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ローブティサージュへのムチ問題 ゲート業務の実情とあり方

  • 2015年06月22日(月) 18時00分
教えてノモケン

▲京阪杯でローブティサージュへの長ムチ使用が問題に。ゲートを巡る問題の根本に迫る(撮影:下野雄規、2014年キーンランドC優勝時)


 中央競馬の上半期のGIは、28日の宝塚記念を残すだけとなった。今回、最も注目されるのは3連覇を狙うゴールドシップ。同馬といえば、前回の天皇賞・春でゲート入りを嫌がり、発走が4分遅れ(成績公報記載)となった一幕が記憶に新しい。結局、同馬は発走調教再審査を経て宝塚記念に臨む。

 天皇賞に限らず、ゲートを巡っては様々な問題が起こり、関係者から意見や不満も発信される。果たしてそれらは妥当なのか。今回は発走業務の実情や今後のあり方について考察する。

同一厩舎で発走遅延が相次ぐ


 過去1年に遡ると、ゲート問題が最も議論になったのは昨年11月30日、京阪杯(京都、GIII・芝1200m)のローブティサージュがゲート入りを拒否し、4分の発走遅延となった一件である。ネットで検索すると、今でも関西テレビの中継映像の該当部分がすぐに出てくる。

 映像で同馬は、奇数馬番の15番ゲートに誘導されるが、何度となく接近を拒み、徐々に興奮状態となる。ついには後ろ脚で激しく蹴る動作もし始めた。これに対して発走委員も長ムチを打つ形で対応し、音声が集音マイクに拾われるに至る。結局、三浦皇成騎手が下馬し、馬だけで誘導しようとしたがこれも拒否。そのため、目隠しをして改めて騎乗すると、30秒足らずでスンナリと入った。

 ゲートでのトラブルがたたったのか、レースで同馬は14着(4番人気)。後刻、発走調教再審査処分を受けたが、三浦皇成騎手は「目隠しをすればすんなり入る。主張したのに受け入れられなかった」と馬主のシルクレーシングの愛馬会会報で不満を述べ、シルク側も「不必要なムチの使用で精神的ダメージを受けた」との見解を示した。なお、同馬は今年2月5日に目隠しをした状態で再審査に合格し、3月に阪急杯3着、高松宮記念17着と2戦、ゲート入りでトラブルはなかった。

 この件では当初、発走委員の行動を「動物虐待」と非難する声も出たが、5月に入って風向きが変わった感がある。同馬の所属する須貝尚介厩舎の管理馬が、GIのゲート入りで相次いでトラブルを起こしたためだ。1件は冒頭に述べた天皇賞のゴールドシップで、24日のオークスで今度はクルミナルがゴネてまたも発走4分遅延。同馬は発走調教再審査に加えて、3週間の出走停止まで食った。

発走業務と枠入り不良馬への対応手順


 JRAの発走業務は、13人の発走委員と、ゲートを扱う関連会社、ジャパン・スタートシステム(JSS)が担っている。13人の内訳は馬術職7人で獣医師6人だが、獣医師の中にも馬術経験者が含まれる。

 実戦では、発走委員3人がゲートの左右と後方に配置し、他に整馬要員7人とJSSの2〜3人が実際に馬をゲートに誘導する。1人で奇数馬番、偶数馬番と2頭の誘導に当たることが多い。出走馬の担当調教助手や厩務員がゲートまで臨場して誘導する場合もある。一方、平日の発走委員の最大の業務はゲート試験。また、各馬の練習状況を観察し、助言も与える。

 ローブティサージュの件で問題になったのは、早い段階で目隠しをしなかった点だが、JRAはこの部分について「対応の手順がある」と説明する。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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