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優秀女性騎手賞獲得!努力が実った岩永千明騎手

  • 2015年02月03日(火) 18時00分
岩永千明騎手

岩永千明騎手



岩永千明騎手「たくさんのファンの方が佐賀競馬に注目してくれるよう、これからも精いっぱい頑張ります!」



 昨年は自身初の年間50勝を超え、NARグランプリ優秀女性騎手賞を獲得した、佐賀の岩永千明騎手。もともと荒尾競馬場でデビューし、ここまでの騎手人生は決して平たんではありませんでした。デビューから11年。女性騎手の中では一番のベテランとなった今、さらに輝きを増しています。

赤見:まずは、優秀女性騎手賞おめでとうございます。意外にも初受賞なんですね。

岩永:そうなんですよ。ずっと目標にしていたので、本当に嬉しいです。去年は、年間50勝、通算300勝達成、優秀女性騎手賞という3つを目標にしていて。3つとも全部叶えることが出来て、すごく嬉しいです!

赤見:本当に大活躍でした!でも、去年の初めにインタビューした時は、騎手を辞めるか悩んだって仰ってましたね。

岩永:あの頃はすごく悩んでましたね。荒尾から一緒に移籍してきた幣旗吉昭先生が引退することになって、そのことが大きかったです。もともと荒尾の時には、吉昭先生のお兄さんである吉治先生の厩舎所属だったんです。荒尾時代はたくさん乗せてもらって、たくさん勝たせていただきました。勝負には厳しかったけど、すごく優しい先生で。幣旗厩舎所属だったということが大きかったので、荒尾の廃止で吉治先生が引退する時にも悩んだんですよ。でも、吉昭先生が所属にしてくれて、一緒に佐賀に行けることになって。本当に有難かったです。その吉昭先生が引退するということで、所属にしてくれる厩舎を探したんですけど、なかなかいなくて…。このままでは、騎手を続けられなくなると思いました。

赤見:地方競馬は基本的に所属厩舎がないと続けられないですもんね。

岩永:そうなんです。でも結果的に山下定文先生が拾ってくれて、騎手を続けられることになりました。山下先生は元乗り役ですし、レースのこともいろいろ指導してくれて、本当に感謝しています。その恩返しというか、とにかく頑張らなくちゃいけないなと思いました。

昨年は大活躍だった岩永千明騎手

昨年は大活躍だった岩永千明騎手



赤見:その言葉通り、去年の大活躍ですね!さらに去年は、イギリスとアブダビでも騎乗という、ものすごい経験をしましたね。

岩永:本当にもう、夢みたいでした。世界のレディースジョッキーが集まってシリーズで戦っていたんですけど、まず(別府)真衣ちゃんがドイツに呼ばれて、すごいな〜って思っていたんです。そうしたら自分にも声が掛かって、すごくびっくりしました。知らせが来たのがレースの2週間くらい前だったので、もうテンヤワンヤで(笑)。実は、パスポートの期限がギリギリだったんですよ!海外に行くのは韓国(2009年KRA国際女性騎手招待競走)以来だったんですけどね、あの時パスポートを取る時に、5年にするか10年にするか迷ったんですけど、10年もしたら結婚して名前が変わるだろうと思って5年にしたんです(笑)。パスポートのせいで、危うく行けないところでした。

赤見:競馬場はどうでしたか?

岩永:ニューベリー競馬場は、何もない“山”って感じでした。草原というか、なんていうんですかね、本当に何もなかったです(笑)。自然のままというか、日本のように平坦に整備されたコースではなくて、かなり起伏が激しくて。レース前に他の女性騎手たちと馬場を歩いたんですけど、すごくタフな馬場でした。アブダビは最終戦だったので、とにかく華やかな雰囲気でしたね。みなさんけっこういい体格していて、負担重量が60キロくらいだったので、かなり重くて。10キロ以上の鉛を鞍に入れたので、道具がとにかく重かったです。レースはよくわからないうちに終わってしまって、結果を出すことが出来なかったんですけど…。悔しい気持ちも大きいけど、実際に体験出来たことは幸せでした。

赤見:海外の女性騎手はいかがでした?

岩永:みなさん、遠征慣れしていました。堂々としているし、英語もペラペラなので。わたしは何が何だかわからないことが多かったです。イギリスの時に、ゲートに癖のある馬に騎乗したんですけど、ゲート裏で輪乗りをしている時に、発走委員の人にすごくキレられて…。何を言われてるかよくわからなかったんですけど、どうやら、「馬から下りて、馬だけ先にゲートに入れてから騎乗しなさい」って言ってたみたいで。でも、日本ではゲート裏で馬から下りるっていうのは大変なことじゃないですか。取り消しする時に、場内アナウンスがあってからじゃないと下馬出来ないでしょう。そういうルールの違いにもびっくりしましたね。

ニューベリー競馬場にて

ニューベリー競馬場にて



赤見:海外遠征も経験して、3つの目標も達成。昨年は大きな転機だったんじゃないですか。

岩永:そうですね。荒尾がなくなってしまった時には本当に辛かったですけど、佐賀に移籍出来て4年、やっといいリズムになったのかなと思います。今年に入ってからはちょっと2着が多いんですけど…。去年を超えるくらい勝ちたいですね。

赤見:2月5日には、NARグランプリの表彰式もありますね。

岩永:そうなんですよ!何を着たらいいのか…どうしよう。人前で話すのはすごく緊張するので不安なんですけど。でも初めて表彰式に行けるので、楽しみにしています。それに、来週10日には佐賀記念があって、セイリオスに騎乗する予定です。たくさんのファンの方が佐賀競馬に注目してくれるよう、これからも精いっぱい頑張ります!

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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