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人気馬の過信は禁物のレース!/函館2歳S

  • 2015年07月22日(水) 18時00分

■函館2歳S(G3・函館芝1200m)フルゲート16頭/登録18頭


【コース総論】函館芝1200m Bコース使用

・コースの要所!

★16頭立ての馬連平均配当が9049円と高め。高配当を狙っていきたいコース。
★内枠である馬番1〜4番の枠番値が+0.7と超優秀。間違いなく内のほうが有利。
★4角3番手以内が勝ちポジション。差して1着に来るのは2歳戦でも至難の業。






 イメージ以上に波乱傾向が強い、函館芝1200m。16頭立てで行われたレースに限定した場合の平均配当は、単勝1538円、馬連9049円、3連複3万6204円ときわめて高い。その要因が1番人気の低い信頼度で、その連対率は29.9%と3割を割り込んでいる。回収率の低さも目立っており、「消し」で勝負したほうが儲かるといっても過言ではない。

 続いて枠番別成績だが、これはもう内が有利であるのは間違いなし。複勝率ベースで内外を比較すると、そこには7%もの大きな差が出ている。なかでも素晴らしいのが馬番1〜4番で、平均人気8.4に対して平均着順7.7という驚異的な成績。馬番1〜8番は基本的にプラス評価で、軸馬も必ずここから選ぶようにしたいところだ。

 脚質面で目立っているのは、先行勢の強さ。最後の直線が262mと非常に短いこともあり、ハイペースになってもそう簡単に差せはしない。勝ち馬の6割以上が「4角3番手以内」のポジションとなると、これはもう行ってナンボ。内枠からスッと先手を奪ってそのまま押し切る──というのが、典型的な勝ちパターンである。

【レース総論】函館2歳S(G3) 過去10年(札幌で開催された09年をのぞく)

・レースの要所!

★牝馬が圧倒的に強いレース。1番人気は弱いが2〜3番人気が強いのも特徴。
★コースデータほど内枠優勢ではない。大外の馬は複勝率44.4%をマーク。
★前走人気が意外とアテにできない。3〜5番人気での勝ち上がりが理想的。










 キャリアの浅い2歳馬によるレースだけに、やはり波乱含み。まず目立っているのが、1番人気馬の弱さである。過去10年[1-2-1-5](札幌で開催された09年をのぞく)とまったくアテにできず、牡馬が1番人気に推された場合は[0-0-1-5]と壊滅状態。人気サイドを狙うならば信頼度の高い牝馬、もしくは2〜5番人気の牡馬が望ましい。

 次に枠番データだが、これは判断が難しいところ。というのも、コースデータでは圧倒的に強かった内枠が、レースデータでは「ボチボチ」程度の成績だからである。これはおそらく、キャリアの浅い2歳馬の場合、揉まれずにストレスなく走れる外枠のメリットが大きくなるのが要因。大外に入った馬の好成績は、コレが大きく影響していると思われる。

 しかし、コースデータでの成績差を考えると、ここはやはり内枠重視のスタンスで行くべき。たとえ2歳戦であっても、試行回数が増えれば増えるほど「内枠から前に行ける馬」の成績が良くなるはずだ。というわけで、枠番については「コースデータ重視」の方針を推奨。馬番1〜4番に入った馬を、徹底的にマークしたい。

 あとは「前走人気がアテにならない」のも、函館2歳Sの特徴。前走での単勝オッズが1倍台だった馬はトータル[0-2-4-19]で連対率8.0%、複勝率24.0%と、意外なほど信頼度が低い。今年も人気を集めそうなシャドウアプローチ、ドナルチア、メジェルダ、メジャータイフーンの4頭は、じつはけっこう危なっかしいのである。

 それ以外では「前走函館以外組の3着率が高い」というのも押さえておきたいポイント。今年の登録馬はラッキーボックスだけだが、同馬のように速い上がりで他場の新馬を勝ち上がってきた馬は、けっこう侮れない。そして最後に、小ネタをひとつ。暑い夏のレースだけに「黒い馬が弱いのではないか」と推測したのだが、芦毛も強いが真っ黒な黒鹿毛&青鹿毛も好成績という意外な結果に。迷ったときには、「黒か白」を選ぶようにしたい。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 Bコース継続。開催後半ながら、相変わらず前が強いという印象を受ける。

・天候予測
 週末にかけて延々と曇り〜雨模様。重い馬場でのレースとなる可能性が大。

・注目血統
 ファルブラヴ産駒◎、ジャングルポケット産駒○、ディープインパクト産駒▲、ダイワメジャー産駒△

 先週の函館記念も、終わってみれば好位勢によるワン・ツー・スリー決着。それなりに前が流れる展開でこの結果なのだから、今週になってガラッと差し馬場になるとは考えづらい。2歳限定のスプリント戦だけに前崩れの展開となる可能性もあるが、やはり「前有利&内有利」の前提で考えたほうがいい。

