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今週末より本格的に始動する北米古馬ダート中距離戦線

  • 2015年02月04日(水) 12時00分


まず実現するのが「カリフォルニアクロームvsシェアドビリーフ」

 今週土曜日(2月7日)に、東海岸のフロリダ州ガルフストリームパークでG1ドンH(d9F)が、西海岸のカリフォルニア州サンタアニタでG2サンアントニオS(d9F)が行なわれ、2015年の北米古馬ダート中距離戦線が本格的に始動する。

 北米のこの路線は現在、東海岸よりも西海岸の方が質量ともに充実しており、今週末のカードも、格付けがG1のドンHよりは、G2のサンアントニオSの方が、好メンバーが集まることが予測されている。

 そのサンアントニオSで実現するのが、「カリフォルニアクロームvsシェアドビリーフ、2015年第1ラウンド」だ。

 当初ここに、昨年のG1BCクラシック勝ち馬バイエルン(牡4、父オフリーワイルド)も加わる予定で、年が明けて5週間足らずでいきなり最強馬決定戦が実現かと言われていたのだが、1月2週目に入ってバイエルン陣営が、蹄に膿腫を発症したことを公表。患部を保護するためのバーシューズを着用して運動は続けていたものの、3週間ほどダクのみの調整となったことで、残念ながらサンアントニオSは回避することになった。

 BCチャンピオンの回避は残念だが、しかし、14年の全米年度代表馬と13年の全米2歳チャンピオンは出走の構えを見せており、これだけでもファン必見のカードであることは間違いない。

 ベルモントSで4着に敗れて3冠を逃した後、G2ペンシルヴェニアダービー6着、G1BCクラシック3着と3連敗を喫したカリフォルニアクローム(牡4、父ラッキープルピット)。BCから4週後に、14年からデルマーが舞台となったG1ハリウッドダービー(芝10F)に出走し、初めての芝を克服して快勝。多彩なライバルがいた年度代表馬争いで、同馬が受賞出来たのは、この勝利が決定打になったと見る関係者は多い。

 今季初戦はここと早くから目標を定め、前走から4週間後の12月27日から拠点としているロスアラミトス競馬場で時計を出し始め、1月25日には8Fから追われて1分41秒40を計時。更に2月1日にも5F=1分01秒60、最後の1F=11秒80というシャープな動きを披露し、臨戦態勢を整えている。

 一方、13年に3戦3勝の成績で2歳王者となったシェアドビリーフ(セン4、父キャンディライド)。蹄の故障で3冠戦線は棒に振ったものの、復帰すると再び連勝街道を歩み始め、G1パシフィッククラシックとG1オウサムアゲインSでは古馬勢も撃破。ところが1番人気で出走したBCクラシックで、発馬直後に隣の枠から出たバイエルンに体当たりされるという致命的な不利があり、4着となって生涯初の敗戦を経験した。同馬はBCから8週間後の12月26日にサンタアニタで行われたG1マリブS(d7F)に出走し、見事に勝利してこの年3つめのG1を手にしたが、年度代表馬争いでは残念ながら、ファイナリストにも名を連ねることが出来なかった。

 前走の10日後には拠点としているゴールデンゲートで早くも4Fから追われたシェアドビリーフは、その後、徐々に距離を伸ばしつつ週一回のペースで追い切りを重ね、1月28日には6F=1分11秒80の好時計をマーク。こちらも万全の調整を見せている。

 週初めの段階で、サンアントニオSは8頭前後が出走してくる予定。

 昨年11月28日にチャーチルダウンズで行われたG1クラークH(d9F)勝ち馬で、今季初戦となった1月10日のG2サンパスカルS(d8.5F)も快勝したホッパーチュニティ(牡4、父エニーギヴンサタデー)は、当初は相手関係を見ながらドンHと両睨みと言われていたが、管理するB・バファート師が30日に「サンアントニオに行く」と言明。

 また、昨年春のG2チャールズタウンクラシック(d9F)勝ち馬で、前走は日本へ遠征しG1チャンピオンズC(d1800m)に出走した(15着)インペラティヴ(セン5、父バーナーディニ)も、管理するパパプロドロムー師が、出否は当該週の動きを見て決めるとしながらも、参戦の可能性を示唆している。

 一方、ガルフストリームパークのG1ドンHで1番人気が予想されるのが、トラックレコードで快勝した昨年に続くこのレース連覇を狙うリー(牡6、父ファーストサムライ)だ。昨年4月に熱発し、その後なかなか体調が戻らずに戦線復帰が遅れていたが、1月10日にガルフストリームで行われたG3ハルズホープS(d8F)で11か月振りにカムバック。久々の影響からか序盤は動きが鈍かったが、直線で外に持ち出すとさすがの末脚を見せて勝利を手にしている。

 この他、昨年のG1ベルモントS2着馬コミッショナー(牡4、父エーピーインディ)、重賞4勝馬で、G1ウッドウォードS3着などG1入着実績もあるプレイヤーフォーリリーフ(牡7、父ジャンプスタート)、昨秋のG2インディアナダービー(d8.5F)勝ち馬イーストホール(セン4、父グレイムホール)、昨春のG1フロリダダービー(d9F)勝ち馬コンスティテューション(牡4、父タピット)らが、それぞれ管理調教師たちがドンH出走を示唆している馬たちだ。

 北米古馬ダート州距離路線は今後、3月7日にサンタアニタで行われるG1サンタアニタH(d10F)、6月6日にベルモントパークで行われるG1メトロポリタンH(d8F)、6月中旬(開催日未発表)にチャーチルダウンズで行われるG1スティーヴンフォスターS、6月下旬(開催日未発表)にサンタアニタで行われるG1ゴールドC@サンタアニタ(d10F)と、節目となる戦いが待ち受けている。

 今週末の2重賞は、今季の北米ダート戦線を占う意味で見逃せないし、また、カリフォルニアクロームを筆頭に、結果次第ではこのあとは「ドバイ」という馬も何頭かいるだけに、日本の競馬ファンにとっても注目する必要のある戦いと言えそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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