそうなんですけど、「馬から感じ取ろう」というのは意識して乗っていますね。そういう感じ取る能力というのは、まあまあいいかなって。それが正確かどうかと言われたらどうかなとは思いますけど、自分なりに解釈できているところはあります。

 北海道のじっくり調教の成果ですかね。

小崎 それもあるかもしれませんね。やっぱり馬に跨る時間が長ければ長いほどいいと思いますので。乗れば乗る分だけ、経験値として積み上げられていくと思います。

 普段の調教は、火曜から金曜まで毎日?

小崎 はい、そうです。それでも、栗東に戻って来たらやっぱり少ないって感じます。北海道だと、1頭に20〜30分かけられますけど、栗東だと同じ馬に長い時間というのはあまりないですから。いろいろな馬に乗るのも勉強なので、もっと乗りたいです。もっともっと自分の中で伸ばさないといけないことがあります。

 騎乗依頼のある厩舎って、村山厩舎や小崎厩舎が飛び抜けて多いわけではないですよね。その辺りで、ちゃんと結果が伴って、力を認めてもらっているというのは感じますか?

小崎 いやいや、それはまだないです。本当に信頼されていたら、特別レースでも乗せてもらえると思いますし。村山厩舎や小崎厩舎の馬でも、ここぞという大事な場面ではもっと上のジョッキーが乗ります。そういうところでも乗れるようにならないといけないです。

 最後に、今の目標を教えてください。

小崎 デビューの年なので、1つの目標としては「新人賞」というのはもちろんあるんですけど、本当に馬に恵まれていて減量もあっていい環境にいるので、今は減量が取れてからトップジョッキーと戦えるようになるための準備期間だと思っています。失敗することは失敗して、減量が取れたときに、トップジョッキーの方たちと互角以上に戦えるジョッキーになる技術を身につけたり、いろいろな経験をすることも1つの目標です。(了)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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