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「躍動感や鼓動、優しさなど感じ取ってもらえるような絵を描きたい」阪上久美子さんにインタビュー

  • 2014年12月23日(火) 18時00分
競馬の職人

阪上久美子さん



阪上久美子さん「大きな体なのに動きが繊細で仕草もかわいいんですよ。ずっと見ていても飽きないです」

 いよいよ今週末は今年の中央競馬を締めくくる有馬記念! GIホースが10頭出走予定、とグランプリにふさわしい豪華なメンバーが集結し、実力伯仲の一戦が繰り広げられます。好勝負が展開されるので瞬きしてる間なんてないですよー。みなさんはどの馬を応援されますか? 難解ですよね。

 今週は素敵な女性画家、阪上久美子(さかうえくみこ)さんを紹介します。川西市在住で馬の絵を描き続けて15年余りになるそうです。

 来年、平成27年の競馬が始まる1月4日、淀屋橋駅2Fから京都競馬場の入口へ向かう通路の中央あたりで個展「LOVE・HORSE」(・はハート)が開かれます。そこでは馬の絵を展示し、グッズも販売しているそうです。是非覗いてみてください。新年早々ハッピーになれますよ。

 馬の持つ魅力をキャンバスいっぱいに表現し、阪上さんのかわいい人柄も描かれているような馬の絵です。レースの前に語りかけるような絵を見て馬券を決めるのもいいですし、レース後、ちょっと残念だった方も馬の絵を見て癒されてください。今回は個展会場へお邪魔して取材させていただきました。

常石 ギャラリーまて押しかけてしまいましたがよろしくお願いします。今日から個展「LOVE・HORSE」ですね。おめでとうございます。

阪上 ありがとうございます。わぁー、お花もうれしいわ。

常石 馬を描かれる魅力ってどんなところですか?

阪上 馬すべてが魅力的ですが、特に穏やかな目かな? 目を描きこむといっぺんに表情が変わってアクセントになりますね。目を閉じた絵があるんですがそれはとっても難しかったです。大きな体なのに動きが繊細で仕草もかわいいんですよ。ずっと見ていても飽きないです。一眼レフ持っていっぱい写真を撮っています。

競馬の職人

阪上さんの作品



常石 競馬場の馬が多いですか?

阪上 牧場にも行きます。このあいだサンレイスズカの牧場に行ってきました。牧場では広々した草原を駆け回る馬たちを見ることができるので私までのびのびできます。デッサン画が多かったのですが今回から油絵にも挑戦しているので絵の中に風景も入れられて、より豊かな表現になった絵が描けてうれしいですね。レースのない競馬場にもよく行きますよ。中山・小倉にも行ってきました。

 実は、土・日だけ主に阪神競馬場の装鞍所で働いています。装鞍所で見る馬は、表情が豊かで興味津々で見るとつい仕事を忘れてしまいそうです。レース前とレース後の馬の表情が全く違うでしょう。面白いですよね。特に2歳馬は、見た目ではわからなく馬がよく走ったり暴れたりする馬もありますね。GI馬などは迫力というか緊張感がちがってパワーをもらいます。貫録が漂ってきます。レース前と終わった馬は、全然違いますね。レース後の馬は曲線がとってもきれいなのでその曲線を描きたいと思います。

 中には気性の激しい馬もいますが、パドックに行くと落ち着きますね。ファンの人が見てくれるのがわかるんでしょうね。人も馬も見られるとシャキッとするのかな。私の絵も多くの人に見られるともっと上手くなれるかな(笑)。

競馬の職人

阪上さんの作品



常石 いえいえ阪上さんの絵は表情が豊かで目が合うのがうれしいですね。いつごろから競馬に興味を持たれたんですか?

阪上 小学生の頃にゲームもしていましたし、ヒシマサルやビワハヤヒデなど馬のぬいぐるみを集めていたんです。初めてレースを見たのがライスシャワーの天皇賞・春でした。そして宝塚記念でのライスシャワーの衝撃でした。怖かったけど、それだけ過酷なレースをしていることがわかり馬をしっかり見るようになりました。

常石 ライスシャワーは、いい馬でしたね。名前もいいでしょう。すべての人たちに幸福がおとずれますようにと願いを込め名前が付けられたと聞きました。「刺客」と別名があるくらい鋭い脚を使ったレースは魅力でしたね。

 馬体は、とっても小さくひ弱な感じに見えましたが、調教に乗った人は背中の柔らかさに驚き、「雲の上に乗っているような」気分だと言ったそうです。それだけ弾むんでしょうね。記念レースも行われライスシャワーの名前も競馬史上で受け継がれていってほしいです。

 今、特に興味のある馬はいますか?

阪上 競馬場にいるポニーやミニチュアホースもかわいいし乗っても面白いですが、最近は音無厩舎のブチコですかね。パドックなどで引いている厩舎のスタッフさんもブチコ柄になっていてかわいいですよね。あとは大橋厩舎のニホンピロアワーズも大好きです。酒井学騎手も魅力がありますよね。トレーニングセンターではファンからいただいたいろんな贈り物を馬房の前に飾ってあったりして、とっても大事にされていますよね。まだトレーニングセンターへ行ったことがないので是非行ってみたいです。厩舎にいる馬とレースを控え装鞍所にいる馬とは、また違うでしょうからね。

常石 厩舎にいる馬は、自分のおうちにいるので調教後も厩務員さんに甘えたり馬房に入ると自分の空間でゆったりリラックスしていますね。是非見学に来てください。案内しますよ。

 ところで、馬の絵はいつくらいから書き始めたんですか。

阪上 中学・高校は、美術部でした。短大美術科を卒業後ずっと描いてます。中学時代に出会った長瀬智之師匠に出会ってから嵌っています。まだまだ未熟だからもっと勉強し大好きな馬を描いていきたいです。最近は乗馬を始めたのでまた違った絵が描けるかな、と思います。

常石 最後に競馬ファンの方へメッセージをお願いします。

阪上 一枚の絵から躍動感や鼓動そして優しさなどファンの方それぞれが感じ取ってくれたらうれしいです。感じ取ってもらえるような絵を描きたいと思っています。同じ馬ファンになりたいと思います。

競馬の職人

阪上さん「一枚の絵から躍動感や鼓動そして優しさなどファンの方それぞれが感じ取ってくれたらうれしいです」



常石 長時間お付き合いありがとうございました。

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 阪上さんは馬が大好きで馬の持つ魅力をキャンバスいっぱいに描きたい、とまだまだ夢が膨らんでいました。とってもおしゃれで気さくな方で話しやすかったです。是非栗東トレーニングセンターへ来てください。お待ちしています。

 一年を締めくくって僕のコラムに付き合っていただきありがとうございます。皆さんに楽しんでいただけるような取材をしていきますので、来年もよろしくお願いいたします。つねかつこと常石勝義でした。

【更新スケジュールのお知らせ】
いつも当コラムをご愛読いただきありがとうございます。年内の更新は今回が最後となり、年明けの初回は1/6(火)になります。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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