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2連勝の陰に苦労あり 個性派キリシマホーマと太の戦い

  • 2015年04月21日(火) 18時00分
小牧太

キリシマホーマが500万、1000万と2連勝! その陰では相当な苦労があったようで……


キリシマホーマが500万、1000万と2連勝! インパクトの強い勝ちっぷりで、すわ本格化か!? の勢いですが、その陰では相当な苦労があったようで…。今回は、新馬当時から知るキリシマホーマについて、たっぷりとお聞きしました。
(取材・文/不破由妃子)


スパッとではなく、ヌターッと(笑)

──1か月前になりますが、ゲートでのアクシデントの次は、まぶたの流血騒ぎがありましたね(3月22日・阪神4R・エレガンスレディ)。

小牧 そうそう。返し馬で急にガン!と頭を上げて。まぶたから血がダラダラと垂れてたもん。もう痛くて痛くて、帰ろっかなと思った(笑)。

──縫合されたりしたんですか?

小牧 いや、何もしてないよ。ツバ付けとったら治ったわ。なんせ昭和の人間やから(笑)。ゲートでのアクシデント以降、腰もずっと痛かったんやけど、先々週あたりからグッと良くなってきたわ。整体も効いたけど、やっぱり日にち薬が一番やね。今はもう万全です。

──トレーニングも再開されたんですね。

小牧 うん。昨日もやったよ。昨日はけっこう濃い内容のトレーニングをやりました。これからもやり過ぎず、さぼらず、末永く続けていきますわ。

──では、近走を振り返っていきたいんですが、まずはキリシマホーマが500万、1000万と2連勝しましたね。

小牧 あぁ、あの馬は…なんとまぁ(笑)。みんなに言われんねんけど、ヌターッと勝ってるやろ?

──ヌターッと(笑)?

小牧 そうやねん。あの馬、スパッとではなく、ヌターッと勝つねん(笑)。

──なるほど。それにしても、500万はインパクトの強い勝ちっぷりでした。

小牧 あれは追わんで勝ったね。まだ腰が絶好調じゃない日で、しかも珍しく10頭も乗り馬がいて。「頑張らなアカン!」って自分を励ましながら乗ってたから、あの1勝は大きかった。ホンマにうれしかった。でも、正直、あの日の乗り馬のなかで一番心配していた馬でね。1200mでも引っ掛かる馬なのに、1800mだったでしょう。ハミにモタれるから、きついレースになるやろうなぁって思ってた。でも、その馬で勝てたことで、余計にうれしかったね。

──しかも12番人気という大穴でしたね。

小牧 ねぇ。まぁ僕も勝てるとは思ってなかったけど。もうね、4コーナーでは久しぶりに手がシビれましたわ。いや〜、引っ張ったね。さっきも言ったけど、とにかくハミにぶら下がるんです。うまく抑えられたけど、前の馬が見えてるのに脚が引っ掛かるし、手綱を引っ張りすぎたらひっくり返るかもしれんし。往生しましたわ。

──4コーナーで2回くらい躓いたように見えましたが、あれは前の馬に乗っ掛かりそうになったんですね。

小牧 そうそう! なんせハミにモタれるから、フォームがむっちゃ低いんですわ。それを知っていたから、不安があったんやけどね。あの馬、返し馬でひっくり返ったことがあるんです。福島だったかな、競走除外になったことあるでしょ? 小崎くんが乗ってたんやけど、返し馬で止まらんで、どこかに突っ込んだらしいわ。気が悪いというより、モタれて止まらんのやね。基本的にはおとなしい馬なんやけど。

──1000万を勝ったときは、500万のときよりスムーズに見えました。

小牧 うん。それまでに比べたら、むっちゃ楽やった。思わず笑みが出たほどでしたわ。1800mを使う予定やったんやけど、担当の山手くんに「1600mのほうがいいのに…」って言ったら、先生に伝えてくれたみたいでね。ホンマに楽でしたわ。いいところに入れたのもあるけど、1ハロンでも短いと全然違うね。

──でも、昇級初戦をあっさり勝つなんて、なかなか見どころがありそうです。

小牧 そうやね。とはいえ、500万とまったく同じレースをしたんやけど、1000万ではさすがに余裕がなかった。一瞬、これはかわせんかも…と思ったから。でも、前の馬の脚が鈍ってきたこともあるし、相変わらずヌターッと伸びてくれて(笑)。

──キリシマホーマは、新馬も小牧さんでしたよね。

小牧 そう、1200mね。攻め馬は走るんやけど、当時からハミにぶら下がる馬で。トモがめちゃくちゃ甘くて、最初のうちはよくトモが抜けていたらしい。今はもう大丈夫やけどね。ここにきての2勝は枠も良かったけど、馬も確実に良くなってます。

──次は準オープンです。

小牧 ゲートが遅いから、いいレースをするには内枠がベストやね。簡単にはいかないやろうけど、癖はもうわかってるし、馬もようなってる。またヌターッと(笑)、頑張ってほしいね。

小牧太

またヌターッと(笑)、頑張ってほしいね


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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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