スマートフォン版へ

日本初!親子で3000勝達成☆偉大な父から受け継いだもの

  • 2015年01月06日(火) 18時00分
田中学騎手

田中学騎手



田中学騎手「近くに素晴らしいライバルがいるからこそ、もっと上手くなりたい! って思えるんだと思います」

 2014年は276勝を挙げ、見事全国リーディングに輝いた、兵庫の田中学騎手。1月3日園田第12レースで、今度は3000勝を達成しました!学騎手の父・田中道夫調教師は、騎手時代、兵庫で14年連続リーディングを獲り、通算3164勝を挙げた“園田の帝王”。親子で3000勝を達成したのは、日本初の快挙です!

赤見:まずは3000勝達成、おめでとうございます!

田中:ありがとうございます。嬉しいんですけど、実は全然気づいてなかったんですよ。勝った後に、周りが「おめでとう!おめでとう!」って言ってるんで、「何が?」と言う感じでした(笑)。もうね、年末のタケ(木村健騎手)とのリーディング争いで神経をすり減らしてたんでね、自分の記録のことは忘れてました。

赤見:木村騎手との兵庫リーディング争いは、そのまま全国リーディング争いとなっていましたね。3勝前後でずっと競ってましたから、プレッシャーも大きかったんじゃないですか?

田中:大きかったですね。全国リーディングが懸かってましたから、獲りたい気持ちも大きくて。周りの人たちもバックアップしてくれて、絶対に獲って恩返ししたいと思ってました。まぁでも同じ競馬場で戦ってるわけだから、1レース1レース直接対決でしょう。最後の3日間は、これまで経験したことがない緊張感でした。僅差で常に追いかけられるっていうのは、本当にしんどいものですね。

赤見:結果的には、田中騎手276勝、木村健騎手274勝。2勝差で見事初の全国リーディングに輝きましたね!

田中:本当に、周りの方々のお蔭です。一人では、こんなに勝つことは出来ませんから。改めて、たくさんの人に応援してもらってることを実感しましたね。リーディングが決まった時に、タケからも「おめでとう」って言ってもらいました。タケとは子供の頃から一緒に遊んで育って来て、ずっと仲間でいいライバルなんです。まさかこうやって2人で全国リーディングを争うようになるとは思わなかったですけど、近くに素晴らしいライバルがいるからこそ、もっと上手くなりたい! って思えるんだと思います。

田中学騎手3000勝セレモニー

3000勝を挙げた田中学騎手の隣でプラカードを持って祝福している“永遠のライバル”木村健騎手



赤見:お2人は、“静の田中”“動の木村”と言われ、何かと比較されることも多いと思いますが。

田中:そうですね。乗り方もタイプも全然違いますよね。アイツみたいにガンガン追っていくような乗り方は僕には出来ないし、いいレースを見せられると「お前、すげーな」って正直に言います。アイツも僕のことを認めてくれているし、(小牧)太さんや(岩田)康誠が抜けて、「園田もしょぼくなったな」って言われないように、タケと一緒に盛り上げて行きたいと思ってます。それに、55歳の川原(正一)さんも元気ですしね。本当にあの人は一番元気なんじゃないですか(笑)。若手も育ってきているし、こうやって僕が全国リーディングを獲ったことで、園田のジョッキーが注目されたら嬉しいです。

赤見:続いては、偉大なお父様のお話を伺いたいんですけれども、学騎手の勝負服は、もともとは道夫調教師が騎手時代に使用していたデザインなんですね。

田中:そうなんですよ。父が騎手を引退する時に「継ぐか?」って言ってくれたので、素直に嬉しかったんですけど。でも実際に継いだら、「バカ息子にはもったいない」って、周りからかなり批判されて…。継いでみて初めて、この勝負服の重みを知りました。

赤見:バカ息子って…。

父・田中道夫調教師

父・田中道夫調教師



田中:昔はね、違う方向に神経が行ってましたから(笑)。本当にバカ息子でした。勝負服もそうですし、とにかく「父親の七光り」って言われ続けましたね。そこから、関係者のみなさんや、たくさんの馬たちに出会って、変わらなければいけないと思いました。最近は、「父親を超えた」って言ってくれる方もいるんですけど、正直まだまだです。勝って検量前に戻って来ても、親父から「下手くそ!」ってしょっちゅう怒られますし。周りは、「勝ったのに何で怒られてるん?」って不思議そうな顔してますけど、自分でも言われて納得というか、言い返せないですね。

赤見:偉大なお父様、先月のゴールデンジョッキーカップでは、久しぶりの勝負服姿で誘導馬に騎乗して、多いに盛り上げてくれましたね!

田中:なんだか、こっちが恥ずかしくなりました(笑)。誘導馬のお話が来た時、絶対に断ると思ってたんですけど、嬉しそうでしたね。親父もそうだし、寺嶋(正勝)先生と平松(徳彦)先生も、中央地方のトップジョッキーが勢ぞろいした中で、一番声援を浴びてました。改めて、すごい人たちなんだなって思ったし、オールドファンがまだまだたくさんいてくれることを感じて、すごく嬉しかったです。

左から寺嶋正勝調教師、平松徳彦調教師、田中道夫調教師

勝負服姿で誘導馬に騎乗した寺嶋正勝調教師(左)、平松徳彦調教師(中)、田中道夫調教師(右)



赤見:では、2015年の目標を教えて下さい。

田中:今年はとにかく、親父の記録(3164勝)を超えることです。他には何一つ超えていないので、勝利数だけは抜きたいなと。僕もここ何年かでリーディングを獲らせてもらいましたけど、それを14年続けた人ですから。1回獲るだけでも大変なのに、並大抵の精神力ではないなと思います。昔から尊敬していましたけど、リーディングを獲るようになって、余計思うようになりました。これからもずっと、親父の背中を追いかけていきたいです。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング