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毎年新しい福永洋一記念

  • 2015年05月01日(金) 18時00分


◆見習うべき福永祐一騎手の取り組む姿勢

 4月29日に高知競馬場で行われた福永洋一記念に行ってきた。今年で第6回となり、1〜3回目まで足を運んだが、一昨年、昨年はスカパー!で見ただけで、今回は3年ぶりの現場観戦となった。

 行ってみようと思ったのは、福永洋一記念だけでなく、今回は、中央、地方他地区、高知の騎手による対抗戦『ジョッキーズバトル 洋一カップ』や、角居勝彦調教師が中心となって活動している『サンクスホースデイズ』など、初めてのイベントが行われたからだ。

 福永洋一記念では、第1回こそ、伝説のジョッキーとなっている福永洋一さんが高知競馬場に来て、自身の名を冠した重賞の表彰式でプレゼンターをするということが大きな話題となったが、その後も、『花の15期生』と言われた馬事公苑時代の洋一さんと同期の元騎手たちが同窓会のように集まったり、福永祐一騎手が藁焼きした鰹のタタキをふるまったりという、さまざまなイベントが行われてきた。今回、現地で会った競馬マスコミ系の何人かと、「あのイベントは第何回のときだったっけ?」と、過去5回のことを思い出すのも難しいほどさまざまなイベントが行われている。

 さらに今回は、福永洋一記念に、初めて中央の騎手が騎乗することにもなった。福永騎手が騎乗したバーチャルトラックは、2月に同じ1600mの重賞・だるま夕日賞を勝っていることもあって2番人気に支持され、勝てば父である洋一さんから表彰される場面もあるのかと期待されたが、残念ながら4着。勝ったのは、第1回以来となる赤岡修次騎手のサクラシャイニーで、3コーナー過ぎで先頭に立つと、大差圧勝という派手なパフォーマンスとなった。

 洋一カップと福永洋一記念の表彰式のあとに行われた福永祐一騎手の共同会見では、ハッとさせられることがあった。

「第1回のときは話題性もあってたくさんの人が来てくれるけど、だんだん先細りしていくようなことがある中で、毎年違った趣向をこらした企画ができていますし、回を重ねるごとに『協力させてくれ』って言ってくれる人が増えて、こうやって続けられていることが、何より感謝しかないです。何かやってほしいことがあれば、みなさんに言っていただければ、できることも増えていくのかなと思います。競馬だけじゃなくて、みんなが楽しそうにしている空間にしたいですね」という福永騎手の話。それゆえ、毎年とはいかなくとも、ファンにもマスコミにも、何度でも行ってみたいと思わせているのだと。

 競馬は、常に新しい馬が出てくるとはいえ、長いスパンで見れば1年ごとに同じことの繰り返しだ。だから競馬を伝える我々も、なんとなく毎年同じことの繰り返しになってしまいがちだが、それではダメなのだと、叱咤されたような気がした。

 毎年何か新しい企画でファンを楽しませようという福永祐一騎手の想いや、それに取り組む姿勢は、競馬主催者をはじめとする、すべての競馬関係者が見習うべきと思う。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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