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驚異の勝率39%!名古屋・川西毅調教師の決意

  • 2015年02月17日(火) 18時00分
川西毅調教師

川西毅調教師



川西毅調教師「勝負して勝つ、そして馬主さんと一緒に喜べる時が一番の至福の時ですね」

 NARグランプリ2014において、最優秀勝率調教師賞に輝いた、名古屋の川西毅調教師。2014年の勝率は39.0%で、さらに連対率は55.8%という驚異的な数字を残しました。これだけの成績を挙げられる秘訣は、一体どこにあるのでしょうか。

赤見:最優秀勝率調教師賞受賞おめでとうございます。表彰式では「満足していない」と仰っていましたが、その真意というのは?

川西:やっぱりね、去年は出走回数が少なすぎたんですよ。馬主さんに大変迷惑を掛けてしまったと思っています。勝ち星は142勝で勝率39%でしょ。せめて150勝して同じくらいの勝率を挙げたかったんです。

赤見:でもこれだけの勝率を保つというのは、大変なことだったんじゃないですか?

川西:それはもう、本当に馬主さんのお蔭ですよ。無理して使わなくていいって言ってくれる方が多いので、馬の状態を見極めて出走させることが出来るんです。名古屋の場合は賞金が安いから、出走しないとただただマイナスでしょう。どうしても使え使えって言う風潮になりがちな中で、こうやって理解していただけるのは本当にありがたいですよ。
川西毅調教師

川西毅調教師(写真は名古屋競馬場マラソン大会参加時のもの)


 馬っていうのは生き物ですから、1年を通してずっと体調がいいというわけにはいきません。ちょっと体調が下がっている時、休ませられるか休ませられないかで、その後が大きく変わって来るんです。体調が良くない時に使ってしまったら、もうどんどんどんどん負の連鎖ですよ。一度走らなくなったら、そこから立て直すのは本当に難しい…。たった1回使うか使わないかで、大きく変わって来ると思うんです。

赤見:理解してくれる馬主さんたちも、川西厩舎だから、というのが大きいんじゃないですか。

川西:この賞金の安い中で、使うのを我慢してもらうわけですから、使った時には絶対に結果を出さなければいけないと思っています。そうじゃなければ、みなさん離れていきますしね。中にはもっと出走させたいということで、離れて行かれた方もいます。そういう意味でも、今お付き合いをしていただいている馬主さんたちは、僕の考えを理解して応援して下さる方ばかりなんです。本当にもう、感謝しかないです。だってね、賞金を見たら、南関東や園田へ持って行きたいと思いますよ。その中で名古屋に預けてくれるというのは、純粋に勝ち負けを楽しんでらっしゃる方なんです。勝負して勝つ、そして馬主さんと一緒に喜べる時が、一番の至福の時ですね。

赤見:それでは、具体的な馬たちのお話をお聞きします。まずは先週の土曜日にクイーンカップに遠征したジュエルクイーンですけれども、初めての芝で16着という結果でした。

川西:今回は輸送に失敗してしまいました。輸送というか、東京競馬場に着いてから、一気に体が減ってしまったんです。大井の時(東京2歳優駿牝馬5着)はそんなことはなかったんですけど、今回はパドックでも入れ込んでいました。まぁ今回のメンバーは相当強いですから、レースぶりがどうこうというより、素直に上には上がいるんだと思っています。それでも、馬にとってはいい経験が出来たと思いますし、これを糧にもっと成長して欲しいですね。

ジュエルクイーン

ジュエルクイーン



赤見:今後の予定というのは?

川西:まずはゆっくり休ませて疲れを取ります。そこから、大井の東京プリンセス賞を目指したいですね。東京2歳優駿牝馬の時には内回りだったので、東京プリンセス賞の1800mの方が合うと思うんです。全国交流戦でも十分戦える馬なので、体調を万全にして挑みたいです。

赤見:4歳以上最優秀牝馬に輝いたピッチシフターはいかがですか?

川西:今は岩手の遠野にある、グランド牧場(遠野ステーブル)さんへ放牧に出ています。帰厩は3月頃で、東海桜花賞から始動したいと考えています。去年はJBCの頃に体調が下降気味になってしまったので、今年はJBCで最高のパフォーマンスが出来るようにしたいですね。やっぱり地方の人間としては、JBCが最大の目標ですから。現時点では、今年1年で現役生活は最後と考えているので、今年はぜひともダートグレードのタイトルが獲りたいです。

ピッチシフター

ピッチシフター



赤見:表彰式のインタビューでも、「来年は年度代表馬の調教師としてここに来たい」と仰っていました。年度代表馬を狙うとしたら、やはりこの馬ですよね。

川西:そうですね。ピッチで獲りたいですね。本当に長い間よく頑張ってくれているので、ダートグレードの看板をどうしても獲らせてあげたいです。今年からダートグレードの出走馬の選定ルールが変わったでしょう?それで、活きのいい中央馬たちも出走出来るようになって、ダートグレードのレベルがさらに高くなって来ると思うんです。その中で戦って勝つというのは大変だけど、その分やりがいがありますよね。

 ただね、今年は全然勝てなくて…。馬やスタッフは全く悪くないんですけど、僕の目が狂っているんです。同じ馬を見るのも、見方、捉え方が違うと全然違って来るので。ちょっと頭が固くなっているので柔らかくしないと。このままじゃダメだし、今年正念場なので、大きな夢を掲げて頑張ります。目標は、ダートグレード制覇、年間重賞10勝、収得賞金1億円。この3つを達成出来るよう努力します!

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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