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藤原英昭調教師/安田記念『完成に近づいてきたフィエロ“ここが勝負や”』

  • 2015年06月04日(木) 12時01分
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▲ヴィクトリアMに続きGI制覇なるか、競馬界きっての厩舎力を誇る藤原英昭調教師


3歳春にGIホースになった馬と、古馬になってからメキメキと力をつけてきた馬。重賞で好走歴のある馬が多数出走予定で混戦ムードを呈する安田記念。こんな時こそ「厩舎力」がある馬がいいのではないか、ということで、フィエロを管理する藤原英昭調教師にお話を伺った。(取材・文・写真:大恵陽子)


競走馬は人間の意識一つ、人がすべて


昨秋のマイルCS。ラスト1F付近で抜け出したフィエロ。そのまま先頭で駆け抜けるかと思ったところを、内からダノンシャークが迫り、叩き合いの末、並んでゴール。首の上げ下げで2着だった。

「春に経験(安田記念)を積んで、ここは勝負だと思っていた」と、藤原英昭調教師。悔しい2着だった。

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▲昨年のマイルCS、ダノンシャーク(内)にハナ差の惜敗


 フィエロがデビューしたのは、3歳の7月7日。新馬戦はすでになくなり、未勝利戦ですらタイムリミットが聞こえてくる頃、キャリア豊富な同級生たちを相手に勝利をものにした。

「未勝利戦、よく勝ってくれたね。初めて見た時から血統や動きで将来性は感じていたけど、体質が弱かったからね。成長を待っていたけど、未勝利戦もいつまでもあるわけじゃないから」と話す。

 フィエロは、GI7連勝を果たしたロックオブジブラルタルの甥っ子にあたる。3歳時はデビュー戦の1戦のみ。その後もレース間隔を2か月以上空けるなど、無理使いをせず、自身の持つ素質を大切に育てられてきた。

「成長を待つと言っても、日頃から色んなことを気を付けて課題を持ってやっていかないといけない。競走馬は管理動物だから、人間の意識一つだし、人がすべて」

 あらゆる点に気を配りながら進めていったことが実を結び、レース間隔を詰めて使えるようになってきたのは、4歳の晩秋。1000万下クラスから3連勝でオープン・六甲ステークスを勝利すると、続くGII・読売マイラーズカップでは2着と、力を発揮した。

 成長を待つ、という意味ではタイプは違うが昨年末引退した同厩舎のトーセンラーもそうだった。中長距離を中心に走っていたが、マイルで勝負できるよう体がしっかりするのを待って、得意の京都コースでマイルCSを優勝。素質を余すことなく開花させた。

「私が厩舎を開業したのは『馬術で得てきた経験で、競走馬をつくりたい』という目標があったから。調教師になったら、一緒に馬づくりをしようと言っていた小さい時から馬に乗っている仲間やその後輩とか、同じ志を抱くスタッフが集まっています」

 キャリア、技術、才能。小さい時から馬術で培われたものがあるからこそ、馬の適性距離の幅を広げることもできるのだろう。藤原師は、オリンピック馬術競技日本代表・杉谷泰造選手の父の下で修行を積んだ。他にも馬術に長けたスタッフが多く厩舎には在籍し、お互い切磋琢磨することで藤原厩舎の高い「厩舎力」へと繋がる。

敗戦からの調整「厩舎力の見せどころ」


 昨春、フィエロは安田記念で初GIの舞台を踏んだ。東京コースはこれが2度目。結果は8着。京都ではGI・マイルCS2着をはじめ、掲示板を常に確保しているのに対し、この結果は左回りが影響したのだろうか。

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GIの注目馬にスポットを当て、主戦騎手や管理調教師を独占取材するnetkeibaのスペシャルインタビュー。GIに向けた意気込みや中間の調整過程、レース後に直撃し、戦いの舞台裏にあった知られざる真実を語っていただきます。

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