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【祐一History vol.34】『2013年──良くも悪くも忘れられない年』

  • 2015年07月07日(火) 18時01分
祐言実行

▲これまでの考えを改めたという出来事も…転機となった2013年を語る


騎手引退も覚悟した一戦


 2013年──この年は、良くも悪くも忘れられない年だ。

 前年の夏にアメリカに行ったことで技術面の引き出しが増えたのは確かだが、帰国後はその自信が過信となり、精神的に攻めすぎる競馬が続いていた。年が明けてもそれは変わらず、その結果、年明け早々2日間の騎乗停止に(1月13日・京都4R・イスカンダル4着)。

 さらに、約2カ月半後の2月24日、今度は開催6日間の騎乗停止処分を受けた(阪神3R・マノワール2着)。この春のクラシックはエピファネイアとのコンビが決まっていたが、この騎乗停止により、弥生賞での騎乗が不可能となった。

 二度目の騎乗停止のあと、おそらく自分の騎乗を見かねた四位さんが、こんな言葉を掛けてくれた。「1日が始まるときに、気を付けなければいけないことをもう一度、自分に言い聞かせたほうがいい」

 四位さんに冷静に忠告を受けたことで、初めて自分が無自覚だったことに気付いた。正直、それまで自分のなかにあったのは、「俺は悪くない」という思いだった。短期間で二度も騎乗停止になりながら、その原因から目を背けていたのか、あるいは本当に自覚がなかったのか──。いずれにしてもあの春のことは、澱のように今もなお、心のなかに残っている。

 ビュイックが騎乗することになった弥生賞。レースよりも返し馬が気になって、中山競馬場まで足を運んだ。

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祐言実行 / 福永祐一
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祐言実行とは
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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