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“ジョッキーにしかわからない心境”を赤裸々トーク

  • 2014年11月18日(火) 18時00分
小牧太

今週はジョッキーにしかわからない心境を赤裸々に語ります!


祝・ファンタジーS優勝! レースについては次週じっくりお届けするとして、今回はユーザーからの質問特集です。「ハープスターのようにずっと後方から競馬をしていた馬を、急に前に行かせることはできるのですか?」「小牧さんは落馬への恐怖はありますか?」といった質問に、ジョッキーにしかわからない心境を赤裸々に語ります!
(取材・文/不破由妃子)


ベテランになればなるほど、落馬への恐怖心は大きくなる

──今回も質問が盛りだくさんです。まずは「ハープスターのように、ずっと後方から競馬をしていた馬を急に前に行かせることはできるのですか?」という質問から。

小牧 うん、ジョッキーによってはね。たとえばブエナビスタでいえば、横山(典弘)くんが乗ったときはある程度前で競馬をしていたでしょ。だから、答えとしては、やろうと思えばできる。ただ、松田先生のところは、ああいう競馬の指示やから。川田くんでいえば、指示通りに乗ってるんやと思う。

──なるほど。できるできないでいえば、できるということですね。

小牧 そうやね。まぁ、もちろん馬にもよるやろうけど。

──続いても関連性のある質問ですが、「小牧さんくらいのベテランになると、調教師からどの程度の指示を出されるのでしょうか。指示があっても、返し馬などの感触でちょっと違うなと思えば、自分の感覚を優先させますか?」というものです。

小牧 レース展開を細かく指示してくる調教師はあんまりおらんよ。過去のレースを見ていれば、どういう脚質の馬かわかるし。もちろん、指示があればある程度は従うけど、ゲートを出てからは自分の感覚に頼るしかないんでね。相手もいることやし、そこは臨機応変に。ただ、後ろから行ってくれと言われたのに、叩いて前に行ったりはしないよ。

──続いては、「10月3日、第3回小牧太カップが実施されましたが、今後もこのような形で園田競馬を盛り上げていかれる予定ですか?」という質問です。

小牧 第3回があったら、4回目もあるでしょう。

──今年、小牧太カップを勝ったのは笹田知宏騎手。JRAの笹田和秀調教師の息子さんですよね。

小牧 そうそう。さっき、表彰状の渡し方で笹田さんに笑われたわ。You Tubeで見たらしいんやけど、「お前、表彰状を自分のほうに向けたまま渡したやろ。息子がビックリして自分でひっくり返しとったやないか」って。まったく気づかんかったわ(笑)。

──小牧さんらしいといえば小牧さんらしい(笑)。ところで、レース名に小牧さんのお名前がついているということは、小牧さんが賞金の提供をされているということですよね?

小牧 賞金じゃなくて賞品ね。微々たるもんやけど、商品券を馬主さん、調教師、厩務員、騎手に100万ずつ。だから計400万円。

──400万! すごい…。

小牧 ちょっと! 嘘に決まってるやん! そんな出せるわけないやん(笑)。

──普通に信じてしまいました(笑)。

小牧 そんなバカな(笑)。でも、これからもずっと続けていきたいと思ってる。やっぱり地元のファンは喜んでくれてるみたいやし、僕としてもうれしいからね。

小牧太

微々たるもんやけど、商品券を馬主さん、調教師、厩務員、騎手に100万ずつ。だから計400万円…ちょっと! 嘘に決まってるやん!



──とても素敵なイベントですものね。続いては、「小牧さんは落馬への恐怖心はありますか? ときどき起こる落馬事故を見ると、改めて生死を懸けて乗ってらっしゃるんだなぁと怖くなることがあります」という質問です。

小牧 そりゃあ怖いよ。落ちるのはもうしょうがないんやけど、怖さは常にある。ベテランになればなるほど、いろんなことを経験しているぶん、恐怖心も大きくなると思う。この前話した歩様の違和感(取り消したドリームコンサート)とかも、恐怖心につながるからね。

──そうですよね。未然に防げることは防がないと。

小牧 そうやね。でも、突然の骨折ばかりはどうしようもない。だからそれが一番怖いね。ホントに突然のことやし、ジョッキーはどうしようもないから。落ちる瞬間はね、「またか…」と思いながら、走馬灯のように頭のなかをいろいろめぐるんですわ。なんにせよ、このままケガなく今年を終えたいね。

──本当にそうですね。去年、一昨年と、この時期のケガが続きましたからね。話は変わりますが、息子さんが国体の馬術競技で優勝されたそうですね。おめでとうございます!

小牧 そうそう。頑張っとるわ。

──競馬と乗馬はもちろん違いますが、なにかアドバイスされたりするんですか?

小牧 いや、そういう話は一切したことがない。なにも聞いてこうへんし。乗馬をやってる人ってそんなもんやで。みんな自分の感覚を大事にするから。

──でも、乗馬を始めたきっかけは、間違いなく小牧さん。

小牧 それはね、僕がきっかけやろうけど。ジョッキーにさせようと思って馬に乗せたのが始まりやわ。息子は馬が本当に好きみたいやね。そういえば、アンチャンの松若くんは、乗馬クラブ時代の友達やで。彼のほうがひとつ年上やけど、この前、ウチに遊びにきとったわ。ジョッキーと乗馬では、(お金を)稼ぐのと使うのとでえらい違いや(笑)。

──息子さんは背が大きいんですよね。

小牧 うん。今の時点で172、3cmはある。ジョッキーになったら、減量で苦労してたやろうな。

──息子さんと乗馬について話したことがないということですが、小牧さんとしては、息子さんの活躍はうれしいんじゃないですか?

小牧 うん、まぁね。一応、オリンピックを目標にするみたいやから、親としては楽しみやけどね。

──そういえば、息子さんが大会で乗っていた馬は、中央を走っていた馬ですよね。

小牧 そうそう、オレニツイテコイ。さっき聞いたんやけど、モズの北側(雅司氏)さんの馬らしいね。ずっとその馬と一緒に試合に出てますわ。しかし、乗馬はお金がかかるわ〜。僕も頑張ってもっと働かな!

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【次回の太論は!?】
先日のファンタジーSでは、シンガリ人気のクールホタルビで見事な勝利を決めた小牧騎手。それにしても人気がなさすぎた感がありますが、はたして小牧騎手はどんな手応えを持ってレースに臨んだのでしょうか。次回は、ファンタジーS制覇の舞台裏と、惜しくも3着に敗れたみやこSをじっくり振り返ります!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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