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2014年を振り返って

  • 2014年12月26日(金) 18時00分


◆プレイアンドリアルからリーディングまで、地方競馬の重要トピックス

 今年も残すところ、競馬のビッグイベントは、有馬記念と東京大賞典だけになった。とはいえ地方競馬はその後にも重賞が目白押しで、大晦日には全国で5つの重賞が行われる。大井の東京2歳優駿牝馬は、グランダム・ジャパン2歳シーズンの最終戦。目下ポイント単独トップに立っている名古屋のジュエルクイーンが2歳女王を狙って参戦予定だ。時間的に今年も日本で最後に行われる重賞は高知県知事賞。そして高知の最終レース(19時50分発走予定)まで、ぜひお楽しみいただきたい。新年も地方競馬は元日から、ばんえい帯広、川崎、名古屋、高知で競馬が始まるのだが。

 さて、本コラムも2014年の最後ということで、地方競馬的に1年を振り返ってみたい。

 まず年明けに盛り上がったのは、北海道から川崎に移籍していたプレイアンドリアルが中山の京成杯を快勝したこと。岡田繁幸さんがコスモバルクで叶えられなかった、地方に在籍したまま中央のGI制覇という夢に向かって走りはじめたが、残念ながらその後は脚部不安のため競馬場に姿を見せないまま引退となってしまった。

 3月、ばんえい記念は、6番人気のインフィニティーが制し、2着にも8番人気のフクドリが入ってという大波乱。その後もばんえいの古馬戦線は主役不在で重賞は波乱続き。古馬のみならず、すべての世代で今年のばんえい重賞は波乱が多かった。

 4月16日、クラウンC(川崎)をワタリキングオーで制した的場文男騎手が、地方競馬の最高齢重賞勝利記録(57歳7カ月)を更新。今年12月25日現在で131勝を挙げている的場騎手は、30年連続、通算31度目の年間100勝も達成している。通算では6678勝。不滅の記録と思われてきた佐々木竹見さんの7153勝という日本記録の更新も、もしかしてと思わせれるところまで来ている。

 6月には、金沢の吉原寛人騎手が騎乗したハッピースプリントが東京ダービーを制して南関東2冠を制覇。南関東所属以外の騎手が東京ダービーを制したのは、60回の歴史で初めてのことだった。

 6月の帝王賞では、兵庫のオオエライジンが競走を中止して安楽死となる悲しい出来事もあった。

 9月には船橋の川島正行調教師が逝去された。地方競馬に残したその偉大な記録については、ここであらためて触れるまでもないだろう。ちなみに最後の重賞タイトルとなったのは7月21日、ナイキマドリードで制した地元船橋の習志野きらっとスプリントで、その鞍上には息子の正太郎騎手の姿があった。

 11月、JBCが12年ぶりに盛岡競馬場で行われた。2007年に岩手競馬は廃止がほとんど決定されたところからの逆転存続があり、2011年には大震災もあった。それを乗り越えてのJBC開催には、人それぞれにさまざまな想いがあったのではないだろうか。

 12月29日に行われる東京大賞典には、初めて外国馬が参戦。今後はただ外国馬の参戦というだけでなく、ダートのチャンピオン級の参戦も期待したい。

 そして調教師や騎手のタイトル争いもいよいよ大詰め(以下、今年の数字はすべて12月25日現在)。

 調教師の勝利数リーディングでは、今年は名古屋の角田輝也調教師がトップを走っていたのだが、11月終盤だったか12月に入ってからだったかという時期に、高知の雑賀正光調教師が逆転。ここまで雑賀師227勝、角田師220勝。残す開催日は、高知が2日間で、東海地区は3日間あるが、角田師には地元ではない笠松開催だけに、雑賀師の逃げ切りが濃厚。このまま逃げ切れば4年連続での全国勝利数リーディングとなる。

 賞金では、浦和の小久保智調教師が断然。2位は船橋の矢野義幸調教師だが、仮にサミットストーンが東京大賞典を勝ったとしても追いつかない。小久保師は11月26日の兵庫ジュニアグランプリをジャジャウマナラシで制してダートグレード初勝利を挙げたのをはじめとして、特にこの秋の勢いはすさまじく、今年ここまで134勝。うち南関東での132勝は、自身が2012年に更新した南関東所属の調教師としての歴代最多勝記録をさらに更新している。“ポスト川島正行”はこの人で間違いなさそうだ。

 勝率では、名古屋の川西毅調教師が39.1%という驚異的な数字でダントツだ。

 そして大晦日までもつれそうなのが、騎手の勝利数リーディング。昨年、54歳で全国リーディングを獲得した川原正一騎手を含めて兵庫の3名が全国のトップ3となっていることは、以前にこのコラムでも紹介したとおり。ここまで田中学騎手が270勝、木村健騎手が266勝で、川原騎手は少し差があっての3位。夏頃までは木村騎手がトップだったが、持病の腰痛で一時休養があり、その間に田中騎手が逆転。園田開催は29日から大晦日まであと3日間あり、どちらが最終的にトップに立つのかまったくわからない。

 賞金では、首位の御神本訓史騎手が、2位の森泰斗騎手に7千万円余りの差をつけてトップ。森騎手が東京大賞典を勝つようなことがあれば逆転の可能性もないではなかったが、残念ながら騎乗馬はない。

 勝率では、佐賀の山口勲騎手が28.4%で、高知の赤岡修次騎手が28.0%と肉薄。ともに開催を2日ずつ残しているため、このタイトルの行方もまだわからない。

 ちなみにタイトル争いで示した数字は地方競馬のみのもので、年明けに発表されるNARグランプリの表彰では中央の成績も含むため、その際の数字は若干変わることがあることをお断りしておく。

 それでは、良いお年を。このコラムの年明け初回は1月9日になります。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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