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世界で広まる『カーニバル開催』 日本に導入の構想はあるのか?

  • 2014年11月24日(月) 18時00分
教えてノモケン

▲昨年の凱旋門賞、優勝馬はトレヴ(撮影:高橋正和)


アメリカのブリーダーズCやドバイ国際競走、香港国際競走など、1日に複数のGIを行う「カーニバル開催」。欧州でも、フランスの凱旋門賞週にGI集中開催があり、イギリスも凱旋門賞の2週後を「チャンピオンズデー」とカーニバル化した。これが世界の有力馬の遠征ローテーションとなると、日本が選択肢に入ってこないのではないか。ジャパンCへ海外の有力馬の参戦が減っているのも影響しているのではないか。「カーニバル開催」導入論が叫ばれる一方で、JRAは「1週GI1つ」のパターンを崩していない。その理由は何か。将来的に変わっていく可能性はあるだろうか。野元賢一記者が解説します。


 今年もジャパンCが迫ってきた。今回の日本勢は豪華メンバーだ。第1回特別登録段階でGI勝ち馬10頭。凱旋門賞組のハープスター、ジャスタウェイに、国内残留組では、史上初の3連覇を狙うジェンティルドンナに、天皇賞・秋優勝のスピルバーグ、天皇賞・春連覇のフェノーメノ。3歳牡馬では、春の2冠を分けたイスラボニータ、ワンアンドオンリー。4歳代表では昨年の菊花賞馬エピファネイア。

 一方、外国勢はまたまた手薄だ。遠征3頭中、格上はレーティング120のアイヴァンホウ(ドイツ、牡4)だが、良馬場の凱旋門賞で18着と惨敗した。トレーディングレザー(アイルランド、牡4)は、昨年のレートが120だが、今年は勝ち星がない。カナダのアップウイズザバーズは昨秋にベルモントでGIを勝ったが、芝路線が低水準の北米でもトップクラスにほど遠い格下だ。

 国際招待の看板を下ろしたチャンピオンズC(中京)も、GI勝ちのない米国馬が1頭。JRAはエリザベス女王杯からチャンピオンズCまでを「ジャパン・オータム・インターナショナル」と銘打っているが、対象4競走の外国馬は4頭で、遠征馬集めは苦戦が続く。

 こうした状況から、ブリーダーズCやドバイ国際競走、香港国際競走など、1日に複数のGIを行う「カーニバル開催」の導入論が一部で叫ばれている。GIが複数なら、外国馬の陣営も複数頭を連れて来やすく、1頭当たりの輸送コストの圧縮になる。だが、JRAは創立50周年の2004年11月、ジャパンCと当時のジャパンCダートを東京で同日開催した例があるが、基本的には1週GI1つのパターンを崩していない。理由は何か? 将来的に変わっていく可能性はあるだろうか?

国際レースの“後出しジャンケン”


 ジャパンC創設は1981年。当時はまだ、各国がカーニバル開催を始める前だった。ブリーダーズカップ(BC)創設はジャパンCより3年遅い84年。グレード制導入の年だ。90年代に入ると、馬券マネーに支えられて日本の競馬の地位は向上。種牡馬としての売り込みや、買われた馬のお披露目目的のジャパンC参戦が増え、一時は欧州、北米、オセアニアの3地域から有力馬が集まっていた。

 潮目が変わったのは90年代後半。96年に創設されたドバイW杯は、徐々にアンダーカードを充実させて行った。また、89年にマレーシア、シンガポールとの対抗戦として始まった香港国際競走は、99年に現在の4競走(カップ、スプリント、マイル、ヴァーズ)態勢を整えた。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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