前回の桜花賞座談会では、ルージュバックが馬群で包まれスムーズな競馬ができない危険性を指摘。さらに安里記者が、2着に食い込んだ伏兵クルミナルの好走を言い当てました。さて、今回は皐月賞座談会。弥生賞を勝ったサトノクラウン、スプリングSを勝ったキタサンブラックが無敗で駒を進め、2歳王者のダノンプラチナ、評判の高いリアルスティールやドゥラメンテなど、好メンバーが集結。人気馬たちの評価は？　皐月賞が買い時の馬、ここは敬遠して先々のGIで狙いたい馬など、必見の内容でお届けします。

(出演メンバー：栗東から竹村浩行記者、安里真一記者、美浦から加藤剛史記者、澤田裕貴記者、司会：赤見千尋)

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強いけども“超大物”という感じはない

赤見　今年の皐月賞は賞金のボーダーラインが高いですよね。ハイレベルと言っていいんでしょうか？

加藤　すごくハイレベルだと思いますよ。去年とはレベルが違いますね。

安里　ハイレベルなんだけども、結局、その中でも抜けた馬がいないからボーダーが高くなってる。もう1回やったら違う馬が勝つって感じで、そうやってどんどんみんなが賞金加算していってるんですよね。

赤見　なるほど。すごく分かりやすいご意見。上位人気になりそうな馬たちも、拮抗してる感じですか？

安里　1番人気はリアルスティール(栗東・矢作芳人厩舎)、サトノクラウン(美浦・堀宣行厩舎)、どっちだろうな？

竹村　最終的にはサトノクラウン、関東馬が売れるんじゃない？

加藤　サトノ、リアルの、ドゥラメンテ(美浦・堀宣行厩舎)か。

安里　だったら、ドゥラメンテから買ってみる手もあるね。

澤田　でも、結構売れますよ。うま味あんまりない。

赤見　ちょ、ちょっと待ってください。ダノンプラチナ(美浦・国枝栄厩舎)は？　GI馬ですよ!?

竹村　ダノンは、ここは厳しいでしょう。

赤見　えっ??

安里　マイルじゃないの？

澤田　そうそう。マイラーですよね。

加藤　この後、NHKマイルで勝ちますよ(笑)。


赤見　えっ、あっ、皆さん同じ意見。

加藤　前走のスプリングSは、坂下までは完璧なレース運び。そこから伸び切れずに敗れたわけですから。久々で先を見据えた仕上がりだったとはいえ、中山2000mでは厳しいかなという内容。

安里　この前のでガス抜きして、どこまで上積みがあるかなって感じでは。

赤見　じゃあ3強で挙げるとしたらサトノクラウン、リアルスティール、ドゥラメンテに。

安里　うん。分かりやすいな、今年の皐月賞は(笑)。

澤田　簡単に馬券が取れちゃう(笑)。

竹村　いやいや、枠もあるし、ジョッキーの立ち回りも問われるコースだから。

赤見　ドゥラメンテはM.デムーロ騎手？

安里　やっぱり乗り変わってしまったか。前回の共同通信杯(2着)は前半のロスが響いたね。それでも強気に行って…、条件戦のようにはいかなかったね。

【共同通信杯　着順】

竹村　そやなぁ。気持ちが先走ってたんだろうね。

加藤　人気馬に乗ると、やっぱりああなっちゃうんですね。

澤田　みんなが心配したようになっちゃいましたね。ああやって若手のチャンスが減っていっちゃうんですよね。あそこで勝ってたら違ったんでしょうけど。

安里　みんな、あれを経験してまた成長していくわけだから。ジョッキーとしてはまだ若いし、特に関東はこれからどんどん若手にチャンスが出てくるだろうから。

加藤　使い方もちぐはぐだったんですよね。あそこを使わざるを得ない理由があったんだと思うんです。個人的には、本当は皐月賞も使ってほしくないんですけど…。

澤田　賞金ギリギリだったし、むしろ使えないぐらいでもよかった。

加藤　そう。使えないぐらいでよかった。それで青葉賞行けば、ダービー勝てるんですよ。


赤見　ダービーを勝てる!?

