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フォーエバーマークの全弟インジャスティス

  • 2015年04月08日(水) 12時00分
【2歳】
インジャスティス(牡 美浦・藤沢和雄 父ファルブラヴ、母リトミックダンス)
 キーンランドC(GIII)を勝ったフォーエバーマークの全弟。母リトミックダンスは現役時代1勝に終わったものの、4分の3きょうだいにスティンガー(98年阪神3歳牝馬S-GIなど重賞5勝)、サイレントハピネス(95年ローズS-GII、95年4歳牝馬特別-GII)、アーバニティ(09年オーシャンS-GIII)などがいる良血で、繁殖牝馬として結果を出した。同じファルブラヴ産駒でフェアリーS(GIII)を勝ったダンスファンタジアは母がダンスインザムード。本馬の母の父はダンスインザムードの全兄ダンスインザダークなので、両者の配合構成はよく似ている。ファルブラヴ産駒は牝馬が走る血統だけに、牡に出た本馬がどれだけやれるか懸念はあるが、配合的には優れているので姉同様の活躍を期待したい。

ジュンレンパ(牡 栗東・森秀行 父ワークフォース、母アイアイボタン)
 父ワークフォースはイギリス産馬。現役時代に英ダービー(英G1)、凱旋門賞(仏G1)などを制した。前者は後続を7馬身ちぎるレコード圧勝、後者はナカヤマフェスタを一騎打ちの末にアタマ差くだしている。父系はキングズベストを経てKingmamboにさかのぼる系統で、母の父Sadler's Wells、2代母の父Allegedという典型的な欧州芝2400m血統。12年から社台スタリオンステーションで種牡馬となり、今年の2歳世代が初年度産駒となる。初年度の血統登録頭数は125頭。そのなかで本馬はトップを切って馬名登録された。母アイアイボタンはアルアラン(02年ブリーダーズゴールドC-GII、02年オグリキャップ記念-GII)の半妹で、母の父はダービー馬アドマイヤベガ。父ワークフォースは日本向きの素軽さにやや欠ける血統なので、柔らかなスピードを入れることが絶対条件。したがって、サンデーサイレンスの血はほぼ必須と考えていいだろう。母の父はサンデー系で、2代母はNasrullah 4・5×4の本馬は悪くない。芝・ダート兼用の中長距離タイプだろう。

ナムラマロン(牝 栗東・目野哲也 父クロフネ、母ナムラローマン)
 母ナムラローマンは未勝利馬だが、ファンタジーS(GIII)で3着と健闘したリヴァプールの全姉にあたる。2代母マークプロミスは報知杯4歳牝馬特別(GII)4着馬。アグネスレディー〜アグネスフローラ〜アグネスフライト&アグネスタキオンと3代連続G1馬を誕生させた名門イコマエイカン系に属している。母方にサンデーサイレンスとテスコボーイを併せ持つクロフネ産駒は、トウショウカズン、ブラックランナー、ラインストーム、プラントハンターなどコンスタントに走っている。芝・ダート兼用のマイラー。

レッドアルソード(牡 美浦・藤沢和雄 父ステイゴールド、母フェアリーバラード)
 グラッツィア(父キングカメハメハ/13年川崎記念-Jpn1・3着)、スーパームーン(父ブライアンズタイム/14年アルゼンチン共和国杯-GII・3着)の半弟。母フェアリーバラードは未勝利馬だが、芝長距離で活躍したミレニアムウイングの全姉で、ダートグレード競走を2勝したレディバラード(ダノンバラードの母)の半妹でもある。2代母Angelic SongはGlorious Song、Devil's Bag、Saint Balladoなどの全きょうだいにあたる超良血馬。Angelic Songとその全きょうだい血はサンデー系と相性がいい。「ステイゴールド×Sadler's Wells」は長距離で実績を残したジャミール(10年ステイヤーズS-GII・2着、10年アルゼンチン共和国杯-GII・2着、10年阪神大賞典-GII・2着)と同じ。洋芝の北海道シリーズ、時計の掛かる中京、小回りの中山などが合っている。短距離戦よりも距離が延びて良さが出てくるタイプだ。

【3歳】
ドリームキラリ(牡 栗東・矢作芳人 父Giant's Causeway、母Truant)
 父Giant's Causewayは現役時代、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝して「鉄の馬」の異名を取った。Storm Catの代表的な後継種牡馬で、米リーディングサイアーの座には09、10、12年の計3回輝いている。ダートだけでなく芝に対応する能力もあり、ヨーロッパでの実績も華々しい。日本ではエイシンアポロン(11年マイルCS-GI)、スズカコーズウェイ(09年京王杯SC-GII)、エーシンジーライン(12年小倉大賞典-GIII)が重賞を勝った。母Truantは不出走馬だが、ヘクタープロテクター(91年仏2000ギニー-G1などG1を5勝)、Bosra Sham(96年英1000ギニー-英G1などG1を3勝)、シャンハイ(92年仏2000ギニー-仏G1)の4分の3妹にあたる超良血。本馬は仕上がりが遅れ、3歳春にようやく馬名登録されたが、「Giant's Causeway×Gone West」の組み合わせは日本でデビューした4頭がすべて勝ち上がっているので期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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