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門別競馬場、内回りコース新設

  • 2015年03月18日(水) 18時00分
門別競馬場

来月よりいよいよホッカイドウ競馬が開幕(写真は昨秋の工事時のもの、提供:北海道軽種馬振興公社)


競馬の基本距離のひとつである1600mのレースが実施できるのは大きな強み

 来月末から今年度のホッカイドウ競馬がいよいよ開幕する。それに先立ち、3月19日には、2歳馬による能力検定もスタートすることになっており、開幕に向けて一気に動きが慌ただしくなってきた。

 今年のホッカイドウ競馬の大きな変化は、何といっても、内回りコースが新設されたことだろう。従来、一周1600mのコース一本しかなかったため、距離のバリエーションが少なく、ややワンパターンになりがちだったのが、内回りコースが新たにできたことによって、1500m、1600mのレースを組めるようになった。競馬の基本距離のひとつである1600mのレースが実施できるのは大きな強みで、今後のさらなる発展に大きく寄与することになるだろう。

 2月13日現在で、門別競馬場には530頭の2歳馬が入厩しており、その後、頭数は微減しているものの、3月16日現在でも518頭を数える。

 このうち、仕上がりの早い組から能力検定に出走する予定で、第1回目の能検には、計66頭がエントリーしている。昨年よりやや頭数が少ないものの、以後、毎週木曜日に続々と新たな2歳馬が登場し、能力検定を受けることになっている。

 初回の能力検定は12レース。距離は800m。基準タイムは57秒である。これをクリアすると、晴れて出走できるようになる。

 仕上がり早い2歳馬たちの当面の目標は、開幕日に予定されている「スーパーフレッシュチャレンジ」競走であろう。今年のJRA認定競走は、昨年同様の年間118競走が予定されているが、1着賞金80万円〜は200万円と幅広い。上級認定競走で200万円(14競走)、フレッシュチャレンジで150万円(60競走)、アタックチャレンジで80万円(35競走)という内訳だが、全国のトップを切って実施される「スーパーフレッシュチャレンジ」競走には300万円の重賞競走並みの賞金が交付されることから、ここを目標にする陣営も少なくない。世代第一号の勝馬となるこのレースは注目度が高く、今年もどんな2歳馬が登場するが大きな楽しみである。

 ただ、気になるのは、今年、大井競馬の新馬戦が昨年よりも早い時期より始まること。その影響がどの程度のものかは分からないが、これまでにも門別競馬場に入厩している2歳馬が春になってから道営デビューせずに、移動してしまうケースが散見された。見込みのありそうな素材ならば、より賞金の高い南関、とりわけ大井で使いたくなるのが馬主の心理であり、それでなくとも、従来ホッカイドウ競馬がシーズンオフを迎える11月になれば、多くの馬が他地区へ移籍するケースが少なくなかった。

 主催者のみならず、厩舎関係者も、ホッカイドウ競馬の「売り」である2歳馬の層の厚さを維持しつつシーズンを乗り切りたいところだが、それには、さまざまな制約があり、簡単ではない。悩ましいところだ。

門別競馬場

内回りコースが新設される門別競馬場(写真は昨秋の工事時のもの、提供:北海道軽種馬振興公社)



 しかし、主催者は決して手をこまねいているわけではなく、例えば、今年は2歳馬の出走手当を昨年よりも1万5000円増額し、8万円とした。在厩している2歳馬の出走を促し、頭数を確保するための措置であり、これがどの程度の効果を上げるかが興味深いところ。1出走につき8万円ならば、月に2度の出走で預託料のかなりの部分を賄えることになり、馬主の負担は大幅に軽減される。

 2歳馬のみならず、3歳以上の古馬についても、9月以降の出走手当が5万円から6万円に増額される。シーズンオフを見越して、この時期から古馬の転出が目立つようになるため、それを少しでも抑えようとの措置である。

 いずれにしても、開幕に向け、何より課題になるのが、「出走馬確保」だ。昨年、馬券売り上げが好調に推移したとはいえ、いきなりの大幅な賞金増額は難しく、今年もまた500頭を数える2歳馬に対して、3歳以上の古馬は、現在260頭程度。うち3歳馬は87頭である。だが、他の主催者と同様に、ホッカイドウ競馬もまた3歳路線における「北海優駿」を頂点とした三冠体系が完備しており、これら87頭の中からチャンピオンが決定することになる。今後、開幕に合わせ、各地に遠征していた元道営馬がどれだけ帰ってきてくれるかによっても、出走頭数に影響が出てくるはずだ。

 開幕日は4月22日(木)。11月11日(木)までの20開催、80日間の日程である。あと1か月。今年はさらに売り上げを増やして道営復活の軌道に乗せられるかどうか、勝負の年になる。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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