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レース展望記者座談会『“京都金杯は当たりやすい!”その真相とは!?』

  • 2014年12月28日(日) 15時30分
おじゃ馬します!

▲座談会最後のテーマは「東京大賞典、金杯、2015年の期待馬」


競馬専門紙・馬サブローの人気記者によるレース展望座談会。有馬記念が終わっても続きます! 今週は、交流競走の東京大賞典、そして年明けの東西金杯を大予想。『京都金杯の予想は簡単』その真相は!? さらには『2015年に注目すべきはこの馬!』も発表します!

(出演メンバー:竹村浩行記者、安里真一記者、吉田順一記者、森岡健一郎記者、司会:赤見千尋)



◆東京大賞典、タルマエ連覇の可能性は


赤見:有馬記念の翌日は東京大賞典! そこに向けて重要なチャンピオンズCは、ホッコータルマエが初めて中央のGIを勝ちました!!

竹村 ついに勝ちましたね〜。みんなそうだと思うんですけど、西浦厩舎というのは、応援してしまうんですよ。

安里 うん。先生も温厚でいい方だからね。

森岡 大好きですね〜。

吉田 応援したい厩舎ですよね。馬券的な旨みも大きいっていうのもありますしね。

竹村 いやいや。それもあるかもしれないけど、ここはお金の話じゃないでしょ。大手の馬主さん主体のところも多いなかで、管理馬のラインナップが偏ってない。馬券で儲かる云々とかじゃなくて、純粋な気持ちで応援したくなる厩舎っていうね、そういう話よ!

赤見:みなさんの愛情はとても伝わってきました(笑)。マスコミから慕われる厩舎っていうのは、普段から対応や仕事ぶりが丁寧なんだろうなって想像できますよね。タルマエ、東京大賞典連覇の可能性はどう考えますか?

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▲ホッコータルマエ、東京大賞典連覇なるか!?


吉田 負けん気の強さと頑強な先行力が売りで、もともと地方向きの脚質と脚力の持ち主ですからね。当然、いい勝負でしょう。

森岡 しかも、チャンピオンズCは休み明け2走目で、レースぶりが一変しましたもんね。いかにも叩き良化型で、まだまだ上積みは見込めそうですし、抜群の実績を誇る地方なら、まず勝ち負けでしょうね。

安里 いや〜、あの精神力は並の馬じゃないと思うわ。3歳の秋から続戦続戦で「どんだけ使うの?」と思って見てたけど、あれだけのヘビーローテーでどんどん強くなっていってるもんね。春のドバイではレースの後に緊急入院するほどだったし、その辺りは体調が本物ではなかったということ。念願の中央のGIタイトルもつかんだし、このままドバイまで一気に突っ走ってほしい!

竹村 たしかに、チャンピオンズCの時って、“絶対に抜かせない”っていう馬の気迫が伝わってきたもんね。『馬サブロー競馬TV』(YouTubeで配信中)のチャンピオンズC編のとき、厩舎担当の松永記者が「JBCクラシックで負けたのがよっぽど悔しかったのか、今回は馬のやる気が全然違うらしいです」って言ったんだよ。まさに! っていうレースだったね。

みんなも言う通り本当に強い馬だと思うんだけど、ただ…、馬券はローマンレジェンドから行きます。というのは、レース後の気配がめちゃくちゃいい! チャンピオンズC以上の凄みを感じるね。もちろん、相手の本線はタルマエだけどね。

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▲2年前に優勝した時のローマンレジェンド


吉田 僕も、相手にはローマンレジェンドですね。2年前の覇者で、前走は完全復調の内容。鉄砲巧者とはいえ、順調に使える点も大きいでしょうしね。

安里 休み明けでも地力で3着に踏ん張ったローマンレジェンドと、展開不向きの中で突っ込んできたワンダーアキュート、相手はチャンピオンズC組のこの2頭で決まり!

