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ロゴタイプの全弟ナイトインブラック

  • 2015年04月22日(水) 12時00分
【2歳】
サトノベリーニ(牝 栗東・須貝尚介 父キングカメハメハ、母ピサノベネチアン)
 母ピサノベネチアンはJRA1勝。繁殖牝馬としてはコンスタントに勝ち馬を出しているものの、まだこれといった大物は出していない。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の組み合わせは、皐月賞馬ドゥラメンテをはじめ、ローズキングダム、トゥザグローリー、トゥザワールド、ベルシャザール、ディアデラマドレなど多くの活躍馬を出している。また、2代母の父Storm Catは父と相性がよく、この組み合わせからロードカナロアが出ている。2代母ストームザミントはロードカナロアの母レディブラッサムと配合構成が似ているのでおもしろい。芝向きのマイラー。

ダイワダッチェス(牝 美浦・菊沢隆徳 父ワークフォース、母ファルネーゼ)
 母ファルネーゼはダート短距離で3勝を挙げ、1000万条件まで出世した。2代母ユーキャンドゥイットはシャーリージョーンズH(米G3・ダ7f)など2つの重賞を制したパワー型のスピード馬で、おそらくその影響を強く受けたと思われる。父ワークフォースは現役時代に英ダービー(G1)、凱旋門賞(仏G1)などを制した名馬で、前者は後続を7馬身ちぎるレコード圧勝、後者はナカヤマフェスタを一騎打ちの末にアタマ差くだしている。典型的な欧州芝2400m血統で、今年の2歳世代が初年度産駒となる。ネックとなるのはスピード面。ここを強化した配合でないと厳しいだろう。2代母はRaise a Native 3×3で、本馬はそれを継続発展させる形でMr.Prospector 4×4のクロスを持っている。母の父フレンチデピュティは芝・ダート兼用ながら素軽いタイプなので、全体的に上々といえる配合構成だ。ただ、7:3の割合でダート向きかもしれない。距離はマイル前後が良さそう。

ナイトインブラック(牡 美浦・田中剛 父ローエングリン、母ステレオタイプ)
 皐月賞(GI)、朝日杯フューチュリティS(GI)などを制したロゴタイプの全弟。父ローエングリンは現役時代に中山記念(GII)とマイラーズC(GII)を2回ずつ制した活躍馬。潜在能力が優にGIクラスだったことは、ムーランドロンシャン賞(仏G1・芝1600m)2着、香港マイル(香G1・芝1600m)3着といった海外における好成績が証明している。ロゴタイプのほかにゴットフリート(13年共同通信杯-GIII・2着)、サヴァーレ(11年ファンタジーS-GIII・4着)などを出している。ロゴタイプ、ゴットフリート、サヴァーレの3頭はすべて母の父がサンデーサイレンスで、Halo 4×3というクロスを持つ。“切れないけれど持続力がある”という父に、瞬発力の権化であるサンデーサイレンスが組み合わさることで足りないものを補っている。両者は相互補完の関係といっていいだろう。母ステレオタイプはロゴタイプを出したあと、別の種牡馬を付けられていたが、ようやく全兄弟が誕生した。兄同様の活躍を期待したい。

ラガマフィン(牝 美浦・奥村武 父ゼンノロブロイ、母エアラグドール)
 1000万条件まで出世したエクストラセックの全妹で、兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)で2着となったマキャヴィティ(父デュランダル)の4分の3妹。母エアラグドールは不出走馬ながらダイヤモンドビコー(阪神牝馬S-GIIなど重賞4勝)の半姉にあたる良血。「Storm Cat×Alydar」というパワフルなアメリカ血統の組み合わせなので、ダート適性を伝えており、全兄エクストラセック、4分の3兄マキャヴィティともにダート路線で活躍した。本馬もダート路線で本領を発揮するだろう。小回りコース向きでローカルは得意。

ロードインスパイア(牡 美浦・高柳瑞樹 父ロードアルティマ、母レディフューチャー)
 父ロードアルティマは重賞勝ちこそないものの、脚部不安と戦いながら12戦6勝の成績を残した。名種牡馬Gone Westの4分の3弟で、繁殖牝馬に恵まれないなか、JRAで出走した産駒8頭中4頭が勝ち上がるなど種牡馬としてまずまずの成績を残している。本馬はロードオブザリング(父ホワイトマズル/京都記念-5着)、ロードキャニオン(父アフリート/OP)の半弟。父はこれまで、母方にサンデーサイレンスを持つ産駒が1頭もなく、「ロードアルティマ×サンデーサイレンス」の本馬がその第一号となる。Mr.Prospector、サンデーサイレンス、Buckpasser、Nijinskyと、日本向きの良血がシンプルに組み込まれた好配合馬。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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