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サマーセール始まる

  • 2015年08月26日(水) 18時00分
サマーセール会場風景

サマーセール会場風景


各地で開催された1歳市場が好調に推移してきた流れを受け、活況が期待されたサマーセール

 新ひだか町静内の北海道市場を会場に、8月24日(月)より4日間の日程で始まった今年のサマーセールは、初日、2日目ともに、大変な盛況が続いている。

 4日間を通して、午前8時から比較展示が開始され、セリは正午から始まる。今年は、これまで各地で開催された1歳市場が好調に推移してきた流れを受け、このサマーセールも活況が期待されたが、それに十分応える結果になっている。

 初日は、午前中好天に恵まれたものの、午後になってから少しずつ雲量が増してきて、セリの途中から小雨が降り出し、夕方まで降り続いた。

 しかし、売れ行きは上々で、308頭(牡161頭、牝147頭)が上場されて、209頭(牡121頭、牝88頭)が落札された。売却率は67.86%に達し、前年初日を8.56%上回る絶好のスタートを切った。とりわけ牡馬の売却率が高く、75.15%と、4頭に3頭が落札される好調さであった。牝馬も約6割が落札されており、ひじょうに売れている印象が強い。

 税込の売り上げ総額は9億2588万4千円。牡が6億4972万8千円。牝が2億7615万6千円。牡の平均価格が536万9653円、牝が313万8136円。初日全体では443万67円となり、前年を11.45%上回る。

 初日の最高価格馬は、225番「サウスエンピリカルの2014」(父プリサイスエンド、母の父マンハッタンカフェ、牡黒鹿毛)の1782万円(税込)。浦河・高岸順一氏の生産・所有馬で、激しい競り合いの末に斉藤宣勝氏が落札した。

225番落札場面

初日の最高価格、225番「サウスエンピリカルの2014」の落札場面


225番立ち姿

初日の最高価格、225番「サウスエンピリカルの2014」の立ち姿



 また牝馬では、233番「サーリセルカ2014」(父スペシャルウィーク、母の父ウォーエンブレム、黒鹿毛の853万2千円(税込)が最高価格であった。

 100万円を切るような廉価の落札馬がいる一方で、1000万円超えの落札馬も初日だけで11頭おり、まさしく玉石混交だが、ここ数年は、1歳馬に関しては明らかに市場取引にシフトしてきており、従来のような「売れ残りセール」という印象は払拭されている。購買者からすれば、それぞれの予算と都合によって、高額馬からリーズナブルな価格の馬まで、多くの上場馬の中から選んで買える市場になっている。

 取引数が多く、活発な競り合いになる上場馬が多数出たことから、初日の最終上場馬が登場したのは午後7時であった。1日300頭以上の頭数で、しかもこの売却率であれば、どうしても時間を要する。しかし、セリの進行はタイトでこれ以上のスピードアップは困難であろうし、ならば開始の時刻を早めるか、今後の課題の一つになりそうだ。

2日目終了直後

少し暗くなってきている2日目終了直後の場内



 2日目は、朝から晴天に恵まれ、終日好天が続いた。毎年サマーセールの時期は暑さとの闘いになるが、今年は気温が割に上がらず、日陰にいると肌寒く感じるほど。ひじょうに快適な気候と言える。

 初日の好調さから、2日目にも大きな期待が集まった。上場頭数は初日より10頭多い318頭(牡184頭、牝134頭)で、218頭(牡138頭、牝80頭)が落札された。売却率は牡75%、牝が59.7%、2日目全体では68.55%である。この日も落札馬が続き、終盤近くまで売却率は7割を超えていた。しかし、日が傾き、セリが終わりに近づくにつれ、場内から購買者が少しずつ減り出し、最後にやや失速した形である。

 とはいえ、売却率は前年2日目よりもやはり11.78%高く、依然として売れている。また売り上げ総額も、税込で10億148万4千円に達し、2日間で19億2736万8千円に達した。昨年が4日間の合計で初めて30億円を超え話題になったが、今年は2日間ですでにこの数字を叩き出しており、昨年の記録を更新するのは間違いなさそうだ。

 2日目の最高価格馬は、576番「コンフィデントの26」(父ネオユニヴァース、母の父Machiavellian、牡栗毛)の2268万円。浦河・(有)日の出牧場の生産馬で、飼養管理者は様似木村牧場。落札したのは近藤英子氏。

576番落札場面

2日目の最高価格、576番「コンフィデントの26」の落札場面


576番立ち姿

2日目の最高価格、576番「コンフィデントの26」の立ち姿



 また、2日目には、北海道静内農業高校が生産した「夏羽月(うづき)」(父サマーバード、母ゴートゥザノース、牝栗毛)が登場し、378万円でJRA日本中央競馬会に落札された。同高校は、授業の一環としてサラブレッドを生産しており、今回も多くの生徒とともに市場にやってきてセリに臨んだ。

「夏羽月(うづき)」

JRAに落札された北海道静内農業高校生産の「夏羽月(うづき)」



 JRAはサマーセールで55頭の1歳馬を購買する予定とのことだが、その中の1頭として、順調ならばこの「夏羽月」も、調教された後に、来春のブリーズアップセールに上場されることになる。

喜ぶ静内農業高校生徒たち

喜ぶ静内農業高校生徒たち


静内農業高校のみなさんと「夏羽月」

静内農業高校のみなさんと「夏羽月」



 締め切りの関係で、3日目、4日目については次回にまとめて触れることになるが、売却率が20%台、30%台で推移していた以前の時代には考えられないくらいに、今は市場取引にシフトしてきているのは、何より健全と言える。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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