森岡 ワンダーアキュートは、たしかに展開が向かなかったですよね。でも、ここ2戦とも35秒台の上がりを駆使しているし、年齢的な衰えは感じないですよね。それこそ大井は走り慣れた舞台。流れひとつで逆転まであると思います。

あとはコパノリッキーも、前走はスムーズさを欠いたということで度外視できるかなと。発馬を決めて主導権を握れば、巻き返して当然だと思います。

吉田 そうそう。右回りだからダメということもないと思うんですよ。発馬五分+ホッコーより前で競馬ができれば、コパノリッキーも、逆転があっていい実力馬でしょうね。

京都金杯を当てるコツ!


赤見:つづいては、年明けの金杯の予想をしていきたいと思います。

安里 京都金杯は分かりやすいですよ。京都のマイルは、とにかくディープ産駒。

吉田 それで、内枠ですよね!

竹村 僕も内枠だと思うわ。というのは、1月の京都はAコース。2か月ぶりのAコースでグリーンベルトが出来てる状態なので、そこ通らないと勝てないというレースが、もう何年続いてるか。

森岡 だから、1〜5番を買った方がいい。

竹村 京都金杯ってハナに行った馬、番手の馬といて、その後ろの3列目にいる馬はもうダメだね。3列目にいた馬が回って来たら、もう外を回ることになってしまう。それだと伸びないんだよね。

吉田 それだったら、もっと後ろでラチ添いを走るとかですよね。4列目の内、5列目の内でも、2列目と3列目の動きによっては開くこともあるので、それならチャンスはあると思うんです。Aコースだから、コーナー回って内側がパカッと開くわけですよ。内が伸びるのは、その分もあると思いますけどね。

あとは、もし外枠でも都大路Sのグランデッツァみたいに、スピードに任せてガーンと行かすような馬なら、いいかもしれないですけどね。時計勝負に持って行く先行馬。

安里 基本的には内にこだわるジョッキーを狙いたいけどね。岩田騎手とか浜中騎手とか、そういう意味でも信頼できる。まあ、枠が出てからもう一度考えるとして、現段階で買いたい馬は……グランデッツァ!

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▲京都金杯イチオシのグランデッツァ


吉田 えっ、いきなりディープ産駒じゃないですけど!

安里 鞍上も秋山騎手という(笑)。それはそうなんだけど、都大路Sでのレコードタイムは驚異的だったし、良馬場でやれれば崩れることはないでしょう。ただ、ハンデは背負うだろうし、絶好の形で伸びあぐねたマイルCSの内容からすると、勝つとまでは言い切れないかな…。あとは、アズマシャトルも買いたい一頭。チャレンジCは落鉄してたし、うまく脚をためれば馬券に絡んでもおかしくないはず。

森岡 僕も、本命はグランデッツァにします。マイルCSはあわやというところもありましたし、時計勝負には滅法強いタイプ。開幕馬場を味方に、押し切る公算が大! あとは、ウインフルブルームですね。皐月賞ではイスラボニータとかトゥザワールドを相手に、差のない競馬を演じた実力馬です。前走は太めが応えて失速しましたけど、ひと絞りあれば一変あっても不思議はないと。

竹村 先行馬ならウインフルブルームだね。前走はたしかに馬体が増えすぎてた。それに、番手からの競馬でペースも厳しかったからね。今回は出来の見極めが第一だけど、すんなり行ければ粘りも違うと思うよね。差してくるタイプなら、シェルビーでしょう。来年のマイル重賞戦線を賑わす素質馬だと思うよ。さばきひとつで突き抜けてもおかしくない。

森岡 シェルビーは注目ですね。折り合った時の破壊力は相当だし、京都マイル戦は得意で、決め手勝負なら勝機は十分。

吉田 京都のマイルなら、重賞でもヒケを取らない素質の持ち主でしょうね。僕は、エキストラエンドにします。それこそ安里さん推しのディープ産駒で(笑)、昨年の勝ち馬。状態とレースぶりが徐々に上向いている点も心強いです。

赤見:今挙げていただいた狙い馬で、あとは枠順ですよね。枠が決まってからの予想だと、もっと精度が上がりそうですね。

竹村 本当にそうなんですよ。僕ら専門紙はどうしても、枠順発表前に予想をすることになる。そこは変えていきたいところなんです。だからこそ、馬サブローのスマホ版で直前馬券情報もやっているんですけど……(笑)。専門紙のあり方にくさびを打つ意味でも、これは言っておきたいです!