加藤　うん。今年のダービーはドゥラメンテが勝つはずなので！　それにデムーロジョッキーって、今年の中山でリズムが悪い…。

安里　みんな求めるものが高くなるからね。一発はあるけど、通年で乗るようになったらどうかなっていうのはある。結構メンタルで波があるタイプだから。逆にルメールジョッキーは、通年だったらリーディング獲るでしょう。

竹村　そつがないもんなぁ。

赤見　ルメール騎手はサトノクラウンに騎乗ですから、ドゥラメンテとは同厩にして最大のライバルになりますね。

安里　サトノクラウンは、競馬だけ見たらケチのつけようがないね。

加藤　広い東京向きの切れものという印象で、中山コースが不安だったんですけれど、好位置を取りに行って操縦性の良さで一気に抜けてしまった。恐れ入る勝ちっぷりだったと思います。


【弥生賞　着順】

竹村　走りが前向きだもん。勝負所でもさ、福永ジョッキーがちょっと仕掛けたら、スーッと加速して行ったもんね。

澤田　そうそう。すごく反応がいいですよね。

竹村　東スポ杯ではゲート内で悪さしてたけど、レースに行ったらきっちり走った。いいとこに付けられるし。馬群も難なく割れる。「それは勝つわ」って感じ。気性的にちょっと怖い部分もあるけど、レースぶりは安定してるよね。

安里　弥生賞では抜け出してから頭を上げてフワフワしていたぐらい、まだ余裕があったけどね。そつなく、いつでもいい競馬をしてくれるという評価かな。

加藤　強いんですけど、超大物っていう感じは全くないですよね。

澤田　厩舎的にも、ドゥラメンテの方が評価が高い。それはもう、かなり前から言われてたことです。ただ、今回に限ってとなると、また違ってくるとは思いますね。

赤見　現時点の完成度ではということですね。それにしても、ドゥラメンテの評価高いですね。前回負けても、評価は下がらないんですね。

澤田　いや、あれは、本当は負けてないですからね。

竹村　確かに負けて強しの内容だった。けど、この3頭の中で考えたら僕はやっぱりリアルスティールかな。ここは、関西馬で！

加藤　僕も、本命は多分リアルスティールです。

赤見　ええーっ？

加藤　まあ、使う以上はドゥラメンテにするかもしれないですけど、本当は使って欲しくないので、リアルスティールにするかな。リアルは、前回は本当に仕上げてなかったですしね。「えっ、何これ？」っていうぐらいの仕上げでしたから。

【スプリングS　着順】

安里　乗り方も、1ハロン長い本番に向けての競馬だった。

加藤　それでも、直線での脚は全然違いました。さすがですね。

竹村　僕ね、リアル頭のキタサン、ダノンの3連単で勝負してて。そしたらひっくり返った。「リアル、差さへんのかい！」って(苦笑)。ただまあ、勝ったキタサンブラックは、その週の追い切りすごかったよ。逆にあっちはビッシリと仕上げてたな。


赤見　1着と2着では、ここでの意気込みが違った感じなんですね。じゃあリアルスティールの方が？

竹村　スケールは大きいんじゃないですかね。

安里　僕も、本命はリアルスティールで決まっています。枠順も関係ない。そのままの予想で行くと思います。皐月賞はある程度流れるレースなので、そこであの脚が使えるか。不安でもあり、楽しみでもある。

竹村　あっ、僕は枠次第で変わるかな。内枠過ぎたらちょっと…。ストライドがかなり伸びるから、勝負所で視界が開けてないとダメなタイプだと思うんですよ。そこの不安はちょっとあるかな。

澤田　僕は、今回はサトノクラウンにします。今回まではサトノで。

赤見　では本命は、3名がリアルスティールで、澤田さんがサトノクラウンということですね。

ひょっとしたら、いずれすごい馬になるかも

赤見　弥生賞2着だったブライトエンブレム(美浦・小島茂之厩舎)はどうですか？　最後、メンバー中一番の上がりでサトノクラウンに詰め寄りました。

加藤　ブライトエンブレムは、すごく成長力がありますね。だから、まだまだ物足りない部分はあるんですよ。馬としての完成はまだまだですけど、ひょっとしたら、そのうちすごい馬になるかもしれないですね。

