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いよいよ近づいてきたばんえい記念

  • 2015年03月14日(土) 12時00分


ばんえい記念とグランドナショナル

 先々週にも書いたとおり、いよいよ今年のばんえい記念が近づいてきました。週明け17日には出走予定馬が発表され、19日は帯広で「前夜祭」を開催。そして22日の本番を迎えます。

 それを前に、楽天競馬とオッズパークではばんえい競馬応援キャンペーンを実施中。私もコラムを寄稿したり動画に出演したりしていますので、そちらもぜひご覧ください。

 そのコラムの中に、ばんえい記念をグランドナショナルにたとえて書いたものがあります。距離約7200メートル、障害数30。ビーチャーズブルックやキャナルターン、ザチェアといった名物障害の規模も含め、何から何までが飛び抜けている、世界最大級の障害戦です。

 グランドナショナルが始まったのは1839年(起源となるレースは1836年)。今から2世紀前、19世紀の前半のことです。ご存知の方も多いと思いますが、この19世紀という時代、イギリスでは今につながるいろいろなスポーツイベントが創設されました。それらをザッと並べてみましょう。

◎サッカー=ジ・FAカップ(世界最初のサッカートーナメント。1871年)
◎ラグビー=ホームネイションズチャンピオンシップ(6カ国対抗の前身となるもの。1883年)
◎ゴルフ=ジ・オープンチャンピオンシップ(全英オープン。1860年)
◎テニス=ザ・ローンテニスチャンピオンシップオングラス(現ザ・チャンピオンシップ=ウインブルドン。1877年)
◎バドミントン=ジ・オールイングランドオープンバドミントンチャンピオンシップ=全英選手権。1899年)
◎レガッタ=ザ・ボートレース(ケンブリッジ大学・オックスフォード大学対抗漕艇戦。1829年)
◎クリケット=ザ・カウンティチャンピオンシップ(イングランド発祥のスポーツ、クリケットの全英選手権。1890年)

 これらに共通するのは、それぞれのスポーツの“原型”は世界各地にあったものの、今につながる基本的なルールの制定やそれに則っての試合開催、競技統括団体の発足はイギリスで始まったということ(テニスはちょっと違いますが)。大ざっぱに言えば、世界各地の植民地支配や、産業革命による労働者階級の急増と都市部への人口集中など、大衆娯楽としてのスポーツを発展させるための環境がイギリスに整っていたため、そういう歴史が作られたものと考えられます。

 そういう意味では、他の競技に先駆けて18世紀に一足早く“体制”を整えた競馬は、数多くの近代スポーツの“原点”と言ってもいいでしょう。

 ばんえい記念をグランドナショナルにたとえたところから、こんなに話がふくらんでしまいました。それにしても、当時のイギリスにはルールやシステム作りを得意とする人が大勢いたようですね。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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