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▲赤見「京都金杯は狙い馬たちの枠順もポイントですね」


赤見:中山金杯はどうですか?

竹村 中山は12月から連続開催になるわけでしょう? 特に今年は1週も空かない、完全連続開催だもんね。こっちは本当に難しいけど…、素直な打ち筋なら、ラブイズブーシェ。しぶとい末脚が武器だから中山も合うしね。

吉田 ラブイズブーシェは、時計の掛かる舞台が合うタイプなので、条件的にはベストでしょうね。

竹村 あとは、ディープ産駒のわりにタフな条件が噛み合う、クランモンタナもおもしろそう。

吉田 パワー兼備のディープ産駒ですから、中山でも一概に軽視はできないですよね。ワンパンチ欠く内容ですが、ハンデ戦のGIIIあたりなら好戦も可能でしょう。

森岡 クランモンタナ、僕もいいと思います。勝ち味には遅いけど、大崩れはなさそうですし。メイショウナルトなんかは自分の形に持ち込めればしぶといタイプですよね。前走も交わされてから、しぶとく踏ん張って地力を示しました。ここもハンデが鍵になるけど、楽に先手を奪えるようなら。

ロゴタイプは、完調にはまだひと息っていう感じですが、実戦を使われながら調子は上向いているんじゃないかなと。実績ある舞台で、しかも鞍上がC.デムーロ。ここは買い材料が揃ったと思います。

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▲皐月賞優勝時のロゴタイプ、得意な中山で弾けるか!?


吉田 たしかにマイルCSでは、一応見せ場は作りましたもんね。状態はさらに上向いてきそう。マイルあたりがベストの印象ですが、皐月賞を勝った舞台なら悪くはないでしょうしね。

安里 僕は、金鯱賞組でちょっと足らない馬が、ここで狙いなんじゃないかなと思うんだよね。今年はオーシャンブルーだったし。ということで、同じ池江厩舎から出走プランのあるラブリーデイで!

休み明けでもうひと追いほしい状態だったアルゼンチン共和国杯が5着。次の金鯱賞は、4コーナーで早めに外から来られて動かざるをえない形になって、最後に甘くなって4着だったけど、もう重賞を勝てるところまできてると思う。右回りに実績がないのは単なる巡り合わせ。それよりも馬場かな。キンカメ産駒にしては重たい芝は苦手のようだから、馬場が悪くならなければだね。

赤見:金杯が当たると、気持ちの良いスタートを切れますよね。

吉田 そうそう。有馬と金杯は当てたいですね。

安里 この年末年始なんて、僕らは休みがないようなものだし(泣)、自分で正月出勤手当を稼がないとね。

赤見:今年は金杯が4日で、いつもより1日早いですもんね。トレセンのスケジュールはどう動くんですか?

吉田 金杯に出る馬とか遠征する馬は31日に追い切って、5日の競馬に出る馬は年明け2日に追い切るのが多いと思います。それで2日が出馬投票ですね。

竹村 会社のスケジュール的には、31日は全員出勤。元旦がかろうじて休みで、2日の朝から仕事ですね。なんだかんだ、元旦の夕方くらいから翌日が気になりだして、モヤモヤしてますよ(笑)。

2015年はこの馬に期待!!