安里　2歳のときから注目しているんだけど、ちょっと競馬が大味過ぎだなぁ。

加藤　そうですね。たしかにそれはありますけど。

竹村　中山だったらまだ買えるのかもしれないけど、一線級の中に入ると切れ負けするかなとも思った。瞬発力を要求されたらしんどくなりそうな、重厚感があるなという。

赤見　若葉S組はどうですか？　勝って権利を獲ったレッドソロモンが回避で。

【若葉S　着順】

安里　3着でしたけどアダムスブリッジ(栗東・石坂正厩舎)、あれは走るでしょう。(※4月14日、右前脚の挫跖が判明し、回避することになりました)

竹村　アダムスはめちゃめちゃギアチェンジが速い。若葉Sは雨のねちっこい馬場に泣いたけど、機動力はあるから中山とか、結構いいかもしれないね。

安里　ポルトドートウィユ(同レース4着、栗東・高野友和厩舎)も僕は走る馬だと思ってるんですけど、この時和田ジョッキーがね、ポルトの後ろからでも差せる自信があるって言ってて。ちょうどゲートを出た並びがポルトの後ろだったから、これは自信持って乗ってるんだろうなって。この時の阪神の馬場は向かないと思ったけど、ポルトにはきっちり先着したし。

赤見　あの2頭、すごくいい脚でしたよね。

安里　あの時、放牧明けで実は調子が良くなかったみたいだしね。賞金ギリギリだけど、アダムスブリッジは出てきたらおもしろいと思う。

竹村　話はそれるけど、毎日杯のアッシュゴールド(15着、栗東・池江泰寿厩舎)、あれは何だったのかなと思って…。ここのところ走りに余裕が出てきたからさ、「いよいよ来たかな」って思ってたんだけど。

【毎日杯　着順】

安里　調教でしょ？

竹村　そうそう。あの唸り過ぎるようなのが無くなって、ちょっとゆったり走ってたから、「いよいよか？」と思って。

安里　厩舎も調教を工夫して「今回は成長してますから」って、手応えを持ってたんだけどね。でも、競馬では外枠で壁を作れずにバーッと上がっていって、直線で外から交わされるとやめてしまった。気性面の成長待ちかな。

竹村　あれはちょっと残念だなぁ。ファンも多い馬だしね。

ひと足早いダービー展望

赤見　皐月賞を飛び越えて、ダービーを見据えるとしたら、どの馬を推したいですか？

竹村　僕は、ダービーもリアルスティールですね。中山よりも東京の方が断然いい。のびのび走らせてナンボの馬だと思うので。


加藤　僕はずっと言ってるように、ドゥラメンテですね。リアルスティールは多分、母父のストームキャットがかなり出てるので、距離がもたなくなると思うんです。多分ドゥラメンテには敵わないと思いますね。あとはキタサンブラックとか、ベルラップあたりもダービー向きです。

竹村　リアル、距離もたないかな？　2400mならもつと思うんだけどなぁ。

加藤　いや、もつんですけど、本質的にはね。

安里　イメージ的にはマイラーの気はする。僕はどうしようかな？　アダムスブリッジにしようかな。

竹村　アダムスこそ距離もたないでしょ(笑)。

安里　いやいや、スタートしてから遅いし、広いコースでゆったり走らせた方が良さそうだからね。いいフットワークをするし、皐月賞よりはむしろダービー向きじゃない。皐月賞でどんな走りをするかだけど、前走だけでは見限れないよ。う〜ん、ダービーの推奨馬ねぇ。じゃあ、皐月賞を見てから次の座談会をセッティングしてもらって(笑)。

赤見　この企画は好評のようなので、またぜひ開催したいですね(笑)。澤田さんは、皐月賞に限ってはサトノクラウンということでしたが？

澤田　はい。皐月賞がサトノクラウンで、ダービーはドゥラメンテですね。堀厩舎二冠だと思います！

赤見　皐月賞、そしてダービーまで、目が離せないですね。

(次回は天皇賞・春の座談会をお届けします)