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希少なドイツ生まれの外国産馬フレズノ

  • 2014年11月05日(水) 12時00分
オルナ(牡 栗東・岡田稲男 父キングカメハメハ、母ショウナンアクト)
「キングカメハメハ×フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」という組み合わせは成功している。JRAで出走した馬はわずか5頭ながら、ミュゼスルタン(14年新潟2歳S-GIII)、コナブリュワーズ(準OP)、プロクリス(1000万下)が現れ、連対率39.3%という数字を挙げている。母ショウナンアクトは現役時代、ダート短距離を得意とし、準OPまで出世した。その特徴を受け継ぐなら本馬もダート馬となりそうだが、配合全体を見ると芝でもやれそうな雰囲気がある。芝・ダート兼用のマイラー。

ゴールドシャンティ(牝 美浦・和田雄二 父アドマイヤムーン、母ベラミロード)
 母ベラミロードは宇都宮競馬が生んだ歴史的名牝。地元で北関東ダービーなど数々の重賞を制覇したほか、南関東に遠征して東京盃(GII)、TCK女王盃(GIII)を快勝、中央でもユニコーンS(GIII)2着、根岸S(GIII)4着などの成績を残した。血統も素晴らしく、その母ベラミスキー、半兄イヴニングスキー、半弟ベラミチケット、同ブリッジクリアーも宇都宮の主要重賞を勝っている。本馬の父は仕上がり早のアドマイヤムーン。したがって現1000万下のメイケイペガムーンの全妹にあたる。芝・ダート兼用で、姉と同じく短めの距離がよさそうだ。

フレズノ(牡 美浦・古賀慎明 父Lord of England、母Firedance)
 ドイツ生まれの外国産馬。父Lord of Englandは現役時代、独伊でダルマイヤー大賞(G1・芝2000m)、ヴィルツシャフト大賞(独G3・芝1750m)など8戦4勝。独オークス(独G1・芝2200m)を勝ったFeodora、バヴァリアンクラシック(独G3・芝2000m)を勝ったPakalなどを出している。母の父Lomitasは独年度代表馬に輝いた名馬で、種牡馬としても凱旋門賞馬デインドリームをはじめ多くの一流馬を出した。2代母Fraulein TobinはRunning Stag(アジアエクスプレスの母の父)の半姉で、3代母Fruhlingstagは仏1000ギニー(仏G1)2着馬。このとき優勝したDancing Maidは他にヴェルメイユ賞(仏G1)を勝ち、英オークス(英G1)2着、凱旋門賞(仏G1)3着などの成績を残した強豪なので価値がある。本馬はLiranga≒La Colorada 3×3というドイツ血統らしい相似な血のクロスを持っている。ドイツ生まれの外国産馬はここ10年間でわずか3頭しかデビューしていないので、どんな走りを見せてくれるのか興味深い。芝向きの中距離タイプ。

ララエクラテール(牡 栗東・今野貞一 父ステイゴールド、母オリミツキネン)
 父母ともに18歳という高齢馬同士の交配で誕生した産駒。母オリミツキネンはクイーン賞(GIII・ダ1800m)4着馬で、繁殖牝馬としては砂の王者アジュディミツオー(父アジュディケーティング/06年帝王賞-GI、04・05年東京大賞典-GI、06年川崎記念-GI、06年かしわ記念-GI)を出して成功した。本馬の父はステイゴールド。いうまでもなくオルフェーヴル、ドリームジャーニー、ゴールドシップ、フェノーメノの父で、アジュディミツオーの父アジュディケーティングとはまったくタイプが異なる。ただ、オリミツキネンにとっては初めてのサンデー系種牡馬となるのでおもしろいところがあるかもしれない。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

リブレドバンク(牝 栗東・吉村圭司 父ネオユニヴァース、母ヴィクトリーバンク)
 京都新聞杯(GII)2着、ステイヤーズS(GII)2着など、重賞で入着を繰り返しているユニバーサルバンクの全妹。ネオユニヴァース産駒はLorenzaccio−Ahonooraのラインと相性がよく、代表産駒のヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、イタリアンレッドはいずれもこのラインを取り込んだ配合となっている。ユニバーサルバンクもその1頭で、その全妹にあたる本馬にも期待が掛かる。母が18歳時に産んだ子ではあるが、配合的な期待が上回る。兄は芝向きの中長距離タイプだったが、本馬は牝なので中距離が良さそう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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