白熱の2000mに期待
天気は大丈夫。珍しく15頭立てになったが、1600mとなって半世紀以上の歴史のなか、事実上、もっとも遅いペースだった不可思議な桜花賞とは異なる、白熱の2000mが期待できる。出走馬全体のレベルは高いはずである。前後半「59秒5-59秒5」=1分59秒0に近いような、中身の濃いレースを展望したい。土曜日の5R3歳未勝利戦でさえ2分00秒2だった。
史上、牡馬の3冠馬は7頭いる。次いで、2冠馬は24頭も存在する。その2冠の内容は、次の通り。
・皐月賞と日本ダービー…「15頭」
・皐月賞と菊花賞…「8頭」
・日本ダービーと菊花賞…「1頭」
皐月賞を勝たないことには「3冠馬」と無縁なのは当たり前だが、2冠馬となるためにも皐月賞を勝たないと望みは消えるところを重視したい。
皐月賞馬と、日本ダービー馬が、菊花賞で対戦すると、圧倒的に皐月賞馬が先着してきた歴史は知られる。実際、春に日本ダービーを勝った1冠馬は、菊花賞を【1-4-2-22】にとどまる。一方、皐月賞を勝った1冠馬は、たとえ日本ダービーを負けようと、菊花賞になると【8-3-4-12】である。
日本の牡馬クラシックの歴史は、日本ダービーを中心に展開してきたが、3冠馬は別格として、ダービー馬は決して世代のチャンピオンでも、エースでもないことが多い。「もっとも幸運な馬が日本ダービーを勝つ」とたとえられるが、まったくその通りの一面がある。ダービー馬の栄冠を掌中にしてしまうと、運をすべて使い果たしてしまったかのような馬が、歴史の中に何頭もいる。
3冠の形態は各国で異なるが、イギリスに範をとった日本の牡馬クラシックの第1冠皐月賞は、アメリカのケンタッキーダービーに相当するというのは、栄誉の大きさは別に本当である。
ふつう、皐月賞の検討はダービーの展望とセットになる。
イスラボニータや、ロゴタイプのように、「中山の2000mだから…」というタイプに狙いを定め、ダービーはまた別角度からの狙いにするのも悪くないが、歴史は、皐月賞馬こそが世代のエースであることを伝えてきた。時代によって色彩は変わるが、皐月賞馬を探す検討は、ことクラシック路線では、世代のチャンピオンを探す作業に近いのである。
3冠馬はともかく、かなりレベルが高いと思える今年は、ストレートに2冠制覇(的中)を目ざしたい。ダービー候補を皐月賞でも最有力馬としたい。
中山の2000mなら…のアプローチも捨て難いが、それはダービーでは苦しいという意味になってしまう。
2戦目に、いきなり東京1800mの共同通信杯を1分47秒1(上がり34秒0)の秀逸な内容で勝った
リアルスティールは、あの時点でダービー候補の1頭となった。まだまだ完成度が低いのは事実でも、必ずしも適性は高くないのではないかと思われたトライアルのスプリングSも、期待以上の好内容だった。先行残りの流れをちょっとスパートを遅らせたような仕掛けで、上がり33秒6。急坂を含むゴール前の1ハロンは推定「11秒0」前後だった。2戦目にしてすでに重賞を勝っているから、余裕のトライアル仕立てであり、レース運びもまた、トライアルらしいスパートだった。
本番の今回は、前3戦とは動きからして明らかに違っている。
サトノクラウン、
ドゥラメンテ、
ブライトエンブレム、
キタサンブラックなど強敵ばかりだが、日本ダービーでも続けて(いまの段階では)期待するつもりで、リアルスティールから入りたい。