 そして血統面だが、上位は「いかにも洋芝コース」というラインナップ。サンデー系のなかでダイワメジャー産駒がもっとも好成績というのに、パワーが要求される洋芝らしさが感じられる。ディープインパクト産駒も成績は悪くないが、末脚のキレで勝負するタイプだけに、適性はそれほど高くはないはず。人気に推されるようであれば、ちょっと割り引いて考えたいところだ。

★出走登録馬・総論×各論

 登録馬18頭のうち13頭が牝馬と、抽選の結果次第では「ほぼ牝馬限定戦」と化する可能性もありそうな、今年の函館2歳S。ただでさえ牝馬が強いレースでこの登録メンバーだと、上位を牝馬が独占する結果も十分にありそうだ。

 好走の必要条件といえるのが「前走芝1200m戦の中央馬」であること。前走ダート戦出走馬や前走1000m戦出走馬は信頼度が低く、一昔前は活躍が目立った地方馬も、近年は中央の牙城を崩せずにいる。この条件を満たせないようでは、好走はかなり厳しいと考えるべきである。

 上位に評価したのは4頭。僅差ながら序列をつけると、ヒルダブランボヌールオデュッセウスラッキーボックスという評価順である。トップ評価としたヒルダは、想定段階での評価が低めながら「函館芝1200mの新馬戦で単勝2.1倍の1番人気に推されて好位差しで1着」と、いかにも函館2歳Sで好走しそうな前走内容。ダイワメジャー×ヨハネスブルグという配合の牝馬であるのもプラス評価で、ここは期待大とみている。

 同様にブランボヌールも、1着が狙えるプロフィルの持ち主。ヒルダよりも1秒速いタイムで新馬を勝っているワケで、速いペースに対する適性を証明済みであるのは大きな強みといえる。母ルシュクルが早期から活躍していることや、鞍上が函館で猛烈に強い岩田ジョッキーの想定であるのもプラス。こちらも好走が期待できそうだ。

 牡馬であることや前走が逃げ切りであるのが割引も、血統面での魅力が大のオデュッセウスが三番手。そしてラッキーボックスは「函館以外の芝1200m戦を最速上がりで1着」という点を評価して、四番手評価とした。以下は、メジャータイフーン、シャドウアプローチ、メジェルダ、ドナルチアと続く。

 枠番についてはレースデータよりもコースデータを重視し、内枠に入った馬をプラスに評価。あとは、1番人気に推された馬を信用せず、上位評価組でもその場合はヒモ扱いとする予定である。判断材料が少ないだけに難しい側面はあるが、そのぶん美味しい配当にもありつきやすいレース。人気馬を過信せず、中穴配当あたりを狙うイメージで買い目を構築してみたい。


■中京記念(G3・中京芝1600m)フルゲート16頭/登録20頭


 現在の開催条件に変更されてから、今年で4年目となる中京記念。昨年が3連単42万馬券、一昨年が3連単36万馬券、さらにその前が3連単23万馬券という荒れっぷりで、4番人気以内馬は[0-0-1-11]と壊滅状態。その波乱傾向の強さは、数あるJRA重賞のなかでも最強クラスといえる。

 目立っているのが、前走で先行していた馬のとんでもない弱さ。前走、4コーナーを「7番手以内」で回っていた馬のトータル成績は[0-1-0-26]と、通常ではありえないほど不振な成績となっている。また、ハンデ55キロ以下馬も[0-1-0-19]と期待薄。つまり「ハンデ56キロ以上の前走4角8番手以下馬」を狙うというのが、ここでの基本方針となる。

 ちなみに、この条件に該当した馬はトータル[3-1-3-6]で連対率30.8%、複勝率53.8%という信頼度の高さ。回収率も単複ともに200%以上をマークと破格で、文句なしに「買い」といえる。今年の登録馬でこの条件をクリアするのは、カレンブラックヒルミッキードリームの2頭だけ。昨年の激走馬でもあるミッキードリームに「もう一発」を期待するとしよう。


■総論×各論・先週の馬券回顧




函館11レース 函館記念(G3)
1着 05ダービーフィズ
2着 03ハギノハイブリッド
3着 01ヤマカツエース

ひたすら「内枠が来る!」と繰り返した函館記念のデータ分析。実際に内枠決着で、言っていること自体は(そんなに)間違っていなかった気がする。反省点は、洋芝の消耗戦で、ディープ産駒のエックスマークを筆頭評価してしまったこと。ちゃんと先行もしてくれたんですが、4コーナーで既にアラアラではなあ……またしてもドモナラズ。

※コース&血統データは2010年以降、レースデータは2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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