赤見:最後に、2015年に飛躍を期待できる馬を教えてください。

竹村 僕はシェルズレイの仔のシャイニングレイ(牡2、栗東・高野友和厩舎)。新馬が逃げてっていうか、かぶせられながら2番手でいたんですけど、全然動じることなく行って、ラスト10秒台のラップを2つ刻んだんですよ。いや、あれはすごいなと。(※12月28日ホープフルS優勝)

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▲竹村記者推薦、シェルズレイの仔シャイニングレイ


安里 うまく折り合ってたし、しかも、ほとんど直線は追ってないからね。

竹村 そうなの。2つ上の姉がオーキッドレイなんだけど、男馬になったらこれだけ違うのか! っていうぐらい、馬が全然違うもんね。レースぶりもむちゃくちゃ迫力があった。レトロロック(牡2、栗東・角居勝彦厩舎)とかも注目してるけど、それよりも上かな。(※レトロロックは12月28日ホープフルS8着)

吉田 シャイニングレイの方が上だと思いますよ。パワーもあるし、いい馬ですよね。

安里 同じ高野厩舎のポルトドートウィユ(牡2)もクラシックには乗ってくる馬。ディープ産駒で祖母がエアグルーヴという超良血だからね。母のポルトフィーノは桜花賞で取消、エリザベス女王杯はスタートで躓いて落馬と、GIに縁がなかった…ってのが、またドラマだったりするし。

森岡 僕はレガッタ(牡2、栗東・昆貢厩舎)ですね。スイープトウショウの仔。シャイニングレイのデビュー戦と同じように、まともに追ったのがゴール直前だけでした。切れ味は非凡なものがあるし、大物を感じさせる内容だったんですよね。まあ、テンションが高い血筋なので、今後気性面は課題になりそうですが、順調にいけばクラシックを狙える素材でしょう!

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▲森岡記者推薦、スイープトウショウの仔レガッタ


吉田 あの血統なので、完成するまでもう少し様子を見たいっていう気はしますね。ちょっと腰も気になる。でも、これまでは虚弱的な感じだったのが、最近になってやっと並みのトモのふくらみになってきたなっていう感じはありますね。

森岡 そうなんですよね。あとは、竹村さんも触れてましたけど、サトノフラム(牡2、栗東・安田隆行厩舎)ですね。あの初戦は強かったですから。(※12月28日千両賞9着)

竹村 いちょうSの負け方は、ショックだったけどね…。

安里 あれは外枠も響いたでしょ。しかも初めての東京への輸送だったし。

竹村 あと、血統もちょっと気になるんだよね。父がマンハッタンカフェで、肌がブライアンズタイムでしょう? もしかしたら、本当の切れ味勝負になったときに、負けるところがあるのかなとは思ったんだけど。あの馬は? 池江厩舎のラヴィダフェリース(牡2)。当初は池江師絶賛だったけど、レースにいってあの味気なさっぷりが…。

安里 新馬の1週前の追い切りが抜群の動きだったのに、当週が全然動けなかった。そして競馬もさっぱり…。ソエなのかなと思って池江調教師にも聞いたんだけど、それはないって。それでもあの結果には、ちょっと首をかしげてた。

竹村 そうなんだ。パドックで見た時、クッションが固すぎず柔らかすぎずっていう絶妙な感じだなって思ったんだけど、返し馬を見たら意外と弾んでなかったんだよね。それでも勝つんだろうなって思ったけど、全然切れなかったからね。

吉田 僕はティルナノーグ(牡2、栗東・松永幹夫厩舎)にします。馬体とか、本当にいい馬ですよ。

竹村 京都2歳Sの敗戦は別としても、いい馬なのは間違いない!

吉田 ダノンメジャーも強いとずっと思ってたんですけど、京都2歳Sで一緒にパドック見たら、もう全然違うなと。なのにあの結果は、すごくショックでした。まあ、いずれはこなすであろう道悪も、初めてで戸惑ったのか、4コーナーで競馬をやめたみたいな感じになったので、ここは度外視しようかなって思っていますけどね。次のホープフルSで見極めたいです。(※12月28日ホープフルS10着)

赤見:わかりました。年末のGIから金杯まで、本当にたくさんのお話を聞かせていただきました。どうもありがとうございました!

竹村 えっ! もう終わっちゃうの!? アッという間だったなぁ。このメンバーで競馬の話をしたら、ホントに止まらないわ。やっぱり競馬っておもしろいですね!! (了)

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▲出演メンバー(左上)竹村浩行記者(右上)安里真一記者(左下)森岡健一郎記者(右下)吉田順一記者

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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