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独年度代表馬の名牝を母に持つディープ産駒フォイヤーヴェルク

  • 2015年08月05日(水) 12時00分
オーパ(牡 栗東・石坂正 父ゼンノロブロイ、母ヴィヤダーナ)
 ラジオNIKKEI杯京都2歳S(GIII)で2着となったダノンメジャー(父ダイワメジャー)の4分の3弟。フランス産の母ヴィヤダーナは出走歴こそないものの、Visindar(06年グレフュール賞-仏G2)、Visorama(03年フロール賞-仏G3)、Visionary(97年仏2000ギニー-仏G1・3着)、Visionnaire(99年仏オークス-仏G1・3着)などを兄弟に持つ良血で、初子からダノンメジャーを送り出した。フォーティナイナー(米2歳牡馬チャンピオン)やSwale(84年ケンタッキーダービー-米G1、84年ベルモントS-米G1)などが出たアメリカ由来の名牝系で、2代母Visorをアガ・カーン4世殿下が購買してフランスに移した。ゼンノロブロイとの組み合わせではMr.Prospector 4×3が生じる。芝向きのマイラーだろう。

フォイヤーヴェルク(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母ナイトマジック)
 母ナイトマジックは現役時代、バーデン大賞(独G1)、独オークス(独G1)など5つの重賞を制し、牝馬ながら09年にドイツ年度代表馬に輝いた。「Sadler's Wells系×Monsun」という重厚なスタミナタイプで、スピード面はやや心許ないものの、スタミナと底力は一級品だ。ディープインパクト産駒の母方にSadler's Wellsが入る場合、Mr.Prospectorとセットであることが基本で、それがない場合、俊敏さや切れ味といった面で問題が出てくる可能性がある。ただ、本馬にはドイツ血統の底知れない活力と、母の並外れた競走能力という魅力がある。「ディープインパクト+ドイツ血統」のワールドエースのように、一般的な成功パターンに当てはまらずとも走るのがドイツ血統の奥深さだ。育成時代から評判になっていた馬なのでデビューが待ち遠しい。

マカヒキ(牡 栗東・友道康夫 父ディープインパクト、母ウィキウィキ)
 京都牝馬S(GIII)とCBC賞(GIII)を勝ったウリウリの全弟。「ディープインパクト×フレンチデピュティ」は成功している組み合わせで、ほかにショウナンパンドラ(秋華賞)、カミノタサハラ(弥生賞)、ボレアス(レパードS)をはじめ多くの活躍馬が出ている。2代母リアルナンバーはアルゼンチンのG1ホース。パワーとスタミナを伝える牝系で、それが父ディープインパクトの柔らかさとマッチしている。ウリウリが頭角を現したのは古馬になってからなので、POG向きではないかもしれないが、馬のデキが良ければ硬質なスピードを武器とするマイラーとしてNHKマイルC(GI)を狙えるだろう。

リライアブルエース(牡 栗東・矢作芳人 父ディープインパクト、母ゴールデンドックエー)
 京都新聞杯(GII)3着、毎日杯(GIII)4着のアルバートドックの全弟。母ゴールデンドックエーはラスヴァージネスS(米G1・ダ8f)の勝ち馬。その全兄Unusual SuspectはハリウッドターフカップS(米G1・芝12f)を勝った。母の父Unusual Heatは北欧の歴史的女傑Rossard(デンマーク産馬で同国とスウェーデンのダービーなどビッグレースを勝ちまくる)の息子で、米G3で2着となった程度の競走馬だったが、種牡馬としては大方の予想を上回る成功を収めている。2代母ペンポントはニュージーランド産馬。牝系は19世紀から同国で育まれた独特のものだ。非主流血脈の塊なので過去の例に当てはめることは難しいものの、Unusual Heatの父Nureyevは基本的に父との相性は悪くなく、それ以外の部分にも問題のある血は入っていない。全兄アルバートドックはいずれ重賞を勝てる素質馬だが、POG期間中は重賞に手が届かなかった。古馬になって本領を発揮する血統かもしれない。そのあたりを馬の器でカバーができれば楽しみだ。芝向きの中距離タイプ。

メイショウジーター(牡 栗東・池添兼雄 父ダイワメジャー、母メイショウベルーガ)
 母メイショウベルーガは牡馬に伍して日経新春杯(GII)、京都大賞典(GII)を勝ち、エリザベス女王杯(GI)でも2着となった名牝。このとき敗れた相手はイギリスのスノーフェアリーだったので、日本馬では最先着だった。3代母Passamaquoddyは名馬ダンシングブレーヴの母の全妹にあたる。父ダイワメジャーはDroneを抱えた繁殖牝馬と相性がよく、この組み合わせからカレンブラックヒル、トーセンベニザクラ、ダローネガ、メイショウタマカゼ、オメガホームラン、サンブルエミューズ、ダイワミストレスといった活躍馬が出ている。本馬はこのパターンにあてはまる。本馬は母の初子だが、配合パターンが良好なので、いきなり大物となる可能性も十